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NFL 2013 -- Wildcard Playoff (part 1)

Kansas City Chiefs (AFC-West; #5 seed(11-5)) @ Indianapolis Colts (AFC-South; #4 seed(11-5))

ワイルドカードレイオフ、第1戦は AFC 西地区のチーフス対南地区のコルツ。この2チームは week 16 で対戦しており、その時はコルツが 23-7 で勝っている。守備力に優れるチーフスとしてはロースコアゲームに持ち込みたいが、後半勝負はコルツが得意とするところ。チーフスとしては勝ち筋が見えにくいマッチアップだった。
しかし試合は最初からチーフスペース。攻撃では得意のランとショートパスを絡めながらレギュラーシーズンではあまり見せなかったロングパスをちょくちょく入れてきて、これがかなり決まる。最初のドライブからタッチダウンを挙げると、次のドライブでは残り1ヤードまで行きながらフィールドゴールどまりで、嫌な展開かと思いきやその次のドライブでまたタッチダウン。面白いほど得点を重ねていく。守備もディフェンスラインがラックにプレッシャーをかけ、最初のドライブこそタッチダウンを許したものの、その後はランプレイもきっちり止めて攻撃を機能させない。インターセプトも1本奪い、そんなこんなで前半は 31-10 と3ポゼッション差で折り返す。
後半に入ってコルツはラックが1プレイ目で投げたパスがインターセプト。これで得たチャンスをチーフスはもちろんタッチダウンにつなげ、38-10 とタッチダウンまる4本分のリードを奪う。いかに後半勝負に強いアンドリュー・ラックと言えども後半だけで 28 点差をひっくり返すのは厳しい。相手が何もしなくてもタッチダウン4本奪わなければならないのだ。
しかしコルツは諦めない。返しのドライブをタッチダウンまで持っていって反撃開始。返しのチーフスの攻撃で、ポケットの外に出ようとしたスミスにマシスが襲いかかり、ファンブルを誘ってターンオーバー。そこから得た攻撃もタッチダウンにつなげて 38-24。チーフスはランが出なくなり、焦ってスミスのショートパスを多用し始めるがこれもいまいち通らない。チーフスはこのあとどうしてもタッチダウンに辿り着けず、3Q と 4Q にフィールドゴールを決めるのが精一杯。コルツは 4Q の最初、ゴール前2ヤードからのブラウンのランがファンブルになりながらボールがラックの目の前に転がってきて結局タッチダウンになる、という幸運なプレイもあってとうとう 41-38 と1プレイ差にまで点差を縮める。
そして残り5分を切ってからのコルツのドライブ、4プレイ目でラックが狙ったのは奥の T.Y. ヒルトン。あまり見せていなかったポストへのロングパスがものの見事に決まって、ついに 44-45 と逆転した。
チーフスは最後のドライブ、時間はまだ充分あるがタイムアウトがないという状況でツーミニッツウォーニングを迎え、4th&11 から当然ギャンブル。スミスはサイドライン沿いを真っすぐ奥へ駆け上がる WR ドウェイン・ボウへロングパスを放るが、ボウはレシーバーを抜いていてかろうじてキャッチ。しかし残念ながら2歩目がサイドラインを踏んでいて、これで試合終了となった。
チーフスは序盤から望外の展開で、信じられないほど大量のリードを奪いながら、それを活かすことができなかった。試合中に次々に故障者が出たことも不運だったが、なにより勝ち試合を勝ち切ることに慣れていないという印象を受けた。
コルツはなによりラックの精神力がすさまじかった。後半だけでタッチダウン5本取るのもすごいが、その間にインターセプトも2本放っている。もちろんディフェンスが頑張ってそれを致命傷にさせなかったのは大きいのだが、それを含めても点を取り続けられるのは並大抵のことではないと思う。

New Orleans Saints (NFC-South ; #6 seed(11-5)) @ Philadelphia Eagles (NFC-East ; #3 seed(10-6))

北米は寒波が凄くてフィラデルフィア辺りもえらい寒さみたいです。南の方の、それもドーム球場を本拠地にしているセインツはこれまでロードでのプレイオフでは勝利が無いらしく、そこが心配な材料ではあった。
試合は静かな滑り出しで、セインツはディフェンスがよく相手に中々得点を許さなかった一方で、オフェンスは珍しくランプレイを中心にじっくり時間をかける我慢の攻め。1Q が双方無得点、2Q にようやくイーグルズが先制のチャンスを得るが 48 ヤードのフィールドゴールを K ヘナリーが外して無得点。結局 2Q 半ばになってセインツがフィールドゴールを決めたのが初得点になる。この後ブリーズがこの日2本目のインターセプトを喰らってしまい、返しのドライブがタッチダウンになってイーグルズはあっさり逆転した。前半は 6-7 で折り返し。
後半試合が動く。セインツが最初の攻撃でいいフィールドポジションを得ると、ランを中心にごりごり攻めてあっという間にムーアのタッチダウンにつなげて 13-7 とまた逆転すると、次の攻撃でもイングラムタッチダウンランを挙げて 20-7 と突き放す。しかしイーグルズも当然やられっ放しではない。フォールズがデショーン・ジャクソンへこの日最長のパスを通すと最後はマッコイが決めてまず 20-14。おたがいにフィールドゴールを1本ずつ入れてから、4Q 半ばから開始したドライブで今度はジャクソンへのパスがセインツ CB ホワイトのパスインターフィアランスを誘って残り3ヤードまで攻め込む。これをフォールズが冷静にザック・アーツを狙ってタッチダウンとし、23-24 と再逆転して残り 4:54 となった。
この後のキックオフでセインツはスプロールズがリターン。エンドゾーン内から右サイドラインまでまくりあげる強烈な走りで、イーグルズ CB ケアリー・ウィリアムズが 37 ヤード地点でなんとか止めるもホースカラータックルの反則でさらに 15 ヤード下がりイーグルズ陣まで入ってしまう。そこからはセインツはランプレイをコールしまくり、それがコンスタントに出続け(3rd&1 が2回あったがいずれもブリーズのスニークでオフェンスラインが圧倒的に押し勝って更新していた)、イーグルズからすべてのタイムアウトを剥ぎ取り、最後は残り2秒からシェイン・グレアムが 32 ヤードのフィールドゴールを決めて勝った。
パッシングオフェンスのセインツらしくない地上ごりごりのプレイ選択だったが、イーグルズのランディフェンスは控えめに言っても平均以下で、わかっていても止めることができなかった。フォールズはところどころ光るところを見せたが、やや持ちすぎる癖があってこの日は本来の力を出し切れていなかったように思う。