黄昏通信社跡地処分推進室

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『色色衣』スピッツ ポリドール,2004 UPCH-1335

スピッツの所謂レアトラック集第2弾。
スピッツを聞き始めた頃、既存のアルバムだけじゃ物足りなくなって、それまで出てるシングルをレンタルでまとめて借りてきてB面曲だけ集めてテープに落としたりしたことがあったんだけど、驚くほど好い曲が多くてかなり聴いた憶えがある。のちに『花鳥風月』というレアトラック集が出て、そのテープと重なってる曲も多かったけどやっぱり結構聴いた。シングルまで全部買うファンとなると流石に少ないことを考えると、適切な時期にこういうCDを出すのはとても的確なファンサービスだと思う。メンバーたちも『リサイクル』辺りに比べるとずっと好意的にふるまってるみたいだし。(当たり前だ。)
ちょっと地味な曲からなかなかポップな曲、素人耳にも実験してるなって感じの曲、とレアトラックらしく印象はばらばらなのだが、前作同様質は低くなく結構聴ける。特に草野正宗の思いつきで作ったらしい「大宮サンセット」が、シンプルなサウンドと美しいメロディ、そして妄想一杯の歌詞で大変素晴らしい。こういう曲も時々また作ってくれると嬉しいなあと思う次第。
あと興味深いのはデビュー前の音源だという「僕はジェット」。スピッツのメンバーは4人ともブルーハーツが好きで、というのは有名な話だが、それに関連して語られる「初期の草野はあきらかにヒロトを意識した歌い方だった」という方はどうしてもぴんと来ないでいた。それがこの曲を聴いて一発で納得。こういうことか。もちろん今のスピッツにつながっている部分も感じ取れるのだが、それ以上にブルーハーツっぽいとすら思える。当時こっちをリリースしなかったのは明らかに正解だろう。
スピッツ好きだけどこれまで買うかなあ、と迷ってる程度の人には買ってしまえと言うぐらいにおすすめ。だいたい元のシングル持ってるしなあ、なんて人には無理にすすめないが、そんな人は多分これもとっくに持っているだろう。