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凱旋門賞

こんなに悔しいと感じるなんて、思わなかった。ディープインパクトは好きでも嫌いでもないし、恐ろしく強いのは認めるけど、それほど感情移入してレースを観ることはこれまでなかった。それでも直線は本気で差し返せと願ったし、最後逆転が不可能なことが決定的になって、さらに Pride に差し込まれた時には本当に力が抜けた。残念だった。
斤量(差)とか芝の質とか馬場の高低差とか、言っても仕方ないことですら口にしたくなる。それをひっくるめて凱旋門賞なんだってわかっていても。どうにかできる余地があったとしたら、多分、ふたつだけだ。
ひとつは臨戦過程。ぶっつけがそれほど悪い選択ではなかったのは、多分確かだと思う。それでも、どこかを使ってという日程はあり得なかったのかと考えてしまう。フォア賞も厳しいレースだったし、何がベストだったかはわからない。これは結果論に近い。でも、結果として残ったのは、やはりぶっつけの馬は勝てないというサンプルがまた一頭増えたということ。
もうひとつは乗り方。言うまでもなく、これも結果論だ。もし勝っていれば、今回の乗り方は「初めてまっとうに競馬をしたレース」として称賛されていたことだろう。逆も然り。いつものように追い込んで負けていたら、「舞台がまるっきり変わるのに工夫のない乗り方」として非難されただろう。たぶん、結果が伴わない限り批判は避けられなかったんじゃないだろうか。それはそれとして、ではどこが悔やまれるかというと、やはりここ一番で他所行きのレースになってしまったこと、あるいはそうせざるを得ない馬であったということ。結果が伴わずに終わるのなら、自分の競馬を見せて欲しくはあった。Pride が思い切った最後方待機から最後の最後ディープインパクトを交わしたことが、その恨みに拍車をかける。あのスロットには、本来ディープインパクトが居たんじゃないのか。果たしてあれほど伸びてきたか、そしてその先の Rail Link に届くことができたのか、それは永遠にわからないままになってしまった。そのスロットから届かなかったら、おれはやっぱり「工夫がない」って書いてたと思う。でもその時には、少なくともこの疑問は残らずに済んだ筈だと思うのだ。
最後になったが、ディープインパクトが日本競馬史に於いてこの十年紀でおそらく最も重要となる遠征をどうやら無事に終えることができることを(ちょっとまだ気が早いかも知れないが)喜ばしく思う。そして我が国の最強馬に堂々と先着した2頭の素晴らしいサラブレッドに、心からの拍手を送りたい。