黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

幻のロシア絵本1920−1930年代展(東京都庭園美術館)

目黒まで電車で移動。最近暑いので電車乗りまくってる。
ロシヤ・アヴァンギャルドに関しては、以前京橋のフィルムセンターで映画ポスター展を観たことがあるのだけど、なんなのか実は知らない。ただ、そのポスターたちはほんとにはっとするような構図と色使いで、陳腐な表現だけど本当に今見ても新鮮だった。20年代から30年代ってのはちょうどそのポスターたちと同じ時期で、絵本の表現にもそういうはっとするようなものが見られる。
個人的に一番好きだったのは『郵便』。書留が受取人を追って世界中を一巡りする話なんだけど、そんなへんてこなシチュエイションに託して郵便そのものを描いてしまう、というところがとても楽しいし、絵も世界の街並みをそれらしく描いていて素敵だった。
あと装苑にも載ってて話題(らしい)の『おろかな子ねずみ』はカマス連れてきちゃうところが凄くいい。カマスって。
それと、庭園美術館はやっぱり建物が素敵だ。おんなじ展示観るんなら建物が好い方がいいよね。今回は最上部の「ウインター・ガーデン」という部屋が新たに公開されていて、そこに今回展示された絵本のコピー版が置いてあった。
いろいろ気に入ったので図録とTシャツを買う。Tシャツは折からのTシャツ不足ゆえ買った、という面もあるのだが、『おろかな子ねずみ』の一場面でなかなかよろしい。展覧会で図録を買うのは本当に久しぶり。たぶん「プラスチックの時代」展以来だから、3年半ぶりってことになる。(あの図録は本当によくできていた。しまいっぱなしだけど。)
最後にひとつ。「エピローグ」で、スターリン時代以降のレーベジェフの作品に「可愛らしく描こうという萎縮した意図だけがむなしく露呈している」というようなテキストがついていたのだけど、流石に厳しすぎる意見と感じた。作風の差は確かに「目を疑うほど」ではあると思うが、『森は生きている』の表紙など、精緻で美しいとおれは感じた。