黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

NFL 2013 -- Week 10, part 1

そろそろプレイオフ・ピクチャーって奴が見えてくる。

Washington Redskins (3-6) @ Minnesota Vikings (2-7)

サーズデイナイト。今季ヴァイキングズ見られるのこれが最後かも知れぬ。
第3クオーター残り 1:22、27-21 でレッドスキンズがリード、ヴァイキングズの攻撃中で敵陣 15 ヤード地点でのファーストダウン。クリスチャン・ポンダーは空いているレシーバーを見つけることはできなかったが、代わりに左前方のダウンフィールドに誰もいないことに気がついた。自らボールを持って左のサイドライン際を駆け上がる。ポンダーは結構足が速い。ディフェンスバックが猛然と詰めてくる。右手に持ったボールを前方に突き出し、左のパイロンへ飛び込む。同時にホールに体当たりされ、左サイドラインの外側に叩きつけられるように転がり出た。審判の両手が上がり、フィールド上の判定はタッチダウンとなる。大歓声が響く中、ポンダーが左手首を右手で押さえながら立ち上がった。


この日もヴァイキングズのディフェンスはずるずるだった。前半はレッドスキンズに殆ど全てのサードダウンを更新され、試合開始から5回連続の攻撃権で全て得点を許すという、見ていて本当にフラストレーションの溜まる展開だった。タックルミスも多く、アルフレッド・モリスに好き放題走られていた。
それでもオフェンスが頑張って――あるいはレッドスキンズもたいがいディフェンスが悪く(数字上はヴァイキングズより悪い)、前半ピーターソンのランとパターソンへのタッチダウンパスで 14 点挙げていたため、5回目の失点の後でも 27-14 とどうにかまだ試合になる得点差に踏みとどまっていた。
果たして後半、ポンダーからカールソンへのタッチダウンパスで6点差に詰め寄った後、ディフェンスが初めてレッドスキンズのドライブを途中で止め、その次のドライブで上述のポンダーのスクランブルがあった。
リプレイの結果タッチダウンは取り消され、ポンダーもロッカールームへ下がってしまったものの、1ヤード地点での 1st&Goal をピーターソンがあっさりタッチダウンして、エクストラポイントでとうとう逆転。この後もディフェンスがレッドスキンズに得点を許さず、ポンダーに代わったキャセルがフィールドゴール2本をセットアップして 27-34 でヴァイキングズが今季2勝目を挙げた。


ポンダーのプレイ選択はプロの QB としては失格だろう。ファーストダウンをとったところで外に出ても、スライディングするまでもなくヒットされずに済んだだろう。だけどポンダーはタッチダウンをもぎ取りに行った。
残り全部勝ってもプレイオフは難しい。怪我をするだけつまらない。そもそも痛いし怖い。まだ残り時間はたっぷりある。
でも突っ込む。
フットボールファーストダウンをとるゲームじゃないから。怪我をしなかったチームが勝ちのゲームじゃないから。タッチダウンをとらなくちゃ勝てないゲームだから。
キャセルでも、フリーマンでも、あそこでパイロンまでは行けなかったんじゃないかな、とごく個人的には思う。結果タッチダウンにならないどころか試合から退く羽目になったが(左肩の脱臼とのこと)、チームにもたらした影響は大きかった。ヴァイキングズの正クオーターバックはこの俺だ、クリスチャン・ポンダーだと、満天下に知らしめるプレイだったのではないだろうか。この試合に勝てたことはリーグ的には意味がないかも知れないけど、ポンダー本人にとっては大きな意味のある勝利だった。

Cincinatti Bengals (6-4) @ Baltimore Ravens (4-5)

メタ的な視点で書くと、これ NHK-BS で見ていて明らかに時間配分とはしょり方がおかしかったのでオーヴァータイムに行くことは見当がついていた。でも、試合を見ていると前半からレイヴンズペースで、あんまりオーヴァータイムに行きそうにない展開だった。ようやく 4Q にタッチダウンを1本返して7点差にして、攻撃権が帰ってきて「ああ、これが同点ドライブになるんだな」と思って見ていたらまさかのインターセプトである。残り2分でもう一度レイブンズに攻撃権が渡ってしまう。タイムアウトを使い切って攻撃を止めて、今度こそラストドライブの筈なのに、敵陣に入ったところでサックを受けて自陣に戻ってしまったところでスパイク、残り2秒。じゃあこれヘイルメリー決まるしかないじゃないですか。
スリーメンラッシュでほぼノープレッシャーの状況、適当に時間を稼いでからドルトンが山なりのロングパスを投じる。オフェンスディフェンスが入り交じって8人ぐらい居るところにボールが落ちる。誰かに当たって跳ね上がる。それにレイヴンズ DB のイヘディボが手を伸ばしてもう一度跳ね上げてしまう。跳ねた先には、何故かエースレシーバーの A.J.グリーンがたったひとり待っている。軽くジャンプして、簡単にボールが両手に収まる。タッチダウン
ああ、それなのに、ベンガルズはこのあまりの幸運を勝利に結びつけることができなかった。オーヴァータイムでも先攻を得て、自陣から順調にドライブを進めてフィールドゴール圏ぎりぎりの敵陣 33 ヤードまで進んだが、ここで 3rd&2 からバーナードのランでノーゲイン。FG なら 51 ヤードの距離、向かい風もあってベンガルズの選択はギャンブルからもう一度バーナードのラン。しかしこの2ヤードが遠く、結局バーナードはロスして攻撃権を失ってしまう。返しのドライブをフラッコが冷静にフィールドゴール圏内まで持って行き、タッカーが 43 ヤードの FG を決めた。
お互いディフェンスがいいチームではあるが、それ以上に QB がぴりっとしなくて、ドルトンは 24/51-274yds-2TD-3INT と悲惨な数字(これヘイルメリー(51yds)入ってるからね)。フラッコも 20/36-140yds-2TD-2INT とまあ人のことは言えないという感じで。ベンガルズは好調だったが2戦連続オーヴァータイム負けと少し嫌な感じになってきた。レイヴンズはひと月以上ぶりの勝利だが直接対決での勝利はやはり大きく、ブラウンズに並ぶと同時にベンガルズまでも 1.5 ゲーム差とした。AFC は優勝に関してはこの地区が一番紛れがありそう。