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ツール・ド・フランス 2022 第11ステージ

昨日詳しく書いちゃったけどこの日がたぶん一番面白かった。アルプス三連戦の二日目、この日から本格的に山岳、というステージ。
タデイ・ポガチャル(UAE)の安定感は半端なく、この日も途中までは危なげない走りを見せる。一方でヨナス・ヴィンゲゴーを擁するユンボ・ヴィズマは総力戦でポガチャルを崩しにかかる。まずは序盤からワウト・ファンアールトが飛び出してクリストフ・ラポルトともども逃げに乗る。このあと集団ではログリッチやクライスヴァイクがアタックを仕掛けてポガチャルの体力を削りつつ、前からはまずラポルトが下りてきて下りを引き、ガリビエ峠では今度はファンアールトが下りてきて前を引く。ファンアールト、ログリッチ、クライスヴァイク、ヴィンゲゴーという豪華すぎる面々がポガチャルを囲んだ。それでもポガチャルはアタックを逐一自分でつぶしに行き、カメラにふざけてみせる余裕すらあった。
のだが。
最後の登り、勝負どころでヴィンゲゴーが仕掛けるとポガチャルはまったくついていけない。唯一残っていたアシストのラファウ・マイカが引こうとするが、それにもついていけない様子で力なくペダルを回す。対照的にここまでチームメートに守られて力を溜めていたヴィンゲゴーは絶好調で、ポガチャルをちぎり捨てるとぐんぐん速度を上げ、前に残っていたバルデとキンタナを並ぶ間もなく交わす。そのまま1位でゴールすると、ポガチャルがよろよろとゴールを通過したのは実に三分近く後のことだった。
完璧なるユンボ・ヴィズマのステージだった。各チーム毎ステージ毎ステージいろいろ作戦を立てて臨むようだが、ロードレースの各ステージは生き物のようなもので、思い通りに動くことは本当に滅多にない。それがここまで上手く行って、王者からマイヨ・ジョーヌを奪い取ってさらに二分ものタイム差をつけるという最高の結果が伴うなんて、ほとんど信じがたいことだ。もしこのままパリまでヴィンゲゴーが黄色いジャージを着続けられたなら、この日のことは長らく語り草になるだろう。