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NFL 2017 -- Week 13

これでレギュラーシーズンの四分の三が終了。

Houston Texans (4-8) @ Tennessee Titans (8-4)

AFC 南の同地区対決。
ウォトスンと J.J.ワットを失って失速したテキサンズに対して、マリオタを中心に作り上げたチームが結果を出し始めているタイタンズ。当然後者が有利と思われたが、先制したのはテキサンズだった。タイタンズ PR ジャクソンが 25 ヤードのリターンのあと倒されるときにボールをこぼしてファンブル。これをリカバーして続けての攻撃権を得たテキサンズが敵陣4ヤードまで攻め入るも、ここは FG どまりで 3-0 と先制した。さらに 2Q にはサヴェジから中央でワイドオープンになったミラーへの 57 ヤードのパスで一気にゴール前に迫ると、3rd&3 で左へ流れながらアンダーソンへのタッチダウンパス。簡単ではなかったが見事に決めて、10-0 とリードを広げる。
タイタンズは返しのドライブで反撃。ヘンリーのランとマリオタの短いパスで刻んでいく小気味のいい攻撃で、途中ヘンリーの 24 ヤードのビッグゲインがあると、次のプレイではすかさずそのヘンリーへのハンドオフフェイクからマリオタが自分で持って走るというべたべたのコール。しかしまあ決まるもので、そのまま9ヤードのタッチダウンランとなった。これで 10-7。
このあとテキサンズは 2Q 終了少し前に 48 ヤードの FG チャンスを得るが、これをフェアバーンが決められず、逆に返しの攻撃でタイタンズが FG を決めて 10-10 で折り返した。ここはテキサンズには地味ながら痛かった。


後半もテキサンズは先に得点機をつかむ。最初のドライブを粘ってつなげて、12 プレイで敵陣9ヤードまでたどり着くが、残念ながらタッチダウンは奪えず。しかも確実なはずの距離の FG をフェアバーンが外してしまう。前半最後と合わせて痛い失敗だった。
返しのドライブでタイタンズタッチダウンをあげる。敵陣での 4th ダウンギャンブルを成功させた直後の 24 ヤード地点から、プレイアクションパス。右のインサイドからウォーカーがスラントで入ってくるところに、ほとんど決め打ちのようなパスだったが見事に空いていて綺麗なタッチダウンになった。これで 10-17 と逆転する。
テキサンズも FG を一本返して 13-17 となって、2:47 から逆転を目指して最後の攻撃。敵陣には入るも 3rd ダウンを更新できず、4th&4 からなんと OL のアレンが3回連続フォルススタートで下げられに下げられ、自陣まで戻されての 4th&19 となる。ほとんど絶望的だったが、サヴェジは右サイドのアンダーソンに、ディフェンスふたりの間をほんとうにここしかないという隙間を縫ってパスを通し、1st ダウンを更新した。意気上がるテキサンズだったが、その次のプレイでサヴェジのパスがインターセプト。これで事実上終わっていたが、最後気落ちしたディフェンスがヘンリーにタッチダウンランを許し、13-24 となって終了した。
タイタンズ、勝ってる割にはスタッツは大したことなく、実際見てみてもそこまで目覚ましい感じはなくて、いまいちよくわからんなあという感じ。流石にプレイオフでは苦戦するのではないだろうか。テキサンズはこの日はサヴェジが頑張っていた。怪我人が戻って来れば、まあそれって来年なわけだが、結構やれそうな感じ。


最終スコア:HOU 13-24 TEN

Philadelphia Eagles (10-2) @ Seattle Seahawks (8-4)

サンデーナイトフットボール
順風満帆、ここまで9連勝で 10-1 のイーグルズに対し、ディフェンスバックを中心に怪我人続出のシーホークスが地元でどこまでやれるかという見立てだったが、オープニングドライブでウォルシュが 46 ヤードの FG を決めて先制すると、前半はシーホークスが主導権を握る。1Q のうちにグレアムへの強引なタッチダウンパスで 0-10 とリードを広げると、ディフェンスもシャーマン、チャンセラーを欠く飛車角落ちみたいな状況ながら特に 1Q はウェンツにまともに仕事をさせず、前半は FG の3点しか許さなかった。


後半最初のドライブはイーグルズの攻撃で、結果的にはここが勝敗を分けたと言っても過言ではなかった。ウェンツのパスがよく決まり、途中 4th ダウンにもなったがスニークで更新。ゴール前6ヤード、おそらくゾーンリードで、RB へハンドオフすると見せかけて抜いてまっすぐ走る。ディフェンスの反応は遅れ、エンドゾーンの手前でかろうじてタックルする——と、ボールはかき出されてエンドゾーンを転々とし、そのままフィールド外に転がり出てしまう。タッチバック。返しのドライブでシーホークスタッチダウンまでたどり着き、これで 3-17 と 14 点差になった。同点になっていたかもしれないプレイの直後に突き放されるのはかなり辛い展開だった。
このあとイーグルズはウェンツがアゴラーにロングパスを二本通してタッチダウンを返したが、シーホークスオフェンスもまた直後のドライブでタッチダウンをあげて突き放す。その時点でもまだ7分以上は残っていたが、そこからのイーグルズの攻撃はギャンブル失敗、インターセプトといずれも得点には結びつかずに勝負あり。


イーグルズにしてみればそこまでめちゃめちゃやられたという印象もないだろうし、あのファンブルがなければまったくわからなかった。ここで1敗ぐらいしてもまあプレイオフ行けるだろうし、あまり痛くない敗戦というところだろう。
シーホークスはプレイオフ争いが南地区の2チームとでかなり激しくなりそうなのでひとつたりとも負けたくはなく、ここでリーグ1位相手に勝てたのは大きい。どこまでいっても今季のうちは飛車角は戻ってこないので、そればっかりは……というのはあるが、それにしてもプレイオフには行けるものなら行きたいものでもあろう。


最終スコア:PHI 10-24 SEA

  • シーホークスが 3Q にタッチダウンをあげたドライブで印象的なプレイがあった。まだ自陣での 3rd&8、プレイが崩れてウィルソンが自らボールを持って走り出し、前パスのフェイクのあとスクリメージを越え、しかし 1st ダウンまで行けるかどうかは微妙なところ。ここでウィルソンは自分の右後ろを走っていた RB デイヴィスにラテラルパスを出して、これが見事につながって 1st ダウンに至った。片手パスではあったがラグビーのようなプレイで、さすがウィルソンと思ったのだが、現地の映像ではすぐにリプレイが出て、今のはフォワードパスではないかと疑義が呈されていた。そこではっとした。ウィルソンは確かに真横より後ろには投げている。しかし前に走っているのでボールの速度は(ウィルソンの速度+ボールの投射速度)になるわけで、実際ビデオ映像でボールの位置とフィールドのハッシュを見比べるに、実際にはこれはフォワードパスであった可能性が極めて高い。チャレンジはされずにプレイは活きたが、イーグルズはチャレンジすべきだった。
    • しかしこれ、ラグビーで見たら普通にバックパスと思ったような気もするのだよな。アメフトだとハッシュが1ヤードごとに引かれていて、嫌でもラテラルに対する角度がわかるのだけど、ラグビーだとたまたま各ラインの側じゃないとわからないので。

Carolina Panthers (8-4) @ New Orleans Saints (9-3)

NFC 南の同地区対決。8連勝のセインツをずーっと1ゲーム差で追ってきたパンサーズが、とうとう前週追いついての直接対決で、すでに今季このカードは一度行われてセインツが勝っている。
そのセインツがこの試合も先手を引く。オープニングドライブからタッチダウンで7点を先制したのだが、最後は2ヤード地点で 4th&Goal をギャンブル。右オープンへのカマラのランで、ディフェンスもよく追いついて半ヤードぐらいのところで強烈なヒットを浴びせたが、カマラは倒れず、そのままタッチダウン。すさまじいパワーとボディバランスを見せつけるかのような走りだった。
返しのドライブでパンサーズもスチュアートがタッチダウンランをあげて 7-7 となるが、2Q にセインツが追加点。自陣 16 ヤードからイングラムがボールを持って抜け出すと、ディフェンスの間を縫ってあわやタッチダウンかという走りを見せ、72 ヤードのゲイン。2プレイ後にイングラムが自分で決め、7-14 とふたたびリードする。
返しのドライブ、パンサーズはスリーアンドアウトに終わってパントを蹴る——はずが、P パラーディがスナップを受けてからボールを前にこぼし、慌てて拾って前パスを投げるも通らず。まあ通ってもこういう状況だと絶対にイネリジブル・レシーヴァーズ・ダウンフィールドになっちゃうのであんまり意味ないんだけど。これで敵陣 31 ヤードから得た攻撃をセインツはきっちりタッチダウンまでつなげて、7-21 とたなぼたでリードを広げた。
パンサーズもターンオーバーからチャンスをつかむ。セインツ TE ヒルが自陣でボールをかき出されてファンブルロスト。これで得た攻撃権をわずか4プレイでタッチダウンに持っていった。タッチダウンしたのはこちらもルーキー RB のマキャフリイ。カマラには及ばないながらもここまででトータル6タッチダウンとかなりの活躍を見せている。14-21 と追い上げて折り返した。


セインツは後半も最初のドライブでカマラが 20 ヤードのタッチダウンランを決めて、14-28 とふたたび 14 点差に広げる。タイミング的にも、結果的にもここは大きかったか。
ここからはセインツは時間を費やすオフェンスを続けていく。FG 失敗があったのは誤算だったが、パンサーズも敵陣 12 ヤード地点だったとはいえまだ 11 分以上残っていたのに 4th&6 をギャンブルしてしまうという焦ったプレイコールもあり、点差を詰めることができない。逆にパントリターンの際に PR クレイが後ろからタックルを受けてファンブルし、セインツに追加の FG を許してしまい、3ポゼッション差となってほぼ勝負あった。
最後はニュートンが怒りの? 32 ヤードスクランブルを見せてタッチダウンを一本返すが、普通に時すでに遅し、オンサイドキックを確保できずに終了。
さほど差はなかったようにも思うが、肝腎なところでターンオーヴァーを二回やらかしたパンサーズがその分負けたという感じ。これでセインツはパンサーズをスイープしたので、1ゲームよりちょっとだけ大きな差をつけた。


最終スコア:CAR 21-31 NO

Pittsburgh Steelers (10-2) @ Cincinatti Bengals (5-6)

マンデーナイトフットボールAFC 北地区の同地区対決。ロスリスバーガーが弱音を吐いた次の試合からなぜか絶好調で 9-2 のスティーラーズに対し、このところ調子を上げてきて 5-6 のベンガルズベンガルズはここを勝てばぎりぎりワイルドカード争いに踏みとどまれるというところ。
後がないベンガルズが前半は試合を支配する。オープニングドライブでロスリスバーガーからインターセプトを奪い、返しのドライブで FG を決めて先制。次のスティーラーズの攻撃もパントに終わらせて、その返しのドライブでは今度はタッチダウンまで持っていく。最後は A.J.グリーンが右のアウトパターンでディフェンスを置き去りにしてワイドオープンになっていた。これで 0-10。さらに 2Q 終了間際、ドルトンはもう一本グリーンにタッチダウンパスを通す。左右からのコーナーバックブリッツをオフェンスラインが上手くさばき、わずかに稼いだ時間でピンポイントに投げ込んだ素晴らしいパスだった。0-17 の3ポゼッション差にして折り返し……かに思われたが、残りわずか 0:31 からスティーラーズは得点にたどり着く。パスインターフィアランスでレッドゾーンまで入り、30 ヤードの FG をボズウェルが決めた。3-17 で前半終了。


ところが後半は完全にスティーラーズの試合になってしまう。ベンガルズスリーアンドアウトのあとスティーラーズ後半最初のドライブ、レヴィオン・ベルのランをごりごりと重ねて攻め込むと、敵陣 35 ヤード地点で左サイドのベルへチェックダウンのパス。ファーストダウンは取れそう……というところだったのだが、サイドライン際まで上がったところで DB がタックルせず。追ってきていた LB がタックルしそうで、もしそれでサイドラインに出ていたらレイトヒットをとられかねない状況ではあったが、ここはタックルすべきだった。ベルはそのままエンドゾーンまで駆け抜けて、10-17 となる。
返しのドライブでベンガルズは FG を決めて 10-20 とするが、4Q に入ってからスティーラーズもまず FG を返して 13-20。返しのベンガルズの攻撃をスリーアンドアウトに切って、続くドライブで再びタッチダウンにたどり着く。これでとうとう同点になった。
ベンガルズは次の攻撃でも 1st ダウンを更新することができない。それも自陣深い位置からパントを蹴ることになり、なんとか敵陣までは届いたものの 41 ヤード地点からの攻撃権を渡すことになった。残りは 2:42、スティーラーズはベルのランとレシーブで悠々と時間を使いきり、最後はボズウェルが 38 ヤードの FG を決めて、この試合初めてのリードを奪うと同時に勝負を決めた。
ベンガルズは気合十分、オフェンスもディフェンスもよく準備ができていてほぼ完璧な前半だったが、最後の最後に3点だけ許してしまった。それが試合の最後に効いた。


最終スコア:PIT 23-20 CIN

Other Games

WAS(5-7) 14-38 DAL(6-6):同地区対決。レッドスキンズはオフェンスで苦しんだ。ランも出せず、カズンズがインターセプトを2本喰らい 14 点止まり。さすがにプレイオフは厳しくなったかな。カウボーイズはぎりぎり踏みとどまったか。この日はアルフレッド・モリスが古巣相手によく走って 27att-127yds。プレスコットのパスよりゲインしている。
MIN(10-2) 14-9 ATL(7-5)ヴァイキングズが渋く勝ち。ディフェンスがファルコンズタッチダウンを許さなかった。ケイス(・キーナム)も 25/30。完璧である。これで8連勝となり、次週にも地区優勝が決まる。ファルコンズはプレイオフに黄信号。
DET(6-6) 20-44 BAL(7-5):レイヴンズが圧勝。前半は 0-20 で、後半も多少取られたものの一度も並ばれることなく逃げ切り勝ち。ライオンズはスタどんがインターセプトファンブルロスト1。オフェンスもディフェンスもピリッとしない。
NE(10-2) 23-3 BUF(6-6):特に書くべきことなし。ビルズはもうどうにもならんだろう。この日はテイラーが先発したのだが、前半は何回かジョー・ウェブ*1がワンポイントで QB に入ったりしてたらしい。よくわからないが、結局後半はピーターマンが投げていたらしくますますよくわからないし、テイラーが 65 ヤード、ピーターマンが 50 ヤードではどっちが投げても同じであろう。ペイトリオッツは無難に勝ったのだが、グロンカウスキーがアンネセサリイラフネスで一試合出場停止になった。プレイが終わった後に倒れている DB にボディプレスをしかけるという全く言い訳できないラフプレイで、もともとプレイ外では賢くない印象だがまあ相変わらず。よくペイトリオッツが我慢してるなと思うが能力がずば抜けているのもまた疑いようがなく、まあしょうがねーなーって感じなんでしょうな。
SF(2-10) 15-14 CHI(3-9):ガロポロのフォーティーナイナーズスターター緒戦、後半にぎりぎり逆転勝ち。スタッツ見るとランもあんまり出てないしレシーバーもこのメンツでよく勝ったなという印象。この失点ならディフェンスが頑張ったというべきかな。ベアーズは後半1点もとれなかった。
TB(4-8) 20[OT]26 GB(6-6)パッカーズがオーヴァータイムの末に勝ち。しかしハンドリーは 13/22-84yds-0TD-1INT なんてスタッツでまじでよく勝ったな。ウィリアムズの 21att-113yds は素晴らしいと思うけど。
IND(3-9) 10-30 JAX(8-4):いやー、ジャグァーズほんと強いな。圧倒的じゃないか。この日はフォーネットのランが 20att-57yds とかでいまいち出てないんだけど、それでもボートルズが 26/35-309yds-2TD-0INT とそりゃ勝つわのスタッツで、本当にすごいし何が起きているかわからない。コルツはまあ、こんなもんか。
DEN(3-9) 9-35 MIA(5-7)ドルフィンズが圧勝。ブロンコスはシーミアンがインターセプト3本放ったりセイフティを2回献上したりぼろぼろで、そりゃ負けるわという感じ。3-1 からまさかの8連敗となった。
KC(6-6) 31-38 NYJ(5-7):チーフスまたしても敗れる。完全におかしい。とうとう貯金は底をついた。ターンオーヴァー0でジェッツに 38 点取られるというのもわからないし、アレックス・スミスがタッチダウンパス4本決めて勝てないというのもひどい。
CLE(0-12) 10-19 LAC(6-6)チャージャーズ、昨季はブラウンズに唯一の勝利を献上したチームになっちゃったんだけど、今季はきっちり勝ちました。よかったですね。一瞬リードされたりして楽勝とはいかなかったみたいだけど。リヴァーズは 31/43-344yds と、だいぶエンジンかかってきたか。
LAR(9-3) 32-16 ARI(5-7)ラムズが快勝。さすがに負けられない相手か。カーディナルズはこの日もギャバートが投げたが、1TD に対して 2INT とのこと。
NYG(2-10) 17-24 OAK(6-6):とうとうイーライ・マニングがスターターを外された。それ自体は仕方ないとも思うが代役がジーノ・スミスというのはなんとも中途半端オブ中途半端という気はする。で試合自体も普通に負けて、そりゃまあそうじゃないのという感じ。

  • イーライの連続先発記録はレギュラーシーズンで 210、兄の 208 を抜いた直後で、連続出場記録に重きを置かないお国柄とはいえ流石にちょっとは配慮したか。リーグ歴代2位の記録だが、1位はブレット・ファーヴの 297 でこれは完全に異次元の記録だし流石に届くまい。いずれ記録は途切れるものだし、チームのためになる決断であればそれを優先すべきだが、ジーノ・スミスかあ……。

(更新終わり)

*1:あのジョー・ウェブである。元ヴァイキングズ、2014-2016 パンサーズ、今年からビルズ、らしい。しかし8年目まで NFL に残っているのは本当にすごいことで、おれは全く想像もしていなかった。ポンダーでさえ今年は浪人だというのに!