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『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』 ジェレミー・リフキン著/幾島幸子訳 NHK出版,2020-02-25

最初に書くと、この本は読む価値ない。
昨年(暦年的には今年だな)研修でさんざん読んできたような本。「座礁資産」という言葉がキャッチーで、ひとつのキーワードになっている。ひとことで言えば再生可能エネルギー限界費用がまもなく化石燃料を下回るので、そうなったらこれまでの火力発電所とかガソリン車とかは早晩使いものにならなくなる、それで備蓄してる化石燃料ともどもそれを前提としていた施設や機械もみんなお払い箱になる、それが座礁資産だ、という定義。それを見据えて早めに投資をして、再生可能エネルギーと小規模備蓄施設を前提とした電力システムを全国(米国の本なので、ここでは米国全土)に作りあげれば、大々的な初期投資は必要になるけどその過程では雇用も創出されるし最終的には生産性も上がるしいいことずくめだよ、みたいな議論なんだけど、ううーん、これいくらなんでも楽観的すぎるし雑すぎるんじゃないのという印象は受けた。再生可能エネルギー限界費用が下がるというのは実際そうなりつつあるし、わかる。だけど、再生可能エネルギーの比率が上がれば上がるほど電力供給は不安定になって、安定した給電のためにはもうひとつふたつブレイクスルーが必要だし、そこはまだ決め手がない、だからまだ供給量のコントロールにもっとも小回りがきく火力発電が必要なんだ、という議論はこの界隈では常識だ。ところが著者はそんなの電力業界と化石燃料業界がついてる大嘘だぐらいの感じで片付けてしまっている。もしかするとそれが正しいのかもしれないけど、そうだとしてももう少しデータを挙げるなり議論を重ねるなりしてほしい。一番肝になる部分がそれなので、他の部分もほんまかいなと思ってしまう。仮にそこを真と言い切れればそれなりに面白い話だと思うんだけどね。ノンサイエンス・フィクション