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NFL 2021 -- Week 1

今季最大の変更点はなんといってもレギュラーシーズンが 17 試合に増えたこと。その代わりプレシーズンが一試合減って全体の試合数は 20 に抑えられているが、とはいえプレシーズンとレギュラーシーズンでは全く違う。オーナーもよく選手会に呑ませたものだと思う。増える一試合は今季については「違うカンファレンスの特定の地区(今季だと AFC東-NFC東、AFC南-NFC南、AFC北-NFC西、AFC西-NFC北)で昨年同順位だった相手」となっていて、今季については全部 AFC のホームで開催することとされている。
レギュラーシーズンの開幕週は昨季と変わらず、バイウィークもこれまで通り各チーム一回。ということで、スーパーボウルがこれまでより一週間遅くなる! これはけっこう大きいかもしれない。といいつつほとんどのチームには関係ないわけで、労働条件の落としどころとしては後ろにずらす方が容易だったのかも。

というわけで、開幕!

Dallas Cowboys (0-1) @ Tampa Bay Buccaneers (1-0)

ディフェンディング・チャンピオンが早くも登場。スーパーボウルを二連覇したチームは 2003-2004 年のペイトリオッツ以来なく、ブレイディはこんな形で自分の記録に挑むこととなった。
試合は前半からそのバッカニアーズがリード。アントニオ・ブラウンとグロンカウスキーがもう完全にフィットしていてどちらも大活躍していたのが印象的で、ブラウンは最終的には 121 ヤード、グロンカウスキーは 90 ヤード。ここは二年目で明らかに向上した部分だろう。
とはいえ試合全体ではもたついた印象も否めず、せっかくの相手の FG ミスの直後にファンブルロストしてみたり、その次の攻撃でインターセプトを喰らってみたり(これは明らかに不運ではあったが)と波に乗れず、試合を通してなんと四回ものターンオーバーをやらかす。おかげで、ほとんど終始リードを保ったにもかかわらず突き放す場面は作れず最後まで接戦になってしまった。
4Q 終盤も 26-28 でバッカニアーズが2点リードの場面、タッチダウンまで行けば9点差となってかなり勝利が近づいたはずのところ、ゴドウィンがエンドゾーンまで2ヤードの地点でファンブルロスト。これで息を吹き返したカウボーイズがしぶとくドライブを進め、特に自陣の 35 ヤードの 3rd&11 からシーディー・ラムに通したパスは見事だったが、結局 FG どまりで時間も 1:24 残してしまう。
タイムアウト1回と 84 秒あればブレイディには充分すぎた。グロンカウスキーやジョバニ・バーナード(バッカニアーズにいたんだ!)に短いパスを通して敵陣深くに攻め入り、最後はタイムアウトが無かったのでパスインコンプリートで時間を消費して、K サカップが逆転の決勝 FG を決めた。
カウボーイズプレスコットが復帰、いきなり 403 ヤード投げて 3TD/1INT となかなかよかったが、ちょっとパス偏重になりすぎていたきらいはある。マカーシーによるとバッカニアーズはランディフェンスがいいのでランは避けたということのようだけど、58-14 はさすがに極端すぎたかもしれない。

最終スコア:DAL 29-31 TB

Seattle Seahawks (1-0) @ Indianapolis Colts (0-1)

ほぼ見てない。ウィルソンがフィジカルコンディションよさそうだった。タッチダウンパス4本決めたらしい。コルツはウェンツが投げて 25/38。まあまあってところか。

最終スコア:SEA 28-16 IND

Jacksonville Jaguars (0-1) @ Houston Texans (1-0)

これもほぼ見てない。ジャグァーズはトレヴァー・ローレンスの初先発。3TD/3INT だったとのこと。テキサンズはタイロッド・テイラーが投げて、21/33-291yds-2TD/0INT とかだったみたい。

最終スコア:JAX 21-37 HOU

Cleveland Browns (0-1) @ Kansas City Chiefs (1-0)

モメンタム、モメンタム。
ブラウンズにとってはもったいない一戦であったか。オープニングドライブで敵陣に入ってからのギャンブルを成功させてツーポイントも決めて8点もぎとると、続くふたつのドライブでも立て続けにタッチダウンを奪う、完璧に近い前半戦を送る。最後の攻撃も敵陣 36 ヤードから自陣 43 ヤードまで下げられながら、ラテラルパスをつないで敵陣 12 ヤード地点まで進みあわやと思わせ、前半は 22-10 の大量リードで折り返した。後半、チーフスがファンブルロストもからめて 10 点続けて返して 22-20 となるが、すかさずタッチダウンを追加して 29-20 と突き放す。ツーポイントで余分に奪った1点がこの上なく利いていて、ここまでは本当によかった。
ところがこの次のドライブ、タッチバックで 25 ヤード地点からの攻撃だったが、マホームズからタイリーク・ヒルへのパスが通ってしまう。ホワーイ。わずか1プレイで 29-27 とふたたび詰め寄られると、ブラウンズは焦ったか、返しの攻撃でスリーアンドアウト→パンターがスナップをドロップという最悪の逆噴射をかましてしまう。敵陣 15 ヤードからの攻撃をチーフスはあっさりタッチダウンにして、29-33 とこの試合で初めてリードした。
そうはいってもまだあと7分ちょっとあったのだけど、ブラウンズは攻めが続かず、二回巡ってきた攻撃をパントとインターセプトで終わってしまう。残り1分、もはやタイムアウトも残っていなかった。チーフスはそのまま二回膝をついて勝ち。

メイフィールドが目覚ましい成長を見せて、特に前半は完璧と言っていいオフェンスだった。ディフェンスもよかった。しかしこれでも勝てないんだなあ。開幕戦の勝利は 2004 年が最後だが、またしても勝つことができなかった。それでも悲観することは全然なくて、今年もいいチームに仕上がっていると思う。
チーフスもよかったけど、特に前半ベイカーちゃんにやられたディフェンスは若干気になる。オフェンスは今年もやりそうだ。攻め偏重でスーパーボウルに手が届くか。

最終スコア:CLE 29-33 KC

Miami Dolphins (1-0) @ New England Patriots (0-1)

NFL のシステム内ではあり得ないぐらいの長期にわたって覇権でありつづけた、ブレイディ=ベリチック体制のペイトリオッツ。しかしとうとうブレイディは去り、ベリチックはキャム・ニュートンで昨シーズンを戦い、そして負けた。一方で新天地でブレイディは7つ目のスーパーボウルリングを手に入れた。そして今シーズン、ベリチックはニュートンを切って、ルーキーのマック・ジョーンズをエースと定めた。
ドルフィンズは二年目のトゥア・タンゴヴァイロアがまずまずの働きで、タッチダウンパス一本、ランでも一本、そしてインターセプトが一本。うーん、まずまずよりは悪いか。ジョーンズは 29/39-281y-1TD-0INT でデビュー戦としては上々と思う。
点の入らない展開で、3Q 時点で 17-10 とリードしたドルフィンズペイトリオッツが FG 二本でじりじり追い上げ、4Q にはインターセプトで得たミッドフィールドからのドライブを 11 ヤード地点まで進めたが、そこで RB ハリスが痛恨のファンブルロスト。いやーこれはつらいね。残り約三分半をドルフィンズはきっちり喰いつくして1点差で勝ち。
ペイトリオッツとしても全然悲観することないというか、悪くない滑り出しと言っていいと思う。

最終スコア:MIA 17-16 NE

Chicago Bears (0-1) @ Los Angeles Rams (1-0)

サンデーナイトフットボール
ベアーズの先発はアンディ・ドルトン、ラムズの先発はスタどんことマシュー・スタッフォード。ふたりともおれが見始めたときはまだぴかぴかの QB だったが、もうふたりとも 30 を過ぎて立派なベテランになり、キャリアをスタートしたチームからも離れている。
しかしこの日はスタどんの日、ではあったか。ベアーズは最初のドライブからインターセプト、ギャンブル失敗、ファンブルロスト(ドルトン)とメタメタで、その間にラムズは着々と点差を広げる……と思いきやこちらも微妙で、タッチダウンと FG 二本の 13 点どまり。このあとパント一本ずつ蹴ってから、ベアーズがタッチダウンを奪って折り返す。7-13 と、内容のわりには点差が小さい折り返しになった。
後半、スタどんが 56 ヤードのタッチダウンパスをクーパーカップに通して 7-20。その返しにベアーズは 16 プレイかける渋いドライブで再び7点差に詰めるが、さらに返しにラムズタッチダウンを取ったところでちょっと勝負あったかなという感じ。果たしてその返しのドライブでベアーズは 4th&15 をギャンブル失敗、そこで本当に大勢は決した。
すた丼はタッチダウンパスを三本決めてインターセプトはなし、新天地の最初の先発を完璧と言えるスタッツで飾った。自身の QB としての力を示したと言えよう。ダルトンは追い回されたりサックされたりするシーンもあって厳しそうだった。

最終スコア:CHI 14-34 LAR

Baltimore Ravens (0-1) @ Las Vegas Raiders (1-0)

マンデーナイトフットボール。これは終盤もつれて面白かった!
パントも多かったがそこそこスコアも入るような展開で、前半は 14-10、後半もレイヴンズがリードして 17-10 で 4Q へ。しかしラマー・ジャクソンが自陣で自らファンブルロストをやらかしてしまい、ここから試合が動き始める。まずはレイダーズが今日トータルでは冴えない数字だったジェイコブズのランをうまく出して 17-17 の同点。返しのドライブ、ジャクソンが今度は 49 ヤードの超ロングパスをワトキンズへ通してタッチダウンまでつなげ、24-17 と再びリードする。レイダーズはさらにその返しのドライブ、カーがパスをどんどんつなげて最後はウォーラーへ 10 ヤードのタッチダウンパス。24-24 の同点。
残り 3:44 からの攻撃、レイヴンズはジャクソンのスクランブルがはまって 28 ヤードのビッグゲインとなり敵陣に入ると、レイダーズにタイムアウトを全部使わせて FG を決め、残り 0:37 で3点リードとする。しかしレイダーズもしぶとい。カーが中央のエドワーズにロングパスを通してスパイク、からの、もう一回中央のエドワーズにロングパスを通してスパイク。ここはプレイコールがよかったしカーもエドワーズもうまかった。時間もタイムアウトもない状況で安易にサイドラインを使わず中央、それも二連発というコールにしびれた。これで4秒残して 37 ヤード地点で、同点 FG にかける。55 ヤード、NFL のキッカーでも簡単な距離ではないが、カールソンの蹴ったボールは伸びて伸びてきっちりバーを越えた。27-27 でオーヴァータイムに突入する。
ここからがもつれた。モメンタムはレイダーズ、コイントスにも勝って先攻を選び、順調にドライブを進める。そして 33 ヤード地点からのパス、エドワーズに通って、倒れながら手を伸ばしてエンドゾーンにボールを届かせた。タッチダウン。サイドラインから両軍の控え選手や記者なんかもなだれこんで終戦ムードがたちこめる。でも、タッチダウンだからオフィシャルレヴューだ。そして案の定判定はくつがえってしまう。はいみんな出て出てー。1ヤード地点で 1st ダウンだよー。どうせタッチダウンして終わりやろというムードが漂う中、2プレイ後にカーはインターセプトを喫してしまうのだ。
だがレイダーズディフェンスが頑張った。ラマー・ジャクソンに襲い掛かり、この日二回目のファンブルロストを誘発する。地面に突っ伏してうつぶせに倒れたまま中々起きてこなかったジャクソンの姿はいかにも無念そうだったが、この展開ではやむをえまい。この後レイダーズは FG フォーメーションでディレイオヴゲームを取られてまたカーが出てきて、と最後までばたばたしてたが、カーが見事にワイドオープンのジョーンズへタッチダウンパスを通して勝ち。デスパレートな試合を締めくくった。

最終スコア:BAL 27-[OT]-33 LV

  • マリオタが最初のドライブの3プレイ目 3rd&1 で登場して、QB キープでなんと 31 ヤードゲイン。しかしこのプレイで大腿四頭筋を傷めて試合に戻ってこれなかった。なにかやはり光るものはあるので、こういう感じで使っていったら面白いと思う(セインツのテイサム・ヒルのように)。

Other Games

ARI(1-0) 38-13 TEN(0-1)カーディナルズ快勝。マレーがキャリアハイのタッチダウンパス4本、ランも1本決めたとか。今年こそプレイオフという感じだ。タイタンズはタネヒルが6サックされてヘンリーのランも 58 ヤード。まあまだ一試合だけど、得点も内容も悪い。
PHI(1-0) 32-6 ATL(0-1):ウェンツが去ったイーグルズ、後釜のジェイレン・ハーツが投げて快勝。タッチダウンパス3本でインターセプト0というのは堂々たるスタッツだ。ごたごたしてたけどすっきりしたって感じなのかな。ファルコンズはコーチ陣を入れ替えて臨むシーズンの初戦でこれ。

  • コーダレル・パターソン@ex-ヴァイキングズがファルコンズに移っていた。登録が RB になってたんだけどいつから RB だったんだっけ……。たぶんヴァイキングズ時代は WR だったはず。そして、これってあとから調べるのがけっこうめんどくさいことがわかった。公式でも Wikipedia でも、スタッツのところにはポジションが出てない。

MIN(0-1) 24-[OT]-27 CIN(1-0):あがー。負けた。たまたま最後の最後だけ見てたのだが、レギュラータイムの最後で3点ビハインドからの同点を目指すドライブ、残り 1:47 タイムアウト無しで自陣5ヤードからのスタート、カズンズのパス一本槍で無理矢理 60 ヤード進み、敵陣 35 ヤード地点でスパイク。53 ヤードの同点 FG アテンプトとなる。K グレッグ・ジョセフの蹴ったボールは届かなかった……が、ベンガルズタイムアウトをかけていて命拾い。蹴り直したボールは見事決まり、土壇場でヴァイキングズが追いついてオーヴァータイムへ。オーヴァータイムではパント3本のあとヴァイキングズがドライブを進め、ツーミニッツウォーニングの次のプレイで 38 ヤードまで迫ったが、その次のプレイでダルヴィン・クックがまさかのファンブルロスト。これで得た攻撃をベンガルズは 15 ヤードまで進めて、最後マクファーソンが 33 ヤードを決めてさよなら勝ち。はあああ~。徒労感がすげえ。まあこんなこともある! バロウが元気そうなのは敵ながらよかった。
PIT(1-0) 23-16 BUF(0-1):渋い試合。これ、スティーラーズタッチダウンのうち1本がパントブロックリターンタッチダウンなので、オフェンスではおたがい1本ずつしか取れていない。堅い守りでチャンスをうかがう、おたがいの持ち味が出た感じだったようだ。見てないのでなんともいえないところはあるが、どちらも今季そこそこ以上にはやれそう。
LAC(1-0) 20-16 WAS(0-1)チャージャーズが渋く勝ち。ハーバートがインターセプト1本ファンブルロスト1回とまあまあへぐってたがそれでも 31/47-337yds-1TD/1INT。これでデビュー以来の 16 戦で 4500 ヤードに到達した史上二人目の QB になったらしい(ひとり目はマホームズ)。ワシントンはライアン・“ひげ”・フィッツパトリックが先発したが 2Q の途中で交代、そこからはおれたちのテイラー・ハイニキーニキが投げて 11/15-122yds。ちょっと迫力不足だが悪くはないかな。ここから先発をつかむことができるだろうか(若い印象だけどもう 28 歳)。
NYJ(0-1) 14-19 CAR(1-0):ジェッツはダーノルドをトレードして今年のドラフトでザック・ウィルソンを獲ったのだが、ダーノルドはパンサーズに移っていきなり Week 1 で対決することになった。そして勝ち。これは嬉しかったのではないかな。まあ切られて仕方ない戦績だったとはいえ、新人契約も終わらないうちにトレードに出されていい気はするまい。パンサーズ、ルーキー相手とはいえランも完璧に近いほど抑え込んでいて、案外やるかもと思わせる。ジェッツとしては仕方ない敗戦。
SF(1-0) 41-33 DET(0-1):というわけでゴフが来たライオンズだが、なんというか、ゴフのスタッツがほんとにスタどん的になっててめっちゃ面白いんだよな。38/57-338yds-3TD-1INT。ついでに 4Q 途中まで 41-17 の 24 点ビハインドで、そっからタッチダウン2本決めて両方ツーポイント決めてさらに攻撃権得て 25 ヤード地点まで進んで、結局ドライブが止まって負けたらしい。すごい再現力だ。フォーティナイナーズはいろいろ言ってたけど結局ガロッポッロが先発して 314 ヤード投げて勝ち。最後詰められたのは気になるけど、いいスタート。
GB(0-1) 3-38 NO(1-0)パッカーズって時々こういうどうしようもない負け方するけど、それにしてもちょっとひどい気もするな。ロジャーズはタッチダウン無しでインターセプトがふたつ。セインツは蟹がタッチダウンパス5本決めて勝ち。タッチダウン5本で 148 ヤードというのは NFL で記録に残っている限りは最小とのこと。

  • パッカーズの最後の二回のドライブはジョーダン・ラヴが投げたとのこと。5/7-68 ヤード、ファンブルロスト1回。

DEN(1-0) 27-13 NYG(0-1):今年はブロンコスと一年契約のテディ・ブリッジウォーターがいい仕事をした。ヴァイキングズを出されて以来ジャーニーマンだが、けっこう力はある。ブロンコスはクウォーターバック以外はいつもいいので、これはけっこうはまったかもしれない。ジャイアンツはバークリーがわずか 26 ヤードとほぼ完封されて、ジョーンズひとりでは打開できず。うーん。少しずつ駒がそろっているように思えたが、やはり足りないのか。