黄昏通信社跡地処分推進室

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赤い公園「オレンジ」

このところこの曲を毎日聞いている。
https://www.youtube.com/watch?v=E0lNhfJQ9qA
赤い公園については名前だけ知っていた。何年か前にメンバーが抜けて、そのあと新しい人が加わったというニュースをたぶん見たことがあって、でも見出ししか見なかった。そしてつい三ヶ月ほど前、悲しい出来事があった、というニュースを、やっぱり見出しだけ見た。

この曲はすごくいい。メロディがいいし、展開もうまい。アレンジもいい。アップテンポでノリのいい曲だが、メロディも歌詞もどうにも切なくて、そういうところも個人的にはとても好きなタイプの曲だ。A メロはほとんどヴォーカルの音域の下限ぎりぎりで、その低い声がまたいい。こんなにポップなロックをやってるバンドだとは全く知らなかった。そして、この曲と詞を書いた人はもうこの世にいない。
さかのぼっていろいろ聞いてみたけど、過去の曲はもう少しトリッキイな曲が多い。「NOW ON AIR」が一番素直かなと感じたが七年前の曲のようだ。この「オレンジ」とカップリングの「pray」は吹っ切れたようにポップなほうに舵を切っている。往往にしてバンドというのは続けていると難しいほうに分け入っていくものだけど、最初からちょっとあまのじゃくだったバンドが王道に寄せてくるときには、てらいのないいい曲が出てくることがある。SuedeL⇔R のように*1。今回のシングルはドラマで使われた曲だったそうで、劇中で主人公たちのバンドが演奏する曲という位置付けだったからこういう曲調だった、という事情はあったようなのだけど、それでもこれをきっかけになにか違った面が引き出された可能性はあったのかなと思う。

しかしこの曲と詞を書いた人はもうこの世にいない、のだ。それは本当に残念なことだと思う。
そういうことがあると過剰に意味を見出してしまうものだが、「最後くらいかっこつけたい」(「オレンジ」)、「君の旅がどうか美しくありますように」(「pray」)なんていう歌詞を見ると、なにか暗示めいたものを受け取ってしまうことは避けがたい。長年のファンや、ましてメンバーにとっては尚更そうだっただろう。

*1:これは完全におれの好みで、古くからのファンは往々にして初期のほうがよかったというものだけど。