黄昏通信社跡地処分推進室

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『ルドンの黒』 オディロン・ルドン Bunkamura ザ・ミュージアム,2007

妻が見に行ってとてもよかったというのでおれも行ってみた。盆休みなので平日の午前中から行ったがまあ普通に空いていた。妻も金曜日の夜に行ってがらがらだったと言っていたので多分そもそもそんなに客が入っていないんだろう。
オディロン・ルドンは 19 世紀後半から 20 世紀初頭にかけて活躍したフランスの画家で(QMA でも学問連想かなにかで出題されたと思う)、特に晩年の不思議な色彩の花の絵がよく知られているようだが、この展覧会はひたすら初期から中期の木炭やリトグラフのモノクロ画/版画の集成となっている。特に岐阜県美術館のコレクションによるところは大きいそうだ。
ルドンは異形のもの、特に眼球や骸骨を繰り返しモチーフとした。黒が最も本質的な色だとすら言っていたらしく、細かいが力強い線でごりごりと暗影を描いていく。その姿はみな奇妙であるし形態だけを見れば不気味なのだが、表情や眼差しに常にどこかユーモラスなところがあって、恐ろしい印象は与えない。
もちろん美しくもあるのだが、美しいというのとは少し違う部分で心に残る作品たち。岐阜県となると中々行く機会も無さそうだし、今回これだけまとまって見られたのはとてもよかった。
2007-08-26 まで。