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青のオーケストラ(ネタバレ:その2)

しょうもないネタバレ、今回は秋音編です。


メインヒロイン秋音律子。秋音もかわいいよねー。とにかく基本前向きでいいやつなのがいい。まあ作劇上の都合というのは多分にあって青野があんなキャラなのに相方が引っ込み思案だと中々話が回らんみたいなのはあると思うけど、すがすがしいぐらいに前向きで、青野を自分の殻から引きずり出したのは間違いなくこの子だ。青野としてはそれに恩義は充分感じているし、中学から一緒で気心が知れているし、勉強は教えてもらったしバイオリンは教えてあげたしという因縁も浅からぬ相手。普通だったら青野が先に秋音のこと好きになりそうなものだけど、遠慮というか、こいつなのか??みたいな感覚が青野の中にはあるのかもしれない。
というわけで高校入ってから青野と秋音には案外進展がなかったのだけど、ドッペル編で急展開になってこれはよかった。「もしかして緊張してる?」の3コマ先(おれだけ意識してばかみてー…)のところで手前を向いている(=青野に背を向けている)秋音の表情がいい。そして継母である秋音母と秋音の絆が描かれてから「青野くんが律子の彼氏なら大歓迎よ」と前半で出た科白がリフレインされて、これが耳に入った秋音の中で青野と付き合うという可能性が一気に昇華されてしまう。その瞬間の反応は「お母さんのばか」なのだけど、そこから青野と別れるまでの間秋音は半分上の空で、別れ際に耐えられなくなって青野の頬にキスしてしまう。こう来るか!!

……が、そのぐらいで青野くんはぐいぐい来るようなキャラではなく、なんだったんだろうあれは、みたいな感じなので、秋音も(おそらくは自分の感情の思いがけない強さに驚いて)気持ちにふたをしてしまう。翌日の、震えを隠しながらの(……いつも通りできたよね?)というモノローグ、ああどうしてきみはこんなときだけかくも遠慮深いのか。この辺りの振る舞いは完全に負けヒロインのそれで、本作の味わい深いところのひとつ。
というわけで、青野とハルは付き合うところまでは行くんじゃないかな、というのが現時点での予想で、作者は単行本の見返しで「自分でもどうなるかわかりません」と書いていたが流石にフェイクだろう。そこから秋音がふたをした気持ちにやっと向き合う過程は描かれるのだろうし、青野は青野で自分の想いに気づくという流れになるんだろう。ああかわいそうなハルちゃん。
ただ、これは鉄板の平凡な予想で、もちろんその流れの中で描かれる細やかなあれやこれやが甘酸っぱく眩しいものであればそれで充分と思うけど、もしこの展開にならなかったらと考えると熱い(ファンには叩かれたりしそうだけども)。まだ当分先のことになるだろうけど楽しみにしている。

しかしそれはそれとして、あの「マジかあ~」というコマは実によかったですね。秋音というキャラクターが存分に出ていたと思う。