- 作者:ペトリ・レッパネン+ラリ・サロマー
- 発売日: 2019/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
とはいえ、もっと簡単になんとかできそうなこともある。たとえば、自分たちが作っているこの作物が最終的に何になっているかすらよくわかっていない農家も実際にいたりするらしい。それではフェアトレードなど望むべくもないだろう。そういう非対称性を利用して途上国を搾取するのは本当にアンフェアとしかいいようがない。ただ、現実にはそういう細かい搾取の積み重ねでおれたちの今の暮らしが支えられていたりするのだろうとも思うし、今の暮らしを諦められるかと問われると詰まってしまうのだが……。
タイトルは別の本の二匹目のどじょうを狙ったものらしく、原題は直訳すると「コーヒー革命」になるとのこと。気候変動はコーヒーにはそこそこ深刻な問題のようだが、この本自体の趣旨はそこではない。興味深いところはいくつかあったが、全体としては個別の特異例を全体に敷衍しようとしている印象は否めない。もう少しフォーカスを狭くして FAF の物語を語るか、逆にフォーカスを広げてコーヒー業界におけるフェアトレードや品質認証のことを語るかに徹した方がよかったように思う。
あと、余談だが、本の作りがどうにも安っぽいのが気になった。巻頭のカラー写真の画質やキャプションのフォントなど、ちょっとこれはどうだろう……という感じの品質だった。青土社ってそれこそ「ユリイカ」出してるとこだよなあ。こんなに体力なくなってるのかな。たぶん下請けに出してるんだろうけど。