黄昏通信社跡地処分推進室

黄昏通信社の跡地処分を推進しています

『THE 有頂天ホテル』 三谷幸喜監督 東宝,2006

たまには映画でも、ということで行ってみる。はりきって早起きしたがもうそこまでしなくても大丈夫そうだった。まあ早く行くに越したことはなさそうだけど。
三谷幸喜でホテルもの、となれば入り組んだシチュエイション・コメディなのかなあ、と勝手に期待してたんだけど(つまり『フォルティ・タワーズ』ですな。それもあのオーストラリアから来た若い女性が出てくる回(確か)みたいな奴)、そうでもなく、数多い登場人物のうち何人かが主人公で、その主人公たちそれぞれの物語が軸になっている、という感じだった。
もちろん三谷幸喜だから基調はコメディだし、笑わせどころは大体ちゃんと面白い。物語はひねりはないながらもソツがなく、最後まで観るとあー面白かった、ってなる。役者も達者な人が多いし、演出でこだわったというカメラの長回しは非常に高い効果を上げている。
とはいえ、同時進行している軸同士の絡み合いが弱かった印象は否めない。別に出なくても大して変わらないのでは、と思える登場人物が結構居たように感じるし、全体の印象も連作短編みたいなのだ。個人的には、物語なんてどうでもいいからもっと入り組ませて欲しかった。
松たか子の評価が今回V字回復。声がとても好き。
香取慎吾に関しては以前K澤の言っていた「なんで三谷幸喜が香取にはまってるんだろう」というのに全く同感と言わざるを得ない。いい役者であるために必要なものが決定的に欠けているようにおれには思えるし、その上別に上手くない。役者としては全く凡庸。
西田敏行が凄くよかった。あんな役引き受けるんだから大したもんだよな。あの腹が素なのか役作りなのかはちょっと知りたい。あと付き人の人もよかったな。