黄昏通信社跡地処分推進室

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ゆっくり起き出した上に、昼頃からうっかりコイルを観始めたら 16 話から最終話まで全部観てしまった。昼でよかった……。掛け値無しに面白かった。
以下ねたばれしつつ感想。
魅力的な設定があって、その上でしっかりしたキャラクターが走り回り、謎をたっぷりはらんだストーリーが流れ、物語を通してそれぞれのキャラクターがはっきり成長しつつ、ストーリーが数々の伏線を回収しつつ収束する。半年にわたる長丁場のアニメでこれだけできたことも凄いと思うし、最後は力尽きるどころかオープニング/エンディングの時間も惜しんでなお詰め込む気合の入り方。評価が高いのも納得だな、と思わされた。
作品のテーマとも言える、主人公たちがぶつかって乗り越える壁が、設定や謎とがっちり噛み合っているのが素晴らしかった。ハラケンがカンナの事故によって受けてしまった呪縛は交差点の都市伝説と結びついていたし、イサコが抱き続けてきた兄への想いは「あっち側」や「ミチコ」のなりたちそのものに関わっている。そしてヤサコはそのふたりを慕い、ふたりを助けるために、また記憶の中におぼろげに残っている幻の少年の正体を確かめるために、霧の中の空間へ踏み込んで行く。
取り返しがつかないこともある。形のあるものだけが大切なものだとは限らない。それでも、痛みを越えて、触れることのできる世界で生きていかなくちゃならない。少女たちにとって、少年たちにとって、人生は始まったばっかりなんだから。こういう風に言葉にしてしまうと陳腐かも知れないけど、26 話にわたって丁寧に積み上げられてきた物語には説得力があった。
しばらくはいい余韻に浸れそう。