Minnesota Vikings (#6/North-Wildcard) @ Green Bay Packers (#3/North)
クリスチャン・ポンダーはユニフォームをまとうことなくサイドラインに立っていた。
２年目のシーズン、絶好調の滑り出しながら週を重ねるにつれて自身の成績もチームの成績も下降していく。前半戦はなんとか 5-3 で折り返したものの、Week 13 を終えた時点で 6-6 の五分。プレイオフの文字も霞んで見えなくなりそうなほど遠のいていた。しかしそこからの４連勝。最終週のパッカーズ戦では３本のタッチダウンパスをヒットし、キャリアハイの QB レイティングもマークした。むろん、エイドリアン・ピーターソンという希代のランナーの存在は限りなく大きい。それでも、このレギュラーシーズン全試合でスターターをつとめ、全てのパスを投げたのはポンダーだったのだ。このプレイオフは、少なくともポンダーにとっては、確かに自力で掴んだプレイオフだった。氷点下のランボー・フィールドのサイドラインにコートを着て立ち、試合前は時折笑顔も見せていたが、フィールドにすら立てないという状況はさぞ無念であったことだろう。
というわけでヴァイキングズの先発 QB はジョー・ウェブだった。昨季、特に後半にはしばしば試合途中からポンダーに代えて起用されていたが、モビリティが高く運動能力の高いアグレッシブな QB だ。まったくタイプが違う、それも殆ど手の内を見せていないことだけはプラスに働く可能性があったが、一般的に考えれば勝ち目はさらに薄くなったと言えた。
しかしながらヴァイキングズはファーストドライブで中々の攻撃を見せる。ピーターソンのランとウェブのランだけで 50 ヤードほど進んでレッドゾーンにまで侵入してみせたのだ。タッチダウンこそならなかったが、返しのパッカーズのドライブをスリーアンドアウトに切り、これはもしかすると、と思わせた。
だが、パッカーズの２回目のドライブで、敵陣内の 3rd & 2 を止めていながら、オフサイドでファーストダウンを与えてしまい、そのままずるずると進まれて結局タッチダウンを奪われてしまう。
それでも前半は踏ん張って、パッカーズに自陣１ヤードでファーストダウンを与えながらタッチダウンを許さなかったドライブもあったりして 3-10 で残り２分まで持ち込む。このまま後半を迎えられればワンチャンスぐらいはあるかも知れない、と思われたがもちろんアーロン・ロジャーズがそんなことを許してくれる筈もない。いとも簡単にパスをぽんぽんと通してタッチダウン。3-17 で折り返す。
後半は殆どヴァイキングズは攻撃が機能しなかった。唯一あげたタッチダウンもパッカーズの守備陣がややゆるんだ瞬間にロングパスが通った偶発的なもので、勝てる見込みは欠片も感じられなかった。パッカーズも「まだポストシーズンは長いしこの辺にしとこか」というわけでもないのだろうが、後半はタッチダウンを１本とっただけ。前半の得点差は変わらず、10-24 でパッカーズが逃げ切り勝ちをおさめた。
まあこれが力の差というものであろう。ポンダーが出られなかったのは確かに不運だったが、じゃあ出られていればどうだったかと言われるとそれでもかなり厳しかっただろうと答えざるを得ない。攻撃の引き出しが多いとは言えないヴァイキングズがロジャーズを擁するパッカーズと１シーズンに３回も当たるのはしんどすぎる。
パッカーズは余力を残しての勝利となった。ロジャーズは先週負けた後に「来週は休みが欲しかったのに」とか言ってたらしいが、昨年第１シードだったのに地元でジャイアンツにあっさり負けたことを思うと案外ワイルドカードから始動するのは悪くないのかも知れない。2010 シーズンにスーパーボウルを制した時も第６シードだったわけだし。次の相手は、今季 Week 1 で敗れているサンフランシスコ・フォーティナイナーズ。
- ウェブは 11/30-180yds-1TD/1INT。とにかくパスの精度が低かった。もう少しやれる選手なのは確かで、この日は力を出し切れていなかったと思う。被サック３でそれ以外にも投げ急ぎも多かった。ランが７回で 68 ヤードとか出ていたようなので、もっともっと走っても面白かったのではないだろうか。あと、この日は特に活きなかったけど地肩があほみたいに強い。NFL の QB でも確実に上位に入ると思う。
- ちなみにレギュラーシーズンに１本もパスを投じていない QB がプレイオフでスターターをつとめるのは NFL 史上４人目らしい。それでなんなのだという話だが。
- ピーターソンは 22att-99yds 。パッカーズ相手にこれだけ走れば上出来な筈なのだがなにせ今季ここまで２試合合計で 400 ヤード以上走ってるからこれでも「押さえ込まれた」みたいに言われててちょっと気の毒。
