黄昏通信社跡地処分推進室

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三日坊主新馬チェック 2005-2006 (23)

今週と来週は2場開催。

オープン

東京11-19-11R(T18) 東京スポーツ杯2歳ステークス(G3):フサイチリシャール(牡・父クロフネ/母フサイチエアデール
(20) に続いて二度目の登場。これで3連勝になる。
好スタート&好ダッシュからハナを切ると、ある程度差を広げたところで上手くスローに落とす。全体では前半の方が遅いほどのペースで、速い上がりでまとめて逃げ切り。時計はレコードでこれは強かった。かなりのスピードを持っているが、殆ど競り合う場面がなかったのは今後微妙ではある。それでも後続が来たところで突き放したのだし、まずは文句のないところか。当面の敵は勝ち馬が5年連続骨折中というこのレースの験の悪さだろう。
2着3着は結局道中の二三番手が流れ込んだだけなのだが、それでもこの流れで直線一旦差を詰めるシーンもあり悪くない。2着メイショウサムソン野路菊ステークスの勝ち馬で、ちょうど休んだ週だったがこのついでにレース見て書き足してみた((14) 参照)。その時にデンシャミチを負かしている。使い込まれているしフサイチリシャールには2連敗だが、今回の方が内容はよく逆転の余地はある。3着オンファイアは言わずと知れた三冠馬の全弟。ここでもチャンスと見てぶつけて来たのだろうから期待は相当だし、内容としても2戦1勝の馬としては充分過ぎるほどだが、いかんせん上位2頭が強過ぎた。この厳しいレースをして収得賞金が加算できなかったのは正直痛い。
4着にはリメインオブザサンが喰い込む。少し離されたが、時計が速いレースでもここまで来れたのは収穫だろう。まだまだ楽しみ。しかし先日「リメインオブザサン ホモ」で早速検索が来てたんだよなあ……。頑張れ。超頑張れ。

500万下

東京11-20-6R(T14):アポロノサトリ(牡・父 Cozzene/母 Mississippi Queen
(17) 以来。間でくるみ賞((20) 参照)を使って2着に惜敗している。
スタート悪く後方から。道中内に入れられず、ずっと外々を回される。四角でも外を回り直線も大外になるが、そこから他馬とは桁の違う脚を繰り出し、ふらふらしながらあっさりまとめて差し切ってしまった。このメンバーでは完全に力の違う内容。3kg 減とはいえ時計も速い。吉田隼人の騎乗ぶりはほめられないが……。
ジーンだけに行かせた方がいいかと思っていたのだが、とりあえずは差す形でも好走できた。これが上でもできるかはちょっとわからないけど、能力的には上でも通じるものがありそう。難しい部分も多そうだが楽しみでもある。
京都11-19-9R(D14) もちの木賞:レソナル(牡・父グラスワンダー/母ポニーガール)
未勝利に続く連勝で初登場。これで3戦2勝となる。
外から好スタートを切ってハナへ。序盤結構競られるが譲らず、結果的に非常に速いペースになる。そのまま直線を向き、ぴったりついてきた2着馬と叩き合いになり、最後まで抜かせずに押し切った。時計は水準より速い。なにより渋太さが目についた。
グラスワンダー× Seattle Slew × Deputy Minister 。3代母 Late Bloomer はGIを3勝して米国古牝馬チャンピオンになっているらしい。さまざまな米血を集めたなあという感じで、これなら芝に向きそうに思うのだけど今のところダートの短距離しか使われていない。スピードがあるし対応できるのならそういう資質を受け継いだのだろうが、一度芝のマイルから中距離で見たいとは思う。ダートの短距離でオープンまで来ちゃうとあんまり使う番組ないしな。このレースでは強かったが、行き切れないときどんなもんかわからないので、上でやれるかはちょっと微妙。
どうでもいいけどばあちゃんの名前が Loose Bloomers 。ルーズブルマ。まあブルマーってそもそもゆったりしたもんだったらしいが。
京都11-20-5R(T14):ロジック(牡・父アグネスタキオン/母エイプリルドラマ)
これも (17) 以来。こちらは間に萩ステークス(やっぱり (20) 参照)を使って2着に敗れている。
少し下げて4番手から、スローペースで3番手に居た2着馬(ウインレジェンド)を外でマークする形。雁行して先行する2頭との差を三四角で詰めると、直線では2着馬をインに押し込めて先行2頭のぴったり外から先に抜け出す。2着馬は外に立て直して万事急須。と、なんだか漫画みたいなレースだった。最後の脚色は2着馬の方が上だっただけにまともに外に出して叩き合っていたら勝てていたかどうかちょっとわからない。ちなみにこの馬の鞍上が武兄で、2着馬は福永だった。時計は平凡。
前回上ではきついかと書いたが鞍上と展開に助けられて2勝目。武兄は「デビュー時よりよくなっているしこれからが楽しみ」とコメントしているが、今日はいよいよ限界を見せたように思えてならない。オープンでは今度こそきつかろう。あと前回距離適性予想し忘れてたけど、中距離ぐらいがいいんじゃないだろうか。これも武兄によると「このぐらいの距離がいい」みたいだけど。

新馬

東京11-19-5R(D14):ボストンキコウシ(牡・父 Songandaprayer/母 Gale the Queen
うお、懐かしい名前だ。天皇賞・春とかダイヤモンドステークスとか出てそうな名前だよね。
スタートが悪く、仕掛けて中団へ。そこそこ速いペースで折り合って追走していたが、4角手前で何故かついていけなくなる。直線で外に出すとそれでもじわりじわりと伸び、ゴール寸前で逃げ馬を交わした。時計は遅く、内容はほめられたものではない。
Songandaprayer × Dr.Blum × Sea-Bird 。父ソングアンドアプレイヤーは新種牡馬で、代表産駒は夭折した What a Song 。母父 Dr.Blum は日本では影の薄い名マイラー Dr.Fager の仔。んでシーバード。総じてスピードのある血統ではあるのだろう。しかし5代父が Mr.Prospector ってのは驚いた。もうそんなに代重ねてるのな。牝系もあんまりわからんす。祖母は米GI馬を産んでる、とか程度。ダートのマイル向きとする。上では苦しい。
東京11-19-6R(T16):エイシンキャプテン(牡・父キャプテンスティーヴ/母ナスノヴィーナス)
好スタートからハナへ。特に競られるところもなくスローで逃げると、ほぼ3ハロンのレースに持ち込んで最後は突き放し逃げ切り。逃げ馬には辛いコースだが、流石にこれだけ楽な展開なら負けられないところか。時計は水準程度。
キャプテンスティーヴ×ロドリゴデトリアーノ×ミスターシービーキャプテンスティーヴは3頭目の登場、新馬は2勝目となる。うーんまあぼちぼちってとこですかねえ。曾祖母テンモン(父リマンド、中央5勝/優駿牝馬ほか)に、底力を直仔に伝えきれなかったミスターシービー、底力はあるが打率の低いロドリゴデトリアーノと来てキャプテンスティーヴ。いいところを受けていれば強くなりそうだが難しいかな。母の半弟にマイネルシアター(父オペラハウス、中央3勝/2着:青葉賞)が居る。芝のマイルから中距離向き。今日はスローだったが、速い流れに向くように思う。上では厳しい。
東京11-20-5R(T14/filly):ジョウノナンシー(牝・父フレンチデピュティ/母シーズグレイス)
好スタートから好位の外へ。内の2着馬と道中ずっと併走する形。スローペースでわりと団子状に直線を向く。この馬が外を回ったのに対して2着馬は内を突き、ごちゃごちゃした先行馬群に詰まる。この馬が完全に抜け出してから2着馬がようやくさばいて伸びてきたが、ぎりぎりでしのぎきった。江田照男が上手く乗ったし、善臣は相変わらず善臣だ、というところか。ペースが遅いとはいえ上がりも平凡で、正直恵まれた感は否めない。
フレンチデピュティ×サンデーサイレンス×ノーザンテースト。いい種牡馬かかってますなあ。母のシーズグレイスは中央3勝ながらエリザベス女王杯の3着などがある強い馬だった。父と母父まではライラプスアンブロワーズと同じ配合。Northern Dancer が4×4。芝向きで素軽さと決め手があり、マイル以下に向く。多分早熟。あまり多くは望めないだろう。
京都11-19-5R(T14/filly):エアデュシェス(牝・父アグネスタキオン/母エアレンヌ)
そこそこいいスタートから中団を確保、三四角にかけて軽く気合いをつけて上がって行く。牝馬限定の新馬戦としては考えがたいほどの速いペースで、楽な展開ではなかった筈だが直線外から楽に抜け出して先頭に立つと最後は抑える余裕。流石に上がりはかかったが非常に強いレースだった。
アグネスタキオン× Fairy King × ゴライタス。母は中央1勝、半兄エアルレクチェ(父エルコンドルパサー)も現役で中央1勝。ゴライタスは輸入後成功しなかった種牡馬で、不安な部分ではある。芝のマイル向きで速い流れに向く。スローは未知数だが、上でもやれそう。
京都11-19-6R(T16):トップオブツヨシ(牡・父タヤスツヨシ/母ラテルネ)
タヤスツヨシの仔が芝の新馬戦を勝っているのを初めて見た。
好スタートから二番手につけると、序盤は少しだけ行きたがるが三角手前からは落ち着く。スローペースを無駄なくついて回って、上がり3ハロンをきっちりまとめてあっさり抜け出す。センスがいいし時計も速い、かなり強い勝ち方。
タヤスツヨシ×トニービン×エルギャロー。母のラテルネは中々優秀な繁殖牝馬で、産駒にアドマイヤコンドル(父ダンスインザダーク、中央5勝・現役)、カラメルアート(父トウカイテイオー、中央4勝・現役)、ダブルキング(父エリシオ,中央3勝・現役)などが居る。祖母のヨシノカザンも中央で7勝をあげた活躍馬で、マルゼンスキーのハナを叩いたことで有名。エルギャローは今日日めっきり見ないが、ヨーロッパのB級スプリンターの母系にはエルギャロー・スカイマスターの兄弟はちょくちょく見る、とか確か殿下が昔書いていたと思う。エルギャローの兄弟にはついでにナイトアンドデイザセカンドが居るが、この馬は初代サブリナチェリーの母父以外のところで見たことがない。つか、話それ過ぎっすね。
タヤスツヨシとジェニュインは皐月賞東京優駿で続けてワンツーを決めたコンビだが、種牡馬になってからはどちらもダートでしか活躍馬を出せていない。あの年の春の牡馬クラシックは東京優駿優駿牝馬より時計が遅いなどと批判されていたが、振り返ってみるとフジキセキが早々に去り、オートマチックとホッカイルソーは最後までぱっとせず、シグナルライトは夭折し、と確かにどうにも冴えなかった印象は否めない。それがこの2頭の種牡馬成績と相関してるのかどうかってのはまた全然別の話ではあるのだけど。
で、この馬だ。ジェニュインもそうだが、タヤスツヨシとてそれほど血統構成はダート一辺倒とも思えんわけで、スピード豊かな牝系に加えて母父に芝番長トニービンが入ってるとなれば芝で走ってもいいんじゃないの、というところではある。もっともこういう配合の馬もなんぼも居ただろうし大抵は走らなかったということなのだろうから、エルギャローは思ったより大きな役割を果たしているのかも知れない。この馬にはダートサイアー・タヤスツヨシの印象を覆して欲しいものだ。芝の中距離向きとする。上でもやれる。楽しみな馬が出てきた。
京都11-20-5R(D12):コマノルカン(牡・父ボストンハーバー/母リンデンジョオー)
スタートはそこそこだったが下げ気味に後方へ。平均より少し速いペースだったが、四角手前から外を回って追い上げる。直線も外へ持ち出すと力強く伸び、先行馬群をまとめて交わし去った。かなり長く脚を使っていて渋太い内容。時計もそこそこに速い。
ボストンハーバー×リアルシャダイ×ミルジョージHail to Reason の4×4がある。コマノハイ(父スペシャルウィーク、中央3勝・現役)の半弟。父がボストンハーバーに替わって、おそらくは全く違うタイプの馬になるだろう。母のリンデンジョオーはやはり優秀な繁殖牝馬で、産駒のコマノシャーク(父ジェイドロバリー、中央3勝)やコマノマコ(父フォーティナイナー、中央3勝地方1勝・現役)も活躍している。この配合なら芝に向いても不思議ではないが、今日のパワフルな伸びからするとダートの方がよさそう。短距離からマイルぐらい向きなのはたぶん確か。上でもそこそこやれる。
京都11-20-6R(T20):タマモサポート(牡・父タマモクロス/母アンサーミー)
スタートを決めて三番手。もの凄いスローペースになって、4ハロン目から6ハロン目が全部13秒台後半という流石にどうだろうという流れ。ここで3着馬(テイエムセイラン)が外から一気にまくってレースが動きだし、俄然面白い展開になる。この馬はそこで一旦ためて、直線を向いてから落ち着いてスパート。半端に脚を使った馬が伸びあぐねる中よく伸びて、結果的には楽勝。センスのいい内容だった。時計は遅いが仕方あるまい。
タマモクロス×ジョリーズヘイロー× Green Desertタマモクロスの産駒も新馬戦勝つのは久々じゃないだろうか。牝系はちょっとわからない。日本では伯父伯母に活躍馬がちょこちょこ出ている程度。ジョリーズヘイローの産駒はダート向きだったが、芝に向く血は受けていて、おそらくこの馬も芝向き。2000m ぐらいがベストと思う。タマモクロス産駒は大抵一度低迷すると抜け出せないので(マイソールサウンドは偉大な例外といえる)、そうならずにどこまで行けるか、というところなのかな。ともあれ上でも楽しみ。