妻が偶然図書館で見つけて借りてきた本。富山県の小学生(当時2年生)の夏休みの自由研究をほぼそのまま書籍化したものなのだが、目のつけどころと調査・取材力が実に見事で、あまりに素晴らしいので土地家屋調査士連合会が出版することにしたといういきさつで本になったらしい。そのためかどうかわからないが ISBN がどうやらなく、書店でも扱いがないっぽい。
「ボタン」というのは地面の境界標のことを指している。中央に鋲があってまわりにプラスチックの笠がついているあれである。著者は学校の行き帰りの道路にある「ボタン」を不思議に思い、その中の設置者が書かれているものを手がかりに実際に設置した人たちのところに話を聞きに行く。見た中ではどれが一番えらいのだろう、きっとほかにもっとえらいボタンがある筈だ、と想像しながら調査を進め、その中でいろいろな標の役割やそれぞれの重要性を知っていく。この過程が素晴らしく、小学2年生にこれほどのことができるものかとただ感心する。もちろん指導した方の導きがよかったのだろうが、さりとて誰にでもできることからはほど遠い。息子が、あるいは娘が、将来こんなことを夏休みに成し遂げる日が来るのだろうか? ……来るかもしれないし来ないかもしれない。まあ両親次第なのかもしれない。
ともあれ、おれが境界標マニアだからかも知れないけど、単純に面白かったし、よくできていた。
詳しい経緯はわからないが、この本は全頁がインターネットで無料で公開されている。興味のある方はご一読あれ。
http://www.chosashi-hyogo.or.jp/information/wisebook_hyogo201211/index.html#1
また、この本をもとに作られた本もあるらしい。
調べてみよう 地面のボタンのなぞ 一番えらいボタンをさがせ!!
こちらは日本加除出版から出版されていて、ISBN もついている。(ISBN:9784817841285)
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ちなみに――本の趣旨的にはわりと台無しだが――「えらいボタン」こと公共基準点や三角点はこのサイトで探すことができる。
基準点成果等閲覧サービス(標準)
これはこれで結構面白いので自分の家とかよく行くところとかの近所を見てみよう。そして普段使う通り道に基準点があったら、ちょっと足元を気にして歩いてみよう。