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NFL 2020 -- Wildcard Playoff

というわけで六試合全部書きました。

Indianapolis Colts (11-5; AFC#7) @ Buffalo Bills (13-3; AFC#2)

AFC は最終週で5チームが 10-5 で並んでいて、そのうち4チームがプレイオフに行ける状況だった。ビルズは既にプレイオフに進めることが、それも第2シードか第3シードというところまで決まっていたのに、プレイオフがかかっていたドルフィンズをぼこぼこにした。前週も書いた通り、三年目のアレンが充実一途で、チームも宿敵ペイトリオッツを含めて同地区の全チームをスイープするなど乗りに乗っていて、一気に頂点を目指したいシーズン。一方、ビルズがドルフィンズをつぶしてくれたおかげで第7シードに滑り込んだのがコルツ。今年はフィリップ・リヴァーズを新しい QB として得て、序盤もたつきながらもなんとか勝ち星を重ねてきた。その両チームの対戦となった。
パントを一本ずつ蹴った後、コルツがフィールドゴールで先制。わりとするするとレッドゾーンまで入れただけにタッチダウンがほしかったが、まずは3点。ビルズは返しのドライブでアレンのパスがよく決まり、一度も 3rd ダウンに行かないままタッチダウン。やはり今年のビルズは火力が違う。パント一本ずつを挟んで、2Q に入ってからコルツは待望のタッチダウン。テイラーのランを出してからリヴァーズがピットマンへロングパスを決めて、いかにも今季のコルツらしいタッチダウンだった。これで 10-7 と逆転し、さらに次の攻撃でコルツは敵陣4ヤードまで攻め入り 1st&Goal を得るが、1ヤードになった 3rd ダウンでテイラーのランが3ヤードのロスに終わり、4th&4 でパスが決まらず無得点。ここで畳みかけたかった。ビルズは返しのドライブ、その4ヤード地点から延々 96 ヤードのドライブを成功させてタッチダウン。アレンがロングパスを二本決め、4th&3 でオフサイドをうまく誘ってドライブを継続させてエンドゾーンまでボールを運んだ。10-14 で折り返し。
後半先攻のビルズがフィールドゴールを決めて 10-17 とすると、返しのドライブでコルツは 33 ヤードのフィールドゴールブランケンシップが外してしまい点差を詰められない。その次の攻撃でビルズはアレンが WR ステフォン・ディッグズへ 35 ヤードのロングパスを通し、10-24 と二本差をつけた。コルツはここから反撃する。ハインズ、テイラーふたりのラン二本で 50 ヤード近く稼いで敵陣深くに押し入ると、リヴァーズからパスカルタッチダウンパスが通って、ツーポイントに失敗して8点差。フィールドゴールを決められた後、今度はリヴァーズがジャック・ドイルへ 27 ヤードのパスを決めて、ツーポイントに成功して 24-27 の3点差。
返しのドライブでビルズは敵陣まで攻め入るが、ここでコルツのディフェンス陣が値千金の QB サック! アレンを大きく下げさせたうえにファンブルさせて、これをもしコルツがリカバーできていれば逆転勝ちも大いにありえたところだが、残念ながらビルズがリカバーした。とはいえ 2nd&33 となりビルズはさすがに無理はできない。結局パントで終わり、自陣の 14 ヤードからコルツは同点を目指すドライブを開始する。しかしタイムアウトを3つとも切ってしまっていたのは痛かった。ひとつでも残っていれば中央もケアしなければならなくなるが、ひとつもなければサイドを集中的に守ることができる。結局自陣から出ることができないまま、コルツのドライブと、勝利への希望はついえた。
コルツはリヴァーズがいいパフォーマンスを見せて健闘したが、前半のギャンブル失敗、後半のフィールドゴール失敗と二度の逸機があり、それで3点差なので惜しかった。トータルヤードもコルツの方が上で、互角以上の戦いができていたものと思う。ビルズはここぞというところでアレンがロングパスを決め、フィールドゴールもしっかり決めて勝利をたぐり寄せた。正直若干の物足りなさはあるものの、まずは一歩駒を進めた。

最終スコア:IND 24-27 BUF

Los Angeles Rams (10-6; NFC#6) @ Seattle Seahawks (12-4; NFC#3)

NFC 西の同地区対決がワイルドカードで実現した。二週間前にも両チームは対戦したばかりで、その時はシーホークスが完勝してラムズのゴフは親指を骨折している。一回目の対戦では逆にラムズが完勝しているので、一勝一敗でここで決着をつけよう、という感じだった。
ラムズは先発 QB をひた隠しにしていたが、結局 Week 17 で NFL 初先発して勝利を挙げたジョン・ウォルフォードがスターターをつとめた。ゴフもスタイルしていて投げようと思えば投げられる状態のようだったが、親指には絆創膏のようなテープが貼られていた。ところがなんと、ラムズの二回目の攻撃の途中にウォルフォードはスクランブルして頭から突っ込み、首を傷めて退場してしまう。未だにボルトの入ったままだというジャレッド・ゴフが代わりにフィールドに立った。
2Q の半ばまではお互いのディフェンスがよく働いて 6-3。ロースコアの展開になったが、シーホークスの攻撃で試合が動き出す。自陣での左サイドのスクリーンパス、これを完全に読んでいたダリアス・ウィリアムズがパッと前に入ってボールを奪いとると、エンドゾーンまでの 44 ヤードをただまっすぐ走るだけでリターンタッチダウンになった。これで 13-3。返しのドライブですぐさまウィルソンがメトカーフへロングパスを通してタッチダウンを返したのはさすがだったが、そのさらに返しのドライブでラムズもエイカーズが走りまくってタッチダウン。20-10 となって折り返した。
後半も 3Q はシーホークスフィールドゴールを一本決めてからおたがいパント三本ずつ蹴る膠着した展開。4Q の頭にラムズフィールドゴールを追加して 23-13 となり、さらにおたがいスリーアンドアウトでパントを蹴りあったが、シーホークスのパントリターンで痛恨のミスが起きる。PR リードがボールを取って勢いよくリターンを開始した直後、タックルを受けてボールをこぼしてしまう。これをラムズがリカバー、それで得た攻撃権をきっちりタッチダウンまで持っていく。これで 30-13 でちょうど3ポゼッション差になって、この日のシーホークスの雰囲気だともう返せないなという感じになり、実際返せなかった。
ラムズは今季シーホークスと戦った三試合ともウィルソンをうまく抑え込んでいて、そこが直接の勝因ではある。次はパッカーズと対戦するが、QB の状況が心配だ。おそらく万全とはほど遠かっただろうゴフの親指は次戦使えるかどうかもわからない。肋骨を傷めたらしいアーロン・ドナルドも次戦戻ってこられるか。かなり苦しくなりそうなのは間違いない。シーホークスは逆に過去二戦かなりやられたオフェンスで工夫が見られなかった。ウィルソンがなんとかしてくれるだろうとでも思っているようにしか見えなかった。並の相手ならそれでもよかったのかもしれないが、リーグ最強の守備相手には通用しなかった。序盤はめちゃくちゃ調子がよかっただけに、もったいないシーズンになってしまった。

最終スコア:LAR 30-20 SEA

Tanpa Bay Buccaneers (11-5; NFC#5) @ Washington Football Team (7-9; NFC#4)

王朝を築いたペイトリオッツから事実上首を切られたGOATブレイディが向かったのはバッカニアーズだった。13年プレイオフから遠ざかっていたチームを移籍初年でプレイオフに導いた腕は見事というほかない。一方ワシントンは今季は苦しんだシーズンで、シーズン序盤はハスキンズが先発、もうさっぱりだめで、中盤からアレックス・スミスが登場すると勝ち始め、終盤ハスキンズが戻ってきて二連敗、あげくに「どこぞの店でマスクもせずに女の子を膝に乗せてる動画」だかなんだかがすっぱ抜かれてハスキンズがクビ、最終週は明らかに足の悪いスミスが戻ってきてイーグルズの敗退行為的選手起用にも助けられてなんとか勝ち、という感じでポストシーズンに残ってきた。
この日はアレックス・スミスがアウト。12 月に練習生からロスター登録されたテイラー・ハイニキーが先発の大役を任された。2015 年にヴァイキングズにドラフト外で入り、ペイトリオッツテキサンズ、パンサーズと渡り歩いて XFL のセントルイス・バトルホークスと契約したもののシーズン自体がパンデミックのおかげでキャンセルされ、2020 年にワシントンと契約した。NFL でのスターター経験は一試合だけ、パンサーズ時代にファルコンズ相手に投げて、インターセプトを三本喫して敗れている。こんなクウォーターバックが、トム・ブレイディと互角の試合をするから面白い。
フィールドゴールタッチダウンで 9-0 とされた返しに、ワシントンはパスをぽんぽんと通して敵陣深くに入ると、最後はギブスン、マキシックとランを重ねてエンドゾーンを陥れる。9-7。このあとタッチダウンフィールドゴールでまた 18-7 と差を広げられて折り返し。それでもハイニキーはくじけず、後半最初のドライブでフィールドゴールを決めると、一本パントを挟んだ後、味方ディフェンスがファンブルリカバーで奪ってきてくれた攻撃圏で見事にタッチダウンまでたどりつく。先発二戦目、しかもそれがいきなりプレイオフとは到底思えない落ち着いたプレイぶりで、自らの脚も活かしてプレッシャーをいなしながら要所でパスを決めるスタイルは堂々たるものだった。ツーポイントは決まらず、18-16。
このあとバッカニアーズがふたたびフィールドゴールタッチダウンと決めて 28-16 と差が開くが、直後のドライブでハイニキーはもう一本タッチダウンを返してみせる。ノーハドルも交えながら長短のパスを次々に通し、最後もサイドライン際のシムズ Jr.へ 11 ヤードのタッチダウンパス。28-23 とみたび1ポゼッション差まで詰めてみせた。もっとも、一度も並べなかったのが力の差、ではあったのかもしれない。返しの攻撃でバッカニアーズフィールドゴールを追加して点差を8に広げる。ワシントン最後の反撃の 3rd&10 でハイニキーがサックされ、勝負あった。

バッカニアーズのことをまったく書いていないが、ブレイディのスタッツが 22/40-381yds-2TD-0INT であるから、それが雄弁に語っている。ワシントンはディフェンスのいいチームだが、それもものともせず 31 点取ったのはさすがとしか言えない。バッカニアーズは次は敵地に乗り込んでセインツと対戦する。今季はスイープされていて相性の良くない相手ではあるが、その時とはブレイディとレシーバーたちとのフィット具合も違うし全然わからないと思う。「ペイトリオッツを出たブレイディ」がどこまでやれるのか注目したい。
ワシントンは混乱に満ちたシーズンを終えた。しかし問題は解決していない。ハスキンズをくびにしただけである。来年果たして QB を誰にするのか。スミスは奇跡の復活を遂げたが、シーズンを通して稼働するのは正直もう難しそうだし、ハイニキーはこの試合は素晴らしかったが能力は依然未知数に近い。このオフにどう動くのか、こちらも若干違う意味で目が離せない。

最終スコア:TB 31-23 WAS

Baltimore Ravens (11-5; AFC#5) @ Tennessee Titans (11-5; AFC#4)

これは熱いカード。というのは、昨季レギュラーシーズンで 14-2 と破竹の勢いだったレイヴンズをプレイオフの初戦で打ち破ったのがタイタンズだったからだ。この2チーム、今年はレギュラーシーズンでも当たっていて、そのときもタイタンズがオーヴァータイムの末勝っている。レイヴンズにしてみれば三度目の正直。タイタンズとしては少しやりにくい相手かもしれない。
1Q はタイタンズのペースだった。ヘンリーのランこそ出なかったが、ボックスにディフェンスを集めるレイヴンズに対してタネヒルがうまくパスを散らしてタッチダウンで先行すると、返しのドライブではラマー・ジャクソンがインターセプトを喫してしまう。タイタンズはそれで得た攻撃権をフィールドゴールまで持っていき、0-10 とリードを二桁に乗せた。ところが 3-10 になってからの 2Q 残り 2:32、レイヴンズの攻撃は敵陣 48 ヤードで 3rd&9。なんてことのない状況だったが、ディフェンスのパスラッシュが若干混乱してレーンが一箇所空いてしまう。それをジャクソンは見逃さなかった。真っ直ぐ走ってそこを抜けると、寄って来たセイフティに対して右にカットを切ると触らせもせずに抜けてしまう。あとはエンドゾーンまで走り抜けてタッチダウンとなった。そこまでのジャクソンはインターセプトも含めて気負いが悪い方に出ている様子で、ボールを持ちすぎて手が詰まっていたが、この1プレイはこの試合で最高のプレイだった。10-10 の同点で折り返し。
後半に入るとジャクソンはうまくアジャストできていて、最初のドライブでも球離れのいいパスをひょいひょいと投げてタッチダウンをあげ、17-10 と逆転。逆にタイタンズはヘンリーのランが必ずいつか出るはずと信じてコールし続けるが、レイヴンズは完璧に抑え続ける。タイタンズフィールドゴールを一本返して 17-13 とした後、レイヴンズのフィールドゴール失敗を挟んで次の攻撃でふたたび敵陣に攻め込む。48 ヤード地点からヘンリーのこの日一番のラン(8ヤード…)が出て 40 ヤード地点で 2nd&2 となるが、このあとパスを二回失敗して 4th&2、残り時間は10:06。ここでのタイタンズのコールはパントだった。結果的にはこれは消極的すぎたか。返しのドライブでレイヴンズは 5:41 使ってフィールドゴールを決めて、かなり勝ちに近づくことができてしまった。それでも 4:19 残っていたから反撃するには十分だったが、タネヒルが右サイドで投げたボールをレシーバーが転倒して競ることもできず、インターセプトとなってしまい万事休す。タイタンズはボールを取り返すことができなかった。
レイヴンズ、ラマー・ジャクソンは三年連続のプレイオフで初勝利となった。昨年は特にきつい負け方だったのでこれは嬉しかろう。チームとしても「なにがなんでもヘンリーに走らせない」という方針が完璧にはまったので、その意味でも会心の勝ち方だったにちがいない。オフェンスが 20 点どまりだったのは不安材料ではあるが。次はビルズと対戦する。タイタンズは序盤はヘンリーをうまく囮にできていたのが、後半は逆にヘンリーのランに固執してしまった印象はあった。おそらく「いつかどこかで必ず出る」という確信があったのだと思うが、とうとうそれは実現せず、1Q のような柔軟な攻撃も最後まで戻ってこなかった。ヘンリーと心中するしかないチームだったのであればそれも仕方ないが、今年のタネヒルならパスベースでもいい試合を作れたと思う。

最終スコア:BAL 20-13 TEN

Chicago Bears (8-8; NFC#7) @ New Orleans Saints (12-4; NFC#2)

おそらく両カンファレンスの 14 チームを合わせてももっとも期待されていないのがベアーズではないかと思う(いや普通にワシントンか……)が、オカルト的には「ニック・フォールズが居る」という強みがある。トラビスキーには失礼だが、案外フォールズが出てきた方がチャンスがあったりするかもしれない、と思いながら見ていた。
前半はベアーズがよく守った。ラッツのフィールドゴールミスとテイサム・ヒルファンブルロストがあったとはいえ、セインツを7点に抑えたのは大したものだ。しかしオフェンスで3点しか取れなかったのは問題で、特に 1Q 途中、敵陣 40 ヤードの 1st&10 でワイルドキャットからトラビスキーがエンドゾーンへロングパスを投げたプレイは本当にもったいなかった。WR ウィムズは完璧に相手を抜き去っていて、ボールはどんぴしゃで落ちてきてあとはつかむだけだったのに、両手の間をすり抜けて地面に落ちてしまった。こういう落とし方を bending machine というらしく、練習でやらかすといじられるらしいのだが、これをプレイオフの逆転タッチダウンでやってしまうのは悲しすぎる。ここで逆転していれば、まあどのみちだめだったような気もするけど、もしかするとセインツを慌てさせられたかもしれなかった。
後半は両チーム合わせて7回しか攻撃が無くて、20 分以上をセインツが消費した。結果はタッチダウンタッチダウン、残り1ヤードでギャンブル失敗、だったのでベアーズはほぼ止められなかったと言っていい。ベアーズは 21-3 とされた最後の攻撃でようやくエンドゾーンまでたどり着いたが、TE ジミー・グレアムがエンドゾーンで見事なワンハンドキャッチを決めた時にはもう PAT を行う1秒すら残っていなかった。
まあ順当としかいいようがあるまい。ブリーズは年齢も年齢だしコンディションが心配だが、今季は途中怪我で休んでいた所為もあってかまあまあフレッシュなようで、あと3試合ぐらいなら大丈夫そうな気がする。ディフェンスもいい状態で、ブリーズにとっては最後の大チャンスとなりそうだ。次はバッカニアーズとの対戦。ブリーズ対ブレイディ、もしかすると最後、そうでなくてももうあと何回かというパサー対決が見られる。ベアーズは前半はなんとか目論見通りの試合を作れたが、後半はほとんどなにもできなかった。力及ばずというところだろう。ニック・フォールズは、とうとう一度もフィールドに立たなかった。

最終スコア:CHI 9-21 NO

Cleveland Browns (11-5; AFC#6) @ Pittsburg Steelers (12-4; AFC#3)

試合が終わってから、ベン・ロスリスバーガーはひとり呆然とベンチに座っていた。なにもかも終わってしまった、とでもいいたいかのように。確かに、少なくともピッツバーグ・スティーラーズの今シーズンは終わってしまった。

先行のスティーラーズ、自陣 22 ヤード地点でのファーストスナップが、ロスリスバーガーの頭の上をはるかに超えて行って芝生の上を転々と転がる。2014 年のスーパーボウルを思い起こした人も多いだろう。だがあの時はセイフティだったのに対し、今回はロスリスバーガーとコナーが一瞬譲り合ってしまい、そこへ殺到したブラウンズの選手がボールを弾いてボールがエンドゾーンに入り、その上でさらにブラウンズのジョセフがボールを押さえた。タッチダウン。ブラウンズが 18 年ぶりのプレイオフでいきなり先制した。ここからロスリスバーガーの悪夢が始まった。次のドライブ、プレッシャーから逃れようとして無理矢理投げた山なりのボールをインターセプトされ、返しのドライブでタッチダウンされる。その次のドライブはスリーアンドアウト、返しのドライブで三本目のタッチダウン。四回目のドライブ、またしてもインターセプト。返しのドライブで、四本目のタッチダウン。1Q で 28-0 というのはプレイオフ史上初めてなのだという。2Q に入ってようやくスティーラーズタッチダウンを一本返したが、すかさずブラウンズもタッチダウンを追加して、最後にスティーラーズフィールドゴールを一本決めて 35-10 で折り返す。

それでもスティーラーズは諦めない。後半開始からランプレイで時間を潰し始めたブラウンズに対し、徹底的にランディフェンスを固めて攻撃を止めると、オフェンスではロスリスバーガーがパスを投げまくって反撃を開始する。ブラウンズの守りが多少ソフトになっていたとはいえばんばんパスを決め、二本続けてタッチダウンを返して 35-23 と、3Q のうちに2ポゼッション差まで詰める。さらにブラウンズは次の攻撃もスリーアンドアウト。一瞬大逆転劇が頭をよぎる。少なくともそのための時間はまだ十分すぎるほどあった。しかしスティーラーズのその次の攻撃はスリーアンドアウトで終わる。スミス-シュスターへのパス三連発をディフェンスがいい出足で止め、ファーストダウンを許さなかった。これでブラウンズオフェンスも目を覚まし、次の攻撃ではパスを交えてひさびさのファーストダウンを獲得すると、敵陣 40 ヤード地点でコールしたスクリーンが大当たりで、RB ニック・チャブがゴールまで一気に駆け抜けた。ここでおそらくは勝負あったのだろう。それでもスティーラーズはもう一本タッチダウンを返したが、返しのドライブでブラウンズは 6:40 費やしてフィールドゴールを決め、リードを 16 点に広げた。その次の攻撃でロスリスバーガーはこの日四本目のインターセプトを喫し、今度こそ勝負あった。

ここ何年か不完全燃焼のシーズンが続いたスティーラーズが、ひさびさに迎えた絶好調の今季序盤。開幕からの連勝を 11 まで伸ばし、早々とプレイオフ進出を決めた。しかし日程のあやで bye week がつぶれ、感謝祭週の休みもなくなり、チームは徐々にコンディションを落としていった。最後の五試合では 1-4 だった。そしてこの試合。同地区の、毎年踏みつけてきたドアマット・チーム相手に、最悪の一人相撲をして負けてしまった。そりゃあベンチに座り込みたくもなるだろう。もはや残り多くはないだろうチャンスを、明らかに自分の所為で潰してしまったのだ。ここ何年か折に触れては引退をほのめかしていたロスリスバーガーがここから立ち上がれるだろうか。
ブラウンズはプレイオフで 21 年ぶり、敵地となれば 51 年ぶり、スティーラーズ相手のハインツ・フィールドでの対戦では 18 年ぶりとなる勝利をあげた。大騒ぎできないのは気の毒な限りだが、ともあれめでたい。メイフィールドも前年には 0-16 だったチームに臆することなく入団し、見事にここまでチームを導いた。次の対戦相手はディフェンディングチャンピオンのチーフス。アップセットをもう一丁やってのけられるか。少なくともモメンタムだけはブラウンズが上だろうけど。

最終スコア:CLE 48-37 PIT