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『ベーシックインカム』 井上真偽著 集英社,2019-10

ベーシックインカム

ベーシックインカム

ミステリ畑で活躍する(らしい)作者の五冊目の作品。五編の短編が収録されている。少し未来の、見えてはいるがまだ実現していない技術、あるいは実現しているが普及までは至っていない技術が当たり前になった世界で起きる事件と謎解きを描く。その意味ではおれが考える SF の定義にのっとっている。一方ミステリ側のことはおれはよく知らないので、例えばこれが本格なのか本格じゃないのかとかそういうことはよくわからない。
ずいぶん経ってしまったのでかなり忘れているが、ストレートな驚きのあった冒頭の「言の葉(コトノハ)の子ら」と、VR を題材にとった「もう一度、君と」がよかったかな。他の三編「存在しないゼロ」「目に見えない愛情」「ベーシックインカム」もそれぞれによくできていたと思う(えらそう)。