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『ジャージの二人』 中村義洋監督,2008

というわけで観てきた。原作の持つゆるやかな空気とそれぞれの持つ切迫感がきちんと映画に落とし込まれていて、よくできていた。ユーモアもくすくす来る加減のよさで、過剰になっていないのもよかった。じめじめ感はもう少しあってもいいような気がした。少し気持ちよさそう過ぎる。観ている分には悪い気分じゃないのだけど。
父親役の鮎川誠がジャージを着ていてもかっこよく、それでいてとぼけた味もあって面白い。これはキャスティングの妙と思う。堺雅人水野美紀も含めて、登場人物が少ないけどよく練られたキャストだった。
誰かとつながるために、右手を掲げて立つ姿。繰り返し登場するその絵は、べたではあるけど微笑ましい。フェイドアウトのようなラストまで、ちょっとにやにやしながら、時々せつなくなりながら、楽しい時間を過ごせた。