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東京オリンピック・14 日目

  • 空手、女子、形。どんなもんだろうと思ってみていたが、かっこいいのな。ダンスのようでもあり、パントマイムのようでもある。めちゃくちゃに鍛えられた身体と、繰り返し繰り返し練習したであろう動き。「なんだかよくわからないし……」と思ってる人も一度見てみるとよいと思う。清水希容は惜しくも銀メダルだったが、正直まったく差はなかったと思う。これを取り返す機会がないことは残念だが、素晴らしかった。
  • スポーツクライミング、男子複合決勝。8人が決勝に進んでいたが、バッサ・マウェム(フランス、マウェム兄弟の兄のほう)が予選のリードで負傷したため棄権となり、7人で争われた。これは予選のスピードで2位だった楢崎にとっては追い風だった筈だった。マウェム兄がいればおそらく敵わなかっただろうから、ここでも2位が見込まれたはず。そしてマウェム兄はボルダリングとリードでは厳しいからメダル争いにはからまなかっただろう。つまりメダルとは無縁であるはずの(ほんとうはわからないが、ここではそう仮定しておく、ちなみに予選の順位は 1,18,20/20 人中)マウェム兄の不在によってスピードの順位がひとつ繰り上がる皮算用ができるのだが、各種目の順位を掛け算して最終順位を決める以上、「1位と2位以下の差」と「2位と3位以下の差」はけっこう違うわけだ。ところが肝心のスピードの決勝戦で楢崎はスリップして1位を逃してしまう。それでもボルダリング3位、リード6位とまとめたが、2*3*6=36 ポイントでメダルに1ポイント届かなかった。メダルの三人はそれぞれの種目の1位で、掛け算というルール上まあそうなるよねという感じではあった。優勝はアルベルト・ヒネス・ロペスで、誰あろう楢崎がスピードでスリップして敗れた相手だった。持ち時計ははるかに楢崎が速かった。スピードの1、2位が逆なら金メダルは楢崎の首にかかっていた。なんとも悔やまれる敗戦となった。
    • ところでパリ五輪でも引き続きスポーツクライミングは採用されるのだが、「スピード」と「それ以外ふたつの複合」に分かれるらしい。確かに特性がだいぶ違うもんなーと思って納得してたのだが、これ、開催国のマウェム兄弟がそれぞれでメダルを狙えるということなのでは?という陰謀論を今思いついたので、みなさん広めていいですよ。
    • スピードは日本ではおととしぐらいまでほとんど開催すらされてこなかったので実力が未知数、というような話は聞いていたのだが、ふたを開けてみたら楢崎がトップクラスの速さで驚いた。いわゆる身体能力が高い、というやつらしいが、すげえやつはほんとにすげえな。
  • 自転車トラック男子オムニアム。オムニアムといえばてっきり六種目だと思っていたので、四種目と言われてまず驚いた。日本からは橋本英也が出場。トラックを何周もする相互作用の大きい種目が揃っていて、単に脚力だけでもだめだけど、ある程度の脚力が無いとそもそも勝負させてもらえない。
    • いまだにトラック競技の解説には中野浩一氏が出てくるのだが、この人の偉大さはいまなお過小評価されているように思う。ここ 10 年ほどサイクルロードレースを見るようになって、カテゴリは違えど化け物みたいな連中が海外にはごろごろいることを知ると、間接的にますます中野氏のすごさが感じられてくる。とんでもない人だったのだな。