黄昏通信社跡地処分推進室

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「名前を残した馬たちへ」(4)

訂正です。(2)でサクラテルノオーを「ダイナアクトレスの全弟」と書いてしまいました。正しくは「全兄」(いっこ上)です。知ってた筈なのに、やっちまいました……。
1回目。→「名前を残した馬たちへ」(1)
2回目。→「名前を残した馬たちへ」(2)
3回目。→「名前を残した馬たちへ」(3)

マックロウ(父トニービン) 用途変更
ベガの全弟。900万下を勝ち切れないのに京都記念に出てきて、差し切り勝ちされて度肝を抜かれた。その後もそこそこ走ったが故障で引退。2002年に種牡馬入りだから、殆ど種付けもせず用途変更ということになる。血統的にも能力的にも、もう少しチャンスがあってもいいのに。
マニラザルーラー(父 Manila) 用途変更
な、懐かしい! ちょうど競馬見始めた年だったから憶えてるけど、そうでなきゃ絶対憶えてない。というか種牡馬になったのは忘れてたけど。そこそこチャンスは与えられたようで、お疲れさまというところか。
ミスズシャルダン(父トニービン) 用途変更
うーん、あまり憶えていない。最近の馬になるほど記憶が薄いのが情けない。成績を見ると、勝ち味に遅いが堅実だった中距離馬、だったようだ。生涯掲示板を外していない。ただ、この程度の馬なら他にも結構居るかな、とは思う。
ミュゲロワイヤル(父リアルシャダイ) 死亡
なんでこの馬になんとなく馴染みがある気がするんだろう。と思って調べたけどおぼろげに憶えてたこと全然違ったしなあ(NHK杯を勝ったと思っていた(正しくはトキノミノル記念))。おそらく見始めた年の新種牡馬なんだと思うが……。リアルシャダイが一番旬な頃に種牡馬やってたが、だからって成功できるとも限らない。死ぬには若いが、何があったのだろう。
モガミ(父 Lyphard) 用途変更
ダービースタリオン様(サブタイトルつけるとすれば「ベスト競馬」*1)。そのダービー馬シリウスシンボリ牝馬三冠のメジロラモーヌ、牡馬相手に重賞を3つ勝ったメジロモントレーなど華々しい種牡馬成績。功労馬としてゆっくり余生を送ってください。しかしこの一覧でポジティヴなことばっかり書けるのこの馬ぐらいだ。個人的には、競馬見始めた頃シンボリクリエンスシンボリモントルーメジログッテンが居たので、「障害に恐ろしく強い種牡馬」という印象がどうしても強い。まあ、実際そうだったんだけど。
ユウセンショウ(父ラグビーボール) 用途変更
ダイヤモンドステークス二連覇など、左回りだけで重賞を3つ勝ったステイヤー。ハンデキャップホースという印象もあって、産駒はほとんどいなかったようだ。ユウミロクは繁殖として優秀だから、能力はあったかも知れないけどね。ラグビーボール、ひいてはナイスダンサーの父系はここまでになりそうだ。
ユウトウセイ(父マグニテュード) 用途変更
7歳まで、休み休み使われて21戦10勝。GIでは良績がなかったけど、天才肌ってイメージだった。綺麗な馬で、綺麗なレース(ってなんだ?)をしていた憶えがある。潜在能力は相当高かった筈。先日もユウヤクジョが勝ってたし、数少ない産駒も頑張ってたんだが。
ユートジョージ(父ミルジョージ) 用途変更
見始めた頃には現役だった筈なんだけど、もう完全にピークを過ぎてしまっていた所為もあってか全然憶えていない。中津で種牡馬をやっていたようだが、産駒は殆ど居なかったようだ。ミルジョージはリーディング・サイアー・ランキングで全盛期のノーザンテーストをしのいだ唯一の種牡馬だが、近親に活躍馬も少なく、需要は望めなかったようだ。
ライブリマウント(父グリーンマウント) 用途変更
交流元年のダート王。実はピークは実質1年少々と非常に短かったのだが、勝ちに勝ちまくって王者の座を不動のものにした。ドバイに行った時にはピークを越えていたのが残念といえば残念。個人的には7連勝より、その前の3歳夏の北海道シリーズが深く印象に残っている。同い年のパリスケイワン、フォスターホープ、ひとつ歳上のマキノトウショウと死闘を繰り広げたオープン特別3連戦は未だに忘れられない。こんなこと思ってるのおれだけかも知れんが。ミツアキタービンには超頑張って欲しいもんです。
ラシアンルーブル(父 Nijinsky) 用途変更
Nijinsky、母の父は Buckpasser、めいにグッバイヘイロー、と考えると相当良血だこの馬。種牡馬としてもイソノルーブルを出した。1988年生まれが明らかにヴィンテージ・クロップで、他にルーブルアクトラシアンゴールド、ユウユウサンボーイが居る。この4頭だけ取ってもタイプがばらばらなように、結構受けが広くて色々なタイプの産駒を出した。ラシアンゴールドが後継種牡馬として頑張っている。年齢(抹消時23歳)的に、仕事は終わった、というところか。
ランズダーン(父 Lyphard) 用途変更
この馬も名牝系の出。しかし、種牡馬としてはぱっとしなかった。ダイワゲーリック、フェイムオブラスの全兄妹が代表産駒。妹の方はおれが見始めた頃はまだ現役だったんだけど、何故かチャンネルフォー(似てない)とよくごっちゃになった。カウアイキング牝馬と非常に相性が好いという話を見たことがあるが、ほんとかどうかは判らない。
レイベストメント(父 Houston) 用途変更
うう、三代以上の血統表が見つからない……。Pedigree Online でようやく見つけたが、そこまでするほどの馬でもなさそう。競走馬として日本に輸入されたみたい。産駒は居るかどうかわからん。
ロシアンブルー(父クロマニヨン) 死亡
むむむ渋い。血統も競走成績も渋過ぎる。産駒も殆ど居なかったようだ。ユートピア牧場の生産馬で、功労馬のような扱いで繋養されていたのだろう。
ワカクサホマレ(父エリモタイヨー) 用途変更
これも渋い。エリモタイヨーはメモリータイヨウを出した一発屋。この馬自身は戸塚記念を勝って、長野県で繋養されてたようです。長野かあ……。何頭かは産駒も居たようだが無念の引退。牝系見ると第五バッカナムビューチーとかいうレジェンドが出てきて驚愕。パーソナリティも、ホクトヘリオスが父系をつなげなかった時点で厳しかったか。

ここまで53頭、アングロアラブは知識が全くないので触れません。
ここに挙がった馬たちは、供用停止にはなってしまったけど、殆どの馬が産駒を残している。その産駒が子孫を残せるかどうかはわからないが、とにかくも、あるサラブレッドの父として、わずかの間でも血統表に名前を刻んだ。それは全ての牡馬にとっての目標であり、殆どの牡馬にはできないことだ。殆どの馬が持っていない何かを、この馬たちは持っていた。
名前を残した素晴らしい馬たちへ、せめて別れの言葉を贈ろうと思ってこれを書いた。生きてる馬は幸せな余生を送って欲しい。もうこの世に居ない馬には冥福を祈る。

*1:蛇足を承知で書くと、初代ダビスタのサブタイトル?が「ベスト競馬」だった。考えてみると凄いタイトルだと思う。