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NFL 2021 -- Week 17

昨年までならここが最終週だったけど、今年からはあと一週間ある。
サーズデイナイトフットボールは先週で終わりで、今週は日曜日と月曜日だけ。

Tampa Bay Buccaneers (12-4) @ New York Jets (4-12)

前半の時間帯は KC-CIN を見ていたのだけど、KC が順調に得点を重ねてたのでこちらに乗り換え。明らかに格下の NYJ が意地を見せるかというだけの試合だったが、前半は 10-17 とリードして折り返し。後半も先に点を取り、10-24 とリードを広げる。そしてアントニオ・ブラウンの退場。モメンタムはジェッツにあった。しかし返しのドライブ、バッカニアーズはじりじり攻め込み、4ヤード地点での 4th&Goal からブレイディが左サイドのスラントで入ってきたキャメロン・ブレイトへばっちりパスをヒットしてタッチダウン。17-24 とする。
その後ジェッツパント→バッカニアーズパント→ジェッツパントと続く中ジェッツはどんどん押し戻され、次のバッカニアーズの攻撃はジェッツ陣 47 ヤード地点から。ピンチだったが9ヤード地点でどうにかジェッツディフェンスはバッカニアーズを止め、FG にとどめて 20-24。そして残り 7:36、自陣からのドライブでランを立て続きにコールして時間を食いながら前進し、バッカニアーズタイムアウトも全部使わせて、残り 2:17、7ヤード地点で 4th&2 となる。何を語っても結果論にはなってしまうが、しかしランディフェンスの強いバッカニアーズ相手にザック・ウィルソンのスニークというのはいかにも分の悪い選択ではなかったか。果たしてウィルソンは1インチも進めず攻守交替。

……そして、ブレイディが鮮やかに逆転ドライブを決めてみせるのだ。当然のようにプレイ選択は全部パス。時計を止めるすべもないが、残り時間 2:11 とツーミニッツウォーニング一回があればブレイディには充分だった。33 ヤード地点から、右サイドライン際をエンドゾーンへ駆けあがったグレイソンへどんぴしゃのデリバリーのパスを決めて、逆転のタッチダウン。残り 16 秒でジェッツにできることはなかった。
というわけでジェッツの意地は実らず、嫌がらせをしただけみたいになってしまった。しかしこれだけやれるポテンシャルはあるということなのだよな。毎度毎度変わらず冴えないシーズンだったし、スタッツに至ってはオフェンスが下から八番目でディフェンスが最下位とどっから手をつけたらいいかもよくわからんというところだが、希望はあると信じたい。
バッカニアーズは見事な逆転勝ちで #3 をキープ。#3 までに入っていればディヴィジョンでパッカーズと当たることはなさそうなのでこのまま行きたいところ。幸い最終週はパンサーズ戦なので、まあなんとかなるかな。

最終スコア:TB 28-24 NYJ

Kansas City Chiefs (11-5) @ Cincinatti Bengals (10-6)

上でも書いた通り、前半はこの試合を見ていたのだがチーフスがタッチダウン四本あげてたのでまあこりゃ勝つかなと思って上の TB-NYJ に変えたらこっちが大逆転劇だったっぽくて失敗。いや録画見てたんだから両方見ればいいんだけど、途中経過が入るんすよ(昔は厚紙で隠してたやつ)。まあいいんだけど。
で、前半は完全にチーフスのペース。オープニングドライブこそパントだったものの、その次からはタッチダウンタッチダウンタッチダウンタッチダウンベンガルズも二本目と三本目の後はタッチダウンを返したが、取っても取っても突き放される精神的に厳しい展開。四本目のあとは FG しか返せず、28-17 と 11 点ビハインドで折り返した。
後半は最初のドライブでベンガルズタッチダウンを返した後、パント、パント、パントの間に 12 分以上使う珍しい展開。その後ベンガルズがもう一回タッチダウンを奪って逆転する。返しのドライブでチーフスは FG どまりだったもののふたたび同点に追いつき、この時点で 6:01 とタイムアウト三回が残っていて、もう一回は攻撃が回ってくるだろうというところだった。ところがベンガルズは返しでその残り時間を全部使いきってしまう。3rd&27 からの右奥へのジャマール・チェイスへのパスは神がかっていて、これはバロウ覚醒かという感じだった。1ヤード地点での 4th&Goal でギャンブルして時計を燃やそうとする執念も含めてすさまじいドライブで、最後はマクファーソンが 20 ヤードのタイムアップ FG を決めて勝ち。

ベンガルズはこれで AFC 北地区を制した。今のところ1回戦でコルツ、シード通りなら2回戦でチーフスと再戦ということになるが、さすがに気が早すぎるか。この日の逆転劇は見事だったし、チェイスへ通した何本もの素晴らしいパスはまじでやばかった(チェイスはこの日 266 ヤード!)。チーフスは地区優勝は決めているが、第一シードから滑り落ちることとなる痛い敗戦となった。タイタンズに直対で負けているので、最終週の星で上回った場合のみ逆転できる。

最終スコア:KC 31-34 CIN

Houston Texans (4-12) @ San Francisco 49ers (9-7)

見てません。
フォーティナイナーズが快勝。ガロッポッロは親指を傷めていてこの試合はアウト、ルーキーのトレイ・ランスが 10 月以来二度目となる先発をつとめたが、そこそこよくやったようだ。テキサンズはデイヴィス・ミルズが投げたがこの日は機能せず、2Q にタッチダウンをひとつあげたのが唯一の得点となった。

フォーティナイナーズはこれで 9-7 となりプレイオフ戦線に生き残った。NFC は最後の一枠をフォーティナイナーズとセインツが争うという比較的シンプルな構図で、現在1ゲームフォーティナイナーズがリード、ただし星が並んだ場合にはセインツのほうがタイブレイカーが上になる。したがって「フォーティナイナーズが敗れてセインツが勝つ」場合のみフォーティナイナーズは落ちることになる。ところが次週の対戦相手はフォーティナイナーズラムズ、セインツはファルコンズなのだ。となると落ちる場合もあり得ないとは言えない……というかそこそこ現実的なシナリオとすら思える。面白くなった。

最終スコア:HOU 7-23 SF

Arizona Cardinals (11-5) @ Dallas Cowboys (11-5)

これも見てません。
殿下(@mahal)が「アリゾナ調子落としてるけどうち(カウボーイズ)とやる頃には戻してくんじゃねぇかなあ」みたいなことをツイートしていて、それは普通にありそうと思っていたら本当にそうなっていた。とはいえフェイクパントまで繰り出して(これは成功した、すごいキャッチだった)点を奪いに行って、それでも最後三点差まで詰められたのだから楽ではなかった。カウボーイズはオフェンスのエンジンがかかるのが遅すぎた様子。

カーディナルズはなんといっても連敗を止めたのが大きく、プレイオフへ向けてようやく立て直してきた。負け続けてプレイオフに入るよりはずっといい。ラムズとは1ゲーム差で、来週並べた時だけ地区優勝となる。対戦相手はシーホークスカウボーイズは地区優勝をとうに決めているがこれでラムズバッカニアーズから1ゲーム離されて #2 から #4 に落ちてしまった。このままの順位だと、再来週にふたたびこの2チームが相まみえることになる。

最終スコア:ARI 25-22 DAL

Minnesota Vikings (7-9) @ Green Bay Packers (13-3)

サンデーナイトフットボール
ヴァイキングズの先発 QB はショーン・マニオン。ラムズでプロ入りした七年目だがプロでほとんど目立つ成績はなく、投じたパスは百本に満たず、タッチダウンパスは0、インターセプトが3。負ければシーズンエンドという試合を背負わせるのはあまりにも荷が重い。だがヴァイキングズにほかの選択肢はほとんどなかった。カズンズが金曜日にここへ来ての covid-19 リスト入り。ワクチンも打っていないので五日間の隔離となり、日曜日のこの試合には出られなかった。唯一ルーキーのケレン・モンドが現実的なほかの選択肢だったが、ジマーはマニオンを選んだ。マニオンはカレッジ時代は PAC-12 のシーズンパッシングヤード記録を塗り替えたという輝かしい経歴を持っている。そして RB クックも戻ってくる。どうにかオフェンスを組み立ててくれ、という祈るような思いで見ていた。

が、まあ、駄目であった。6フィート6インチの巨体はお世辞にもモビリティが高いとは言えず、スローイングモーションも正直いささかもっさりしていた。そしてひたすら保守的なクウォーターバッキングだった。なるほどうかつにインターセプトなぞ喫したら試合が終わりかねない。とはいえ、点を取らねば勝ちはないし、マニオンのパスが無ければ点の入る見込みはない。被サックこそ少なかったが、3rd ダウンから 1st ダウン更新をほぼ見込めないチェックダウンに投げるのであればサックと大差ない。ため息ばかりが積み重なった。
前半で 3-20。もはやその時点で勝負はあったが、それでも後半一回だけいいドライブがあった。4th&1 をマニオンのスニークで更新した後、敵陣 35 ヤード地点から、シャローアクロスを走るコンクリンへのパス。コンクリンは取った直後に強烈なタックルを受けてボールが手から飛び出してしまうが、山なりに飛んだボールに C ブラッドベリーがよく反応して地面すれすれでキャッチ。そのまま正面へ走り結果的に 21 ヤードゲインする。笛が吹かれるまでボールから目を切らないことで生まれた、素晴らしいゲインだった。そしてマニオンがそれに応えて次のスナップで中央の K.J.オズボーンへタッチダウンパスをヒット。タイミング、コントロールともにドンピシャで、Pac-12 レコードメーカーの意地を見せるかのようなパスだった。
結局タッチダウンはそれだけで、後半もさらに得点差を広げられて試合終了。ランを結局9回しかコールできず、ディフェンスでもロヂャースにさしたるプレッシャーをかけられず、ほとんどなにもできず完敗。それもまあしょうがないよな、という感じの負け方だった。

シーズンを通しても、ディフェンスがぱっとせず、オフェンスはここぞというところで力を出し切れず、僅差の勝ちも多かったが負けも多く、うーん、という感じだった。

カズンズが来てから四年。ジマーが来てからは八年になるらしいが、カズンズが来る前の四年間のほうが成績としてはよくて、レギュラーシーズンの勝率も、プレイオフ進出回数も最初の四年のほうが上回っている。それもブリッジウォーターやケイス・キーナム(あの年は三人使っていたのだが)を用いてそれだったのだ。もともとディフェンス畑の出身でもあり、ディフェンスに金をかけてがっちり守ってオフェンスはそこそこの QB でそこそこ点取って勝つ、みたいなスタイルのほうが合っているのだろう。カズンズが来て個人的にはけっこう嬉しかったのだが、チームにその給料ほどの勝利をもたらしていないのは多分確かだろう。契約は一年残っているが、さてどうする、というところではないか。個人的には、このふたりのどちらかを選べ、ということならジマーをとりたい。チームが勝ってくれてシーズンが長引くのがやっぱり一番楽しいからだ。NFL を見ていると、ひとりの選手がずっと同じチームにいるほうがまれで、だからカズンズは好きだけど移籍するなら移籍するで

パッカーズはこれで #1 が確定。来週は主力を休ませた上に、再来週は BYE で、プレイオフはディヴィジョナルから、それも地元で戦うことができる。圧倒的に有利なように思えるが、パッカーズは 2002 年シーズン以降プレイオフのホームゲームでは 7-6 という微妙な成績を残している。イメージほど無敵では決してないのだ。さて、どうなるか。

最終スコア:MIN 10-37 GB

Cleveland Browns (7-9) @ Pittsburg Steelers (8-7-1)

マンデーナイトフットボール
レイオフ争いから脱落したブラウンズ、意地を見せることはできず。すでに手負いのメイフィールドが実に九回サックを受け、パス成功率も 16/38。かろうじて四割は超えているが、これでは試合にならない。それでも残り一分で一瞬は 14-19 にしたのだから、むしろ「意地は見せたがこれが精いっぱいだった」というところか。

ブラウンズはメイフィールドが Week 2 に左肩を負傷して、もちろん利き手側ではないわけだがそれをシーズン中引きずることになってしまった。それでも前半は勝ち越せていたが、だんだん負けがこんで直近五試合は 1-4 。リーグ下位に甘んじたパスオフェンスをランフェンスがカバーしてなんとかやってきたが、なにか空回りしてしまったようなシーズンだった。
スティーラーズはぎりぎりプレイオフに生き残り。とっくに自力ではどうにもならなくなっていて、最終週「自身が勝ち、コルツが負け、チャージャーズ対レイダーズが引き分け以外」という条件で #7 に滑り込めるが、コルツの相手がジャグァーズというのがつらすぎる。

最終スコア:CLE 14-26 PIT

Other Games

PHI(9-7) 20-16 WAS(6-10):イーグルズが同地区のワシントンを下してプレイオフ進出を確定させた。前半 7-16 から後半ディフェンスが相手を完封しての逆転勝ちだったらしい。/ワシントンはところどころ光る試合もありつつ 6-10。いろんな意味でこんなもんかなーというシーズンだった。おつかれさま、テイラー・ハイニキー。
JAX(2-14) 10-50 NE(10-6)ペイトリオッツが圧勝でプレイオフ進出決定。これは来てるなー。プレイオフでもっとも不気味なチームと言えよう。/ジャグァーズはローレンスを我慢して使い続けたシーズンだった。星が伴わないのは織り込み済みだろうが、ローレンスが通用するかはちょっとわからん。
MIA(8-8) 3-34 TEN(11-5)ドルフィンズのおもしろシーズン、これにて終了。連勝の勢いもタイタンズには通じなかった。まあそうだろうなという気もするが、なんかの間違いで勝ってほしかった気もする。/タイタンズは中盤沈みかけたがここへ来て直近 3-1 と持ち直しており、この勝利とチーフスの負けで #1 に上がった。来週はテキサンズ相手なので #1 を守れそうな雰囲気だ。
ATL(7-9) 15-29 BUF(10-6):ビルズが勝って地区首位の座を守る。とはいうものの、前半はリードを許して折り返しており、すかっとした勝ち方ではなかったかもしれない。ペイトリオッツタイブレーカー差で上回っているので、次週ジェッツに勝てば地区優勝が確定する。/ファルコンズはここまでプレイオフの望みを残していたがこの負けでエリミネイト。オフェンスもディフェンスもぱっとしないとしか言いようがなく、実際スタッツも悪い。よくここまで残っていたものだと思う。
LAR(12-4) 20-19 BAL(8-8)ラムズが逆転勝ち。スタフォードが 4Q に入ってからタッチダウンドライブを二本成功させる集中力を見せた。ライオンズの頃からこういう力はある選手だったと思う。/レイヴンズは三試合連続でのラマー・ジャクソンの不在でこの日はタイラー・ハントリーが投げたが、オフェンスではタッチダウンをあげることができなかった。この時点ではぎりぎりプレイオフの可能性が残っているが、限りなく厳しい(残れるのは「レイヴンズ勝ち+チャージャーズ負け+コルツ負け+ドルフィンズ引き分けか負け」の時だけ)。ジャクソンの covid-19 やら怪我やらでの度重なる離脱はやはり大きく、実は今年はディフェンスもよくなかった。落ちるべくして落ちた、のだろうとは思う。
LV(9-7) 23-20 IND(9-7):レイダーズがプレイオフ戦線に生き残り。グルーデンのクビで絶体絶命かと思われたがそこからぎりぎりのところで踏みとどまり、この日はジョナサン・テイラーを押さえ……られなかったが、タイムアップ FG で勝ち。最終週の最終戦(サンデーナイト)でチャージャーズと対戦し、そこで勝ったほうがプレイオフに進む(本当はもう少し複雑だが割愛)。コルツはここで勝てていればプレイオフ確定だったが、これで少しややこしくなってしまった。とはいえ最終週はジャグァーズ戦なので、まあ心配はしなくてよさそう。

    • ところでマリオタが復帰してちょっと投げたり走ったりしていた。Week 1で負傷して引っ込んでたので正直忘れてたのだが、いま調べたら 10-25 の試合から復帰してたわ。がはは。

NYG(4-12) 3-29 CHI(6-10):消化試合。ジャイアンツはグレノンが先発、ランプレイ偏重のコールをしたようだがほとんど何もできずに負けた。4/11-24yds とか目がつぶれそうなスタッツだ。シーズンとしてもあんまりなにもできなかったシーズンであったように思う。来年ぐらいまではダニジョンで行くのかなあ。/ベアーズはフォールズ……ではなくドルトンが先発。18/35-173yds-1TD/1INT と凡庸だったが、テイクアウェイ4つもあって快勝。少し光明は見えかけたシーズンだった気もする。あとドルトン、バックアップとしては実に有能。
DEN(7-9) 13-34 LAC(9-7):プレイオフ生き残りを賭けた同地区対決、チャージャーズが勝って最終週に望みをつないだ。前週でテキサンズに勝っておれば今頃は決まっていたかもしれなかったがまあ言っても仕方がない、頑張ってもらおう。ブロンコズはこれでエリミネイト。今季はディフェンスがよくて地味に勝ち星を重ねたが、オフェンスは下から数えたほうが早かった。ブリッジウォーターは悪くないスタッツだったが、ここへ来ての離脱は痛すぎた。
CAR(5-11) 10-18 NO(8-8):セインツがプレイオフに望みをつなぐ。上でも書いた通り NFC はあとひと枠、それをセインツとフォーティナイナーズの2チームだけが争う状況で、星が並んだ時だけセインツがプレイオフに行ける。セインツはファルコンズに勝つことが絶対条件になる。/パンサーズはダーノルドが戻ってきたがオフェンスが機能しないのは同じ。開幕三連勝が遠い日のことのよう。まあ正直ダーノルドがどうにかできるとも思っていなかったが、ニュートンが戻ってきてもだめで、とにかくオフェンスが課題。
DET(2-13-1) 29-51 SEA(6-10):消化試合。シーホークスが9年ぶりの 50 点ゲームで快勝した。今シーズンはなんだかわからんけど負けがこみ始めたところでウィルソンが負傷し、とうとうモメンタムを握れないままシーズンが終わってしまった。スタッツ的にはディフェンスはトップ 10 に入っているので、オフェンス、それもランオフェンスが課題だった。ピート・キャロルもいい加減長く、どこが悪いというのではないのだが妙に沈滞感のあるシーズンだったと思う。/ライオンズは大トレードを敢行、第一印象では若いゴフを得られたライオンズに有利なディールに思えたが、少なくとも今季に関しては全くの真逆だったし、来季以降で根本的に入れ替わるとも思えない。しかし、二勝で終わる QB とも思わないんだよな。捲土重来を期待したい。