黄昏通信社跡地処分推進室

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パロマ工業ガス湯沸かし器の話。今回社長に有罪判決が出た。
以前も少し書いたことがある(←こちらを先に読んでください)が、おれは一連の事故は「不正改造」によるものだと認識していて、その改造が行われた背景には「安全装置が過敏だった」という事情があるのだと思っていた。安全装置が誤作動しすぎるために実質使い物にならなくなり、それを回避するために安全装置をジャンパしたのだと考えていた。だが、改めて調べてみるとそれだけでもなさそうだった。
まず、安全装置は過敏だったというよりも、特に寒冷地などにおいて「半田割れ」を起こして動作を阻害していた事例が多かったらしい。そして、安全装置自体が8年間で製造中止にされていたため、保守部品の不足を引き起こしていた。
また、安全装置そのものの設計に若干問題があり、設計通りに動作して燃焼を停止しているのに、停止するまでの時間で致命的な量の一酸化炭素が発生してしまうことがあるらしい。
そうだとすれば、やはりパロマ工業の責任も免れ得ないところであろう。ただ、以前書いたとおり、


ちょっと厳しくなるかも知れないけど、パロマから指導があったにしろなかったにしろ、改造した業者の責任も問わなくてはいけない、と思う。仮にもガス器具業者であるならその改造が何を意味するか理解できない筈はないからだ。安全装置を外せ、と言われたら外しただろうか? そんなことはあるまい。であれば、どうしてそんな改造をしてしまったのか。事情は想像がつかないでもないし、むしろ同情すべき状況ではあったろうと思うのだけど、それでもたぶん、そこは越えてはいけない一線だったんじゃないかと。
この意見については変わっていない。業種も違うし負うべき責任は比べ物にならないけど、元メンテナンスマンとしてそう思う。今回の事件では被疑者死亡で不起訴ということらしいが、うやむやにしてしまった感はあるかな。

ネット上で情報を色々さらってみたが、技術的な話はここが詳しく、わかりやすかった。
Tech-On! -- 続報2:パロマ工業の湯沸かし器事故,事故機の回路図を入手,安全装置の動作と「不正改造」の仕組みを確認
もちろんこの件については技術的な問題だけではなく、製造物とその保守が複合してなんらかの損害を引き起こした時に責任の範囲をどこにおくのか、という社会的な考え方の側面もある。ただそれについては当たり前ながら「何が起きていたのか」の正しい認識が不可欠で、今回の判決にまつわる報道では(自分が触れた範囲では)それに関する説明があまりにも乏しい。確かに技術的にはいささかややこしい話だが、それであれば尚更、噛み砕いて説明する工夫が必要だろう。