黄昏通信社跡地処分推進室

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「There's Glory in Your Story」 IDLEWILD, 2000

『100 ブロークン・ウィンドウズ』(東芝 EMI,TOCP-65397)のボーナストラックとして収録。初出は「These Wooden Ideas」の CD1 *1
この曲は2分ちょうどしかない。前奏も間奏も後奏もなく、ぱっと始まってぱっと終わる。アイドルワイルドはそもそもそれほど曲の長い質ではないが、それでも「Self-Healer」すら2分ちょっとはかかる。ことさらアップテンポでもないこの曲を2分に切り詰めたのは、多分特定の意図があるんだろう。
歌詞には特別なところはない。多くは語られないが、歌い手は恋人を失って町を歩きまわり、勝手にブルーになって捨てゼリフを吐いて町を出る(と言う)。それだけ。なのに、美しいメロディと少し切ないアレンジに乗せて歌われると、どういうわけか心を打つ。

Sometimes simple chords are the best
The simple approach is the best
If it makes more sense than any other
It makes more sense than any other

サビではこの直球ぶり。そうだ、単純なコードが一番心に響く瞬間もある。単純なアプローチがなによりも筋の通ったやり方だってこともある。たった2分あれば、胸の内に残るものを投げかけることができるんだ。
本当に素晴らしい曲。もし『100 Broken Windows』の日本版を買うか輸入盤を買うか迷っている人が居たら、絶対に日本版を買うべきだ。もう一曲のボーナストラック「Meet Me at the Harbour」もとてもいい。数百円の違いなんて問題にならない。

*1:CD1: UK では、シングルを出す時にカップリングの違う CD1 と CD2 を出すのが何故か知らないがわりと一般的。少なくとも珍しくはない。あまりにあざとい商売だと思うのだが、そういうもんだと思えばそういうもんなんだろうか。アーティスト側もわりと気軽にカップリング曲を作って入れている印象がある。