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スピードの絶対値ってなんなんだ(その5・最終回)

前回騎手を勝春型と江田照型に分類しました。どんな分類なんでしょうか(いろんな意味で)。おさらいも兼ねて、もう一回見てみましょう。

勝春型=「係数」が高い、馬を動かすのが巧み、追えるあるいは負担をかけない
柴田善臣大先生、四位洋文武幸四郎吉田豊松永幹夫安藤勝己
江田照型=「方向」の選択が的確、戦術家、位置取りやコース取りが上手い
後藤浩輝佐藤哲三芹沢純一大西直宏岡部幸雄石崎隆之

なんだこれ
とはいえ分けてしまったものは仕方ありません(アーキタイプ大好き♪)。ので、このまま話を進めようと思います。
そもそも、競馬を観始めた頃から、騎手の「上手い」というのがいまいちはっきり解らないな、と思っていました。競馬雑誌などで時々見る関係者のインタビューなんかで言われる「あいつは上手い」というのにも、肯くよりも首を傾げることの方が多かった気がします。正直騎手にはそんなに興味無かった(今でもそんなに無い)のでその後はあんまり考えが進まなかったのですが、それでも長いこと観てるうちにどうやら二種類「うまい」ってのがあるっぽいな、というのは感じるようになりました。感覚的な分類ですが、それに従って強引に騎手を分類して行くと、まあ上の表のようになるわけです。今回スピードベクトルという概念を提唱している関係でそっちから攻めてみましたが、分類自体は先に出来てました。ちなみに最初につけた分類名は「武豊型」と「岡部型」です。
前者と後者では、筆者は後者に感心させられることが多いです。まあ実は前者には「追えるあるいは負担をかけない」とか書いてあって、追える騎手が魔法のように馬を動かしてくるさまというのはそれはそれで心躍るものがあるのですが、後者の騎手が見せる巧騎乗にはやはり唸らされるものです。
前者の中でも「負担をかけない」タイプの騎手となると、ますますおれなどには凄さがわかりにくいです。こちらの代表がまさに柴田善臣で、この人はおそらく相当高い「係数」を持っていながら、方向の選択でやらかしちゃうことがあるので、ファンから非難を浴びることが時々あります。ところが、そんな日々が続いても柴田善臣の乗り鞍が減る気配はあまりありません。
ここから先は推測になりますが、おそらく柴田善臣は関係者からの信頼が厚い騎手なのです。そう思い付いた時に、競馬を観始めた頃の違和感がおれの中で蘇りました。当時、まだ売り出し中だった四位がちょうど注目を集め始めた頃で、まさに上で書いた“関係者に「あいつは上手い」と言われるような騎手”だったのです。でもおれにはどうも四位のよさがよくわかりませんでした。四位をほめていたある騎手のコメントにいわく、「道中あれだけ馬に手綱をくれてやっていて終いまで脚を残せるのは凄い。真似できない。」 何が凄いのかさっぱりわかりません。いや、技術的に凄いんだろうことは想像がつきます。プロにとっては、これは馬との折り合いというものを高いレベルで達成していることの端的なかたちなのでしょう。しかしファンからしてみれば、手綱引っ張ろうが背中丸めようが最後に1着になってくれる騎手が一番凄いです。
これに気付いた時に、いろいろ腑に落ちました。要するに、世の中には自分の好きな種類の「上手い」とそうでもない種類の(決して嫌いではありませんが)「上手い」があるのだということ。それはどちらも重要な要素なのだけど、傍から見ていると一方はわかりやすくもう一方はわかり辛い。
そして、関係者は馬の能力をより多く引き出してくれる騎手を高く評価します。それは負けた時の印象によります。江田照型(方向選択型)の騎手が力及ばず敗れた時、その乗り方(方向選択)が正しかったかどうかは必ずしも判断できません。勝春型(係数型)の騎手が敗れた時にも、同じようにその乗り方が正しかったかどうかは必ずしも判断できません。でも、後者は少なくとも馬の運動能力はより高く発揮させてくれます。あるいは、小さな負担でレースを終えてくれます。これらは日頃から馬を近くで見ている関係者にはよりはっきりわかることでしょう。いずれにしても、明らかに下手に乗ったのならともかく、そうでない場合は後者の方が納得しやすい、という側面はあるのだろうと思います。
もちろん、勝った時は、どんなタイプの騎手であろうと評価するでしょう。しかし、殆どの馬の殆どのレースは負けレースです。おれたち観戦者は、どのレースでも自分の買った馬を見ていて、次にはレースを勝った馬を見ます。関係者とファンが騎手に対して感じる「上手い」のずれは、こういうところから生じるのではないか、と考えられます。(さっきからファンがファンがって書いてますけどひょっとしておれだけだったらどうしよう、というかごめんなさい。)
どちらの「上手い」が正しい、というものではないと今のところおれは考えていますが、現在のバランスが正常なものであるとも考えていません。かつて須田鷹雄氏が非常にさらっと書いていらしたのですが、


日本は跨ることに比べてジェネラルシップ(機略、作戦)が軽視されすぎで、
これには同感です。もう少し、「方向選択」(須田氏の云う「ジェネラルシップ」とここではほぼ同義)が高く評価されてもいいんじゃないかな、と思っています。
また、当事者とファン(一応お金を落とす人でもある)がこういう齟齬を抱えているということはある種不幸な状態ではないでしょうか。マスコミがそのすり合わせの役割を担ってくれればいいのでしょうが、現状では関係者側の視点が強いように感じられます。いろいろ難しい部分もあるのでしょうが、少しでもその齟齬を解消するような視点が出てくれば、と期待します。
えー、っと、それで、なんの話でしたっけ。「スピードの絶対値」でしたね。ずいぶん遠いところまで来てしまいました。自分なりの定義は示しましたが、どうなんでしょうか、これ。皆さんなんとなくでも納得して頂けましたでしょうか。というか、他の人の定義を知りたいです。ぐぐるとあれだけひっかかる、スピードの絶対値って言葉を使っている全ての皆さんに問いたいです。
スピードの絶対値ってなんなんだ。
(おわり)

後記

世の中頭のいい方がいらっしゃるもので、おれが漠然と考えていたスピードベクトルと勝利曲線の話((その2)に詳しい)に近いことを定量化して数値予想をしている方がいらっしゃいます。なに? おまえのトンデモ理論と一緒にするなよって? ですよねー。すみません。
いや、アプローチも別でしょうし、向こうの方がずっと確かなデータと理論に基づいていますが、それでも通底するものが微かにあるように感じます。


最適先行度は、各競馬場、トラック種別、距離毎に設定された値で、一定の条件を満たしたレースの勝ち馬の先行度指数の平均値より算出されています。つまり、この最適先行度指数には、コース形状などの特徴が反映されているということになります。
つまり、「勝利曲線の一番凹んでいる部分」(←なんかもう、これだけで頭悪そうだ)を定量化して算出しましたよ、とこともなげに書かれているわけです。(ただし一頭一頭違う数値になるそうで、確かにそれはその方が妥当なのでしょう)多分有名なブログなので既に御存知の方も多いでしょうが、興味のある方は是非リンク先の他の記事も読んでみて下さい。指数系の予想には興味がなかったし知識もなかったんですが、認識を改めさせられました。自分でやるか、となるとまた別な話なのですが。
あと最後にバックナンバーへのリンクつけときます。
(その5)
(その4)
(その3)
(その2)
(その1)

追記


ついでに「おまえのトンデモ理論と一緒にするなよ」ですが、そんなにワタクシは高飛車ではありません。
「」内についてですが、これは読んでいる方の反応を想定して書いた文で、カミナリさんに直接宛てたものではありませんでした。同じことのような気もしますが、一応。
あと(その4)でこんなことを書いてますが、

逆に「方向選択上位型」の騎手も勿論居ます。が、これは代表を挙げるのが難しい。後述しますが、日本でははっきりこちらのタイプに属する騎手がリーディングジョッキーの上位に来ることが少ないからです。

後述してねえー。すっぱり忘れていました。いっそ潔いほどです。
まあ、言いたいことは(その5)で書いたように、「方向選択上位型」の騎手は能力に比して関係者の評価が低くなりがちで、そうなるとどうしてもリーディングの上位に来ることは難しい、というようなことでした。これが正しいかどうかは検証し切れませんが、ある程度はそういう傾向があるのかなと。

たかしおの:レジャーランド秋葉原店

早くも挫けそうです。
1)雑学ラン2[3] 学問ラン4[3] 芸能ラン5[8]  8位 663- (5/8)
2)雑学ラン1[1] アニゲー3[A] ―――― [-] 10位 65-- (11/16)
3)ノンセク1[F] ―――― [-] ―――― [-] 14位 3--- (11/16)
1回目はサブジャンルに恵まれて3回戦まで行くが、ロミタス先生の教えが守れず(まだ何も教えていないという話もある)。ちょっと諦めるのが早過ぎた。
2回目はなんと苦手の雑学1で区間賞。既見の問題をなんとか拾えたのと、最後は「スウェーデン人だからなんとかソンだろう」という謎の偏見がばっちり嵌って正解。超銀戦のひとり6問は気持ちいい。しかしアニゲー3は易問が5問続いた後知らないタイピング、というハードラック。『鏡の国の○○○○○』だったので「トマトヒメ」と打っておいた。略してかがトマ。で、もちろん死ぬ。正解は「レジェンド」らしい。
3回目は普通に実力死に。むーずかしーい。
白銀賢者10級のまま(478→476)。在位は4ゲーム。着順が下がり続けてるのが嫌な感じ……。