黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

それより多くもなく少なくもなく

小野塚知二『経済史』より、『ヴェニスの商人』について。


「第一に、借用証文の通りに返済できなければ担保物権が移転するのは、こうした契約関係においてはあまりにも当然のことであり、そこに第三者(バッサーニオ)が口を挟んで、自分が借金相当額を支払うというのは、そもそも理の通らない話です。」
「第二に、借用証文の担保物権が借り手の生身の人肉一ポンドという、あからさまに公序良俗に反する契約内容となっていることも不自然です。これでは、まるでシャイロックは超変態か人を貪るゾンビです。」
めちゃくちゃ身も蓋もないんだけど、確かにあれけっこう変な話なんだよね。芝居というか、フィクションというのはそういうものだ、とも思うし、どんなうそは容認されてどんなうそが容認されないのか、とあらためて考えるのも面白いとも思う。