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NFL 2021 -- Super Bowl ⅬⅥ

いよいよ今年もスーパーボウル
今年はプロボウルも開催されたが、もちろん見ていない。あれは見るものではない。昨年は開催中止されたがメンバの選出はされた。それが選手の契約やキャリアに大々的に影響するからで、つまりそれこそがプロボウルの本質と言える。あとは選手の家族へのサービスというのがあるので、その点ではかつてハワイでやってたのはひとつの理想的な形だったと思うが、何年か前にそれもやめてしまった。今年はラスベガスだったそうで、これはハワイと同じ方向性と言える。本質的にアメリカンフットボールとオールスター戦は相性が悪すぎるので、おそらく今後も面白くなることはないだろう。それでも上記の理由で存在意義はあるので、「あれは見るものではない」ものであり続けることだろう。(それはそれで面白いものだとは思う)

Los Angeles Rams (12-5; NFC #4(West)) @ Cincinatti Bengals (10-7; AFC #4(North)) @ SoFi Stadium

昨年に続き、開催地を本拠地とするチームがスーパーボウルに進出。昨年が史上初だったのに二年続くというのも面白いものだ。ただし今年はAFCがホーム扱いのため、ベンガルズが黒いほうのユニフォームを着ることになるというちょっと間の悪いめぐりあわせ。
序盤は見ていないが、ラムズのパントの後ベンガルズは敵陣49ヤードでギャンブル失敗。そこからラムズに攻撃されてわずか6プレイでタッチダウン献上という、ちょっといただけない点の取られ方をしたようだ。スタフォードからオデル・ベッカム Jr.へ17ヤードのタッチダウンパスが成功して7-0となる。その後パント一本ずつを挟んでからベンガルズがFGを返して7-3(ここら辺全く見てない)。その次の攻撃の途中から見たのだけど、どうもここもラムズはあっさり取ったようで、ベッカムへ35ヤード、ヘンダーソンへ25ヤードとスタフォードが連続でパスを通して敵陣に入り、最後は右サイドのクーパー・カップへ11ヤードのタッチダウンパス。一本目と同じく6プレイでのタッチダウンとなった。ところがここではポイントアフタータッチダウンのキックでスナップが低く、ボールを蹴れず失敗。13-3となった。
ベンガルズは返しのドライブで細かく細かくボールをつないで前進。もっともゲインしたプレイでも14ヤードという地味な攻撃だったが、他方でパスインコンプリートも一回もないというやられているほうにしてみればおそらく相当嫌な攻撃で、最後はスペシャルプレイでジョー・ミクソンがティー・ヒギンズへ山なりのタッチダウンパスを通してタッチダウン。13-10と素早く差を詰めた。返しの攻撃、ラムズは敵陣に入った直後にスタフォードがインターセプトを喫して無得点に終わる。さらにそのドライブの途中でベッカムが膝を怪我してアウトになってしまう(接触はなし)。そのあとは両チーム一本づつパントを蹴って前半終了となった。

ハーフタイムショーはヒップホップアーティストが五人ばかり連名でクレジットされていた。ドクター・ドレーDr. Dre)、スヌープ・ドッグSnoop Dogg)、メアリー・J・ブライジMary J. Blige)、エミネムEminem)、ケンドリック・ラマー(Kendrick Lamar)、とのこと。おれでも名前を知っている人が複数含まれているというのは率直に凄いな。とはいえ顔は知らないので誰が誰だかまったくわからなかったのだけど。あと、事後の情報ではサプライズで50セント(50 cent)も出場していたとのこと。

で、後半戦。最初のスナップがタッチダウンになってしまう。バロウから左サイドライン際のティー・ヒギンズへのロングパス、これをカバーしていたCBジェイレン・ラムジーが転倒し、ボールを取ったヒギンズはその時点で独走タッチダウン体勢になっていて、あとはそのまま走り切るだけだった。ただどうもヒギンズの手がラムジーのフェイスマスクにかかっていたっぽく、やや疑問の残る判定ではあったがフラッグは出なかった。これでベンガルズが13-17と逆転する。さらにその次のスナップ、今度はスタフォードのパスがインターセプト。スコウロネクへのパスだったがわずかにターンボールになり、スコウロネクが弾いたところをオウジーに捕られてしまった。スコウロネクはこの日ベッカムの負傷以降出番が増えていたがこのプレイを筆頭にあまりいいところがなく、ラムズのレシーバー陣の意外な層の薄さが露呈された格好になった。ベンガルズは敵陣31ヤードという絶好の位置からの攻撃を得たが、いきなり4th&1に追い込まれ、なんとか更新したもののその次のプレイでは3rd&3からバロウがサックを食らって諦めざるを得ず、FGを蹴って13-20とするに留まった。結果的にはここの守りが大きく効いてくる。
返しのドライブ、ラムズは10プレイで52ヤード進むロングドライブを見せたが、タッチダウンには届かずFGを返して16-20。このあとはパント合戦が続く。ラムズディフェンスはバロウにプレッシャーをかけ続け、3ドライブ連続サックを浴びせて仕事をさせない。自陣深い位置からのパントが増え陣地を挽回しきれない苦しい展開が続いたが、ベンガルズディフェンスもラムズに三回連続パントを蹴らせた。ここは地味ながら見応えのある攻防だった。
先にそこから脱したのはラムズ。残り6:19自陣21ヤード地点からの攻撃、いきなり4th&1になったがここでギャンブル。失敗していれば敗因になっていただろうギャンブルを、しかしクーパー・カップのジェットスウィープというプレイで成功させる。言われてみればいいコールで、ここはマクベイをほめるべきか。そしてそこから続けた攻撃をつなげ、最後はやっぱりクーパー・カップへ、1ヤードのパスが決まってタッチダウン。後半開始から実にクロックで28分ぶりの再逆転だった。23-20。
それでもまだ1:25残っていて、タイムアウトはふたつ。最悪FGでも同点にはできる。バロウならやってくれる……! という感じで返しのドライブは始まったが、しかし結末はあっさりしていた。敵陣49ヤードの4th&1、コールはパス。バロウに任せようということだったのかもしれないが、悲しいかなオフェンスラインがもたない。ドナルドがバロウに迫り、なんとかバロウはパスを投じたが、インコンプリート。39秒を残して勝敗が決した。

派手さはなかったけど意外な展開やじりじりする攻防もあって、なかなか面白い試合だった。バロウは終わってみたらサック7回食らっていて、気の毒でもあるし、そこはまだスーパーボウルを勝てる準備がチームとして整っていなかったということなのだと思う。なにせバロウを獲ってから二年目。できればあと一年ほしかった……というのも変な言い方だが、来年もこんな風にかみ合う保証はどこにもないわけで、楽しみではあるけどもったいなかった印象はある。とにかくオフェンスラインなんとかしたいですね。ラムズは逆に、地元ロサンゼルスでのスーパーボウル開催というアピール機にオールインして、ドラフト指名権をばらまきながらトレードで補強してスーパーボウルを勝った。こういうやり方が理論上はありうることはもちろんみんなわかっていたと思うけど、ここまで徹底的にやって実際に結果を残したのは珍しいのではないか。その中ではやっぱりスタフォードに目をつけたところがよかった。ゴフだってそう悪いとは思えないのだが、それにのし(ドラフト指名権)をつけてまでスタフォードを獲って、おれは正直本気か、と思う程度には疑問手だと思っていたけど、お見それしましたというほかない。スタフォードにとってもあのままライオンズでくすぶり続けてキャリアを(ほぼ)終える未来が濃厚になっていた中、最高のチャンスを与えられて一年目に最高の結果を残したのは素晴らしかった。この試合ではインターセプト二本食らっちゃってMVPはなかったけど、まあそれは今後もしまたスタフォードがチームをスーパーボウルに導けるようならきっとチャンスが来ることだろう。
そのMVPはクーパー・カップのものになった。この日のスタッツは8rec-92ydsとそれほどでもないんだけど、ダブルカバーされる場面も多かったみたいだし、最後のドライブの4th&1を獲ったところも含めて存在感は大きかった。ベンガルズオフェンスラインへのプレッシャーを与え続けたアーロン・ドナルドに取らせてもよかった気もするけど、まあ好みの問題というレベルかな。

最終スコア:LAR 23-20 CIN