黄昏通信社跡地処分推進室

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ザリ子死す

過ぎてしまった今になって思えば、少しおかしいなと思うところはあったけれど。先週水を替えた直後ぐらいから、それまでにも増して水面に上がってくることが多くなって、よくすみかの屋根の上に乗っていたこととか。えさをあげても全く反応しなくて、食べている様子がなかったりとか。でもまあ、よくあることの延長だと思っていてあまり気にも留めなかった。たまたまちょっと息苦しかったのかなとか、きっと見てないときに食べてるんだろうとか思っていた。おれは居なかったのだけど、家族が気がついたときにはもう屋根の上で動かなくなっていたらしい。ほんとうにあっけなく死んでしまった。家に帰ったときちょうどお別れをするところだった。子供たちはおいおい泣いていた。穴を掘って、四人で少しずつ土をかけた。山麓から連れてこられて一年と少し、はたしてザリ子はしあわせだっただろうか。もっといいものを食べさせてあげればよかった、水草も入れてあげればよかった、また今度、まあそのうち、そう思ってるうちに今度は二度と来なくなってしまった。刺身とか鶏肉とかあげればよかった。掴もうとするといつもはさみをいっぱいに差し上げて威嚇してきた、挟まれると想像よりけっこう痛かった、小さいけどいさましいザリガニよ。さようなら、天国のどこかの水路で、どうかのんびり過ごしてほしい。

かなしい。かなしい。思っていたより、ずっとこたえる。