黄昏通信社跡地処分推進室

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紙巻きたばこ

この話は妻から聞いて初めて気がついて、実に面白いと思ったので書いておく。
紙巻きたばこという言葉がある。もともとは煙管や葉巻に対して使われる言葉で、つまり新しい概念を既存のものと区別するために明示的に「紙巻き」と呼んでいた。やがて煙管や葉巻はすたれ、少なくとも一般的なものではなくなって、煙草といえばほぼ紙巻きたばこを指すようになっていった。それと同時に敢えて「紙巻き」と呼ぶ必要もなくなってしまった。概念が一般化するに従って当初の呼び名は逆に使われなくなっていったわけだ。ところが電子たばこが普及した今、再び紙巻きたばこという言葉が使われるようになりつつある。同じ言葉が今度はレトロニムになっているのだ。なるほどそういうこともあるだろう、とは思うが、しかし現実の例に触れたのは初めてだったので面白かった。こういう言葉は他にあるだろうか。