地球ではないどこか、はるかに発達したテクノロジーを持っていた人類は、ロボットを作り出し使役していたが、ある時期にその権利を認めて袂を分かった。主人公のデックスはそんなロボットのひとりモスキャップと偶然出会う。ロボットは独特の、生態と言ってもいいような暮らし方をしていてデックスは驚くが、モスキャップから見ても人間の暮らしは驚きの多いものであるようだった。
そのままふたりは連れ立って旅をする。いろいろな土地を訪ね、さまざまな人と話をする。シチュエイション自体はそこまで目新しいものではない。すごく大きな事件が起きるわけでもない。でも会話が繊細で優しくて滋味深い。SFでこういう話読むことあんまりないので新鮮だった。
ところで日本語の役割語というやつ、便利だし個人的にはわりと好きなのだが、本作の翻訳では少しあだになっている。デックスもモスキャップも性別を持たないが、日本語には役割を持たないしゃべり言葉はないんだよね。それでどうしてもどちらかの性別を想像してしまう。まあおれの問題かもしれないが、これは解決しがたい問題と感じた。
「ちょっと休憩が必要なすべての人に捧ぐ」という冒頭に掲げられた文はまさに当を得ている。面白くて楽しく、ちょっと安らげた。
