黄昏通信社跡地処分推進室

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伏線の回収

つきあいが長い人はおれが若い頃「本物に近い」ことと「リアル」の違いの例としてミニカーを挙げていたのを憶えているかもしれない(……さすがに居ないような気もする)。ミニカーは単なる実車の縮小ではなく、手に取って見たときに、あるいは飾って俯瞰したときに違和感がないように、実物とは違う比率で作られている――という話があって、すなわちつくりものは本物に近ければいいわけではなく、受け手が本物に近いと感じられる嘘を選ぶことが大事なのだ、ということの例えに持ち出していた。でも、ではどのように違う比率になっているのか?という肝腎な部分については実は知らなかった。だからそれを聞かれたときはむにゃむにゃと胡麻貸していたのだが、一昨年から昨年にかけて受けていた研修の中で同期の受講生が別の文脈で不意に教えてくれて、突然長年の疑問が解決した。言葉にしてしまうと本当にあっけないのだけど、本物の車は思った以上に細長いのだ。実感するためにはある程度以上高いビルから眼下の道路を走る車を見下ろせばよい。なんとなく、横:縦を 1:2 ぐらいで想像してしまったりするのだけど、たとえば5ナンバーの車の最大寸法は 1700x4700 なので 1:2.5 よりさらに細長い。これをそのままミニカーにすると多分けっこう細長い車と感じられるのだと思う。