黄昏通信社跡地処分推進室

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ちぎりしま

息子が購読している読売 KODOMO 新聞(スポンサーは義父)に契島(ちぎりしま)という瀬戸内海の島が出ていた。全域が東洋亜鉛という会社の私有地で、ほぼすべてが工場になっているらしい。こんな島があるんだね。もうひとつの軍艦島とか呼ばれているみたいだけど、まあ本当にそんな感じで、島はほとんど建物で覆われている。工場は 24 時間操業しているため、30 人ほどが島の社宅に住んでいるそうだが、全部で9ヘクタールの、しかも自分の勤めてる工場がほぼすべてという島に住むのはどんな感じなんだろうか……。なかなかに想像をかきたてられる。
そもそもは鉛の精錬の際に硫酸が発生するから近隣住民に配慮して少し離れた島に工場を建てたということであったようだが、おそらく今であれば島に建てなければならないほどの汚染を起こすような工場ではないのだと思う。それでも一度建ててしまうと移すのも簡単ではないし、働く人が不便を我慢すれば利点も多いし、みたいなことで今に至る、のかな。国内最大の鉛工場で、シェアは 45% にのぼるらしい。
鉛は方鉛鉱(PbS)から作られ、一旦焼結して PbO を作ってからそれを還元して Pb を得る「焼結-溶鉱炉法」と直接 Pb を得る「直接精錬法」があるらしいが、この工場では前者らしい(「焼結工場」というのが記事の写真に書かれていたので)。その過程で生じる SO2 から硫酸を作っているようだ。

参照:2.C.5 鉛製造(Lead production)(CO2)[環境省]
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg-mrv/methodology/material/methodology_2C5.pdf
※冒頭の反応式のいっこめが間違っている。右辺のふたつ目が 2CO2 となっているが 2SO2 が正しい。
錬金術の館 -- 鉛製錬
https://renkinjutu-no-yakata.com/lead/

国内の鉛鉱山は 2006 年を最後にすべて閉山し、いまは国産鉛というのは一切ないそうだ。知らないことばっかりだな……。