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エース考

じゃあ今マリーンズのエース誰やねん、という話だが、個人的には「限りなく不在に近い」と考えている。
エースってのは「チームを背負って立つ先発投手」だ。往々にしてそれは一番好いピッチャと一致する、けど、逆に言えば必ずしも同じではない。例えば 2005 年のマリーンズでは渡辺俊介の成績がずば抜けていた。対するに開幕当初エースとみなされていた清水直行は 10 勝するのがやっとだった。あの年のエースは渡辺俊だっただろうか? おれは(当時も再三書いたが)違うと思う。
エースってのはある種のキャラクターに依存する。渡辺俊には「背負って立つ」ようなパーソナリティは乏しい。べつにそれはアンダースローだからとかいうことではない。例えば成績が伸びなくて苦しんでいる時に、渡辺俊は清水直が持つような悲壮感を帯びない。もっとも、清水直が当初からそういうキャラクターだったかどうかははっきりしない。清水直はどん底の状態のマリーンズにおいて比較的若くして否応無しに先発陣を支える立場に立たされて、それが「エース」の自覚や責任感を形成した面はあるだろう。先天的な性格にだけ依存するものではない、のだとは思う。
それはそれとして、今のマリーンズでエースと呼ぶにふさわしい存在は居ないように思える。渡辺俊にはキャラクターが、清水直には今期の成績が、成瀬には経験と実績が、それぞれ足りない。そしてそれらは多分、今年のうちに埋められるものではないだろう。
かようないささか乱暴な基準で考えるに、小林宏之はエースまでの最短距離に居る。今期の成績と近年の実績は充分だ。年齢的にもおそらくここ2〜3年がピークだろう。そしてこのところの粘り強い投球を見ていると、エースに欠かせない要素であるキャラクターをも身につけつつあるように思える。清水直にもまだまだ活躍して欲しいし実際できると思うが、エースの座はそろそろ譲る頃合じゃないだろうか。