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クライマックスシリーズに向けてラッパを吹く

これは久々にマリーンズがクライマックスシリーズ抜けてしまうのではないか。


……いや寝言は寝てから言えという話ではあるのだが、毎度言うようにひいきのチームの好機にファンが寝言を言わないでどうするのだ。日本のファンはそういうところで奥ゆかしすぎる。奥ゆかしさは美点だがファンの態度としてはだめである。


ご存知の通りマリーンズはオールスター前にホークスに三連敗してから二度と首位争いに絡むことはなかった。猛然と追い上げてきたファイターズが並ぶ間もなく去っていってそのまま優勝するのをぽかんと口を開けて見ていただけだった。7月下旬以降は貯金を吐き出し続ける ATM みたいな状態*1になっていたがそれでも3位をおびやかされる場面は一度もなかったと言ってよく、それだけでも下位三球団がいかに苦戦していたかよくわかろうというものだ。


さてしかしわけもなくずるずる貯金を減らしていたわけではないことは弁明しておかねばなるまい。平たく言えば中継ぎ・抑えの投手がすごい勢いで怪我をして離脱していったのが後半失速の原因だった。うろ覚えの順番だと藤岡、西野、内、大谷と居なくなっていたはずだ。そのほかに松永が今年はさっぱり計算できず、8月後半から9月前半は南と益田がフル稼働していた。
ところが、クライマックスシリーズを前にこの四人が全員戻ってきているのだ。怪我からの回復度合いはやってみなければわからないところがあるが、疲労の度合いであればやはりずっと投げていたよりはフレッシュな状態と言えるだろう。短期決戦における中継ぎ・抑えの重要度は今更言うまでもない。藤岡はロングリリーフができるし、内はマリーンズの投手にしては球が速い。西野のスライダーは万全なら右打者が打つことはまず不可能だ。


先発は涌井と石川、このふたりは文句なくて、あとスタンリッジと、唐川……? という感じだが、5回まで投げてくれれば、と割り切るのならスタンリッジも唐川も充分頭数に数えてよかろう。問題は五人目で、関谷や二木ではさすがに厳しい気がする。藤岡を先発に持ってくるか(しかしそうすると左の中継ぎが松永だけになる! 恐怖!)、あるいはチェンかというところ。まあ第2ステージの5試合目まで行ってから心配すればいいのだが。


野手はよくも悪くも順調で、あまり言うべきことはない。
デスパイネが手首を傷めているのが気になるものの、早々と順位が決まって休めたのでなんとか治ってほしいところ。唯一の三割打者角中様には期待がかかるが、ひとりではどうにもならないのも確かで、小粒な打線なりに工夫してくれればと思う。


ちなみにレギュラーシーズンではホークス相手に 8-16-1、ファイターズ相手には 9-15-1 だった。引き分けを無視して単純にこの勝率だけで計算すると、ファーストステージを抜けられる確率は約 26%、ファイナルステージを(行けた前提で)抜けられる確率は約 15% ということになるようだ*2。これをかけ合わせると、うん、こりゃ誤差みたいな数字だね、みたいなことになるのだけど、でもやってみなくちゃわからない。ホークス相手の8勝のうち6勝は涌井があげているのだ。緒戦でもう1勝稼いでくれれば、じゅうぶん抜けるチャンスはある。


だいいち、こんなことを考えている相手に、負けるわけにはいかないだろう?


セ・パ両リーグでもっとも注目されずにポストシーズンに進んだマリーンズ。相手はどちらも強い。レギュラーシーズンでの 12.5 ゲーム差はほとんど雲の上だ。それでも、どのチームよりも準備をすることができた。なれば勝機はある。
4% の奇跡を、刮目して見よ。

*1:最後イーグルズに連敗すれば貯金0まで行くところだった

*2:余談だが、勝率五割で計算しても1位のチームが勝つ確率が約 65% になる。1勝のアドヴァンテージはかくもでかい。