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『WIZ』(セイブ開発/タイトー,1985) プレイレポート

というわけで、先日(01-05、超体調悪くなった日) HEY を覗いてみたら『WIZ』が置いてあったのでつい3ゲームほど遊んでしまった。
1ゲーム目は結構調子よくて3面の後半ぐらいまで行き、思ってたより簡単かと思ったのだが2ゲーム目は地下(1面)に落とされた上にゴール扉のまじ寸前で二次元人のぐるぐる巻き魔法を喰らってしまった。どうなるのかと思っていたら、地図上ではちょっと戻されただけで済んだので、これならすぐに扉に入れると思っていたらなんとガイコツみたいな敵が見えなくなっていて、4人ぐらい居た残機は瞬殺された。ガイコツ見えないとかマジあり得なさすぎる。そういえば遠い昔兄に「地下で魔法を喰らうとさらに地下に落とされて、見た目は一見同じなんだけど特定の敵が見えなくなる」みたいな話を聞いたことがあった。本当だったのか。
んで泣きの1クレで3ゲーム目。なんだかんだで地下に落ちたりしつつ3面まで進むも半ばを過ぎて残機は1。魔法は結構溜まっていたのでそこからはばしばし使いながら進む。特にバリアが一杯あったので連打ぐらいの勢いで進んでいくと、とうとう雲が終わって右側の陸地に到達する。ゲージを見てもほとんどゴールに近い。しかし途中凡ミスで残機はなくなってしまっており、クリアできるかは微妙なところ。と、スクロールが止まって画面左上から火の玉みたいなのが飛んでくる。なんだろうと思ってたらなんと火の玉が地面で止まってそこからドラゴンが現れる! 慌てて左下に逃げつつ、「タイムストッパー→バリアと繋げれば瞬殺」みたいな話をこれまた兄にさんざん聞かされていたので(三つ子の魂百までであるな)タイムストッパーを打とうとするも、ドラゴンの炎が届くのが早くて死亡。
というわけで1周寸前まで行きながら果たせなかった。惜しかったというか、勿体なかったな。凡ミスさえなければまずクリアできてたと思う。タイムストッパー→バリアの話が本当なら、だが。
今回久々にも関わらずここまで進めたのは、妙な話だが連射装置がついていたのが大きい。今回初めてわかったけど、このゲーム雑魚の弾速がえらい速くて、しかもあほみたいに連射してくる。出会い頭に雑魚に連射されて頓死することが実はかなり多いっぽくて、連射装置はその殆どを防いでくれる。ゲームとしては、はっきり言ってかなりよくない。
とはいうものの、独特の暗い雰囲気といかす BGM はやはりいい味を出していたし、もう少しバランス調整がきっちりできていれば化けた可能性もなくはないと思う。個人的にはやはり思い入れの強いゲームで、今回思いがけずプレイできたのはとても楽しかった。あそこまで行けば一周しときたかった、というのは偽りあらざるところだけど。

今回わかったのは、時間がもっとも重要なリソースで、残機というのは「時計が元に戻る回数」であるということ。
少し詳しく書くと、画面中央上部に砂時計が出ていて、それが下まで落ち切ると問答無用でひとり死ぬ。ただし各面の中間地点まで進むと「BREAK TIME」が差し挟まって、WIZ が謎のクリーチャーたちと踊る短いデモがあって、砂時計の砂は全部元に戻る。各面をクリアした場合も、砂時計は元に戻る。
しかし以前も書いた通り、時間の設定はかなり厳しい。砂時計ひとつで面半分進むのが既にかなりぎりぎりだ。クイックがないときは、かなり意識して右に進み続けなければ間に合わないぐらいになっている。まあもちろん残機が切れたらゲームオーバーのゲームなので死んじゃ駄目なんだけど、時間を費しすぎて砂時計が落ち切ってしまうリスクは常に考えなければいけない。
ここで魔法が活きてくる。魔法のひとつひとつはそれほど強くないが、正しい使いどころで使うことでいくらかの時間を稼ぎだしてくれる。で、魔法−−特に弱い魔法は結構気前よく出てくれる。いかに魔法を使って、チェックポイントに間に合うように辿り着くか、というのが多分このゲームの肝だ。
それを踏まえた上で、もう一度各魔法の個別評価。ちなみにおおむね上にある魔法ほどよく出るが、クイックよりはボンバーの方が出やすい印象はある。クイックが強すぎてそう思うのかも知れない。

カッター
まあ弱い。弱いが、中ボスを倒せるのは特筆すべき点で、とりあえず中ボス相手にはがんがん打っていい気がする。でもすげえ当てづらい。あと、地下の床が一段のところでガイコツが並んじゃった時とかは実質スクロールアウト以外対処法がないので、そういうところでは迷わず打つべき。
タイムストッパー
状況を打開する能力は低いが、確実に一定距離を稼がせてくれる手堅い魔法。
バリア
かなり強い。稼げる距離は短いけど中ボスを倒せるのがでかくて、残機が少ない時とか残り時間がぎりぎりな時とかは迷わず使うべき。デメリットは、宝箱を開けられるのに魔法を取れないこと。だから、打ちまくってると確実にじり貧になる。
クイック
神の魔法。もしくは、神。どうも死ぬまで効いてるみたいなので、取ったら即打つこと。計り知れないほど時間を稼いでくれるし、絶対的に時間が足りない状況 *1 を打開できるのはこの魔法しかない。足場が不安定なところでちょっと操作が難しくなるが、それ以外はデメリットもない。残機ひとり増えるぐらいの強さ。中々出ないのが玉に瑕。
ボンバー
ほぼ中ボス専用。強いけど効果が一瞬なので、普通の状況では時間を稼いでくれない。ただ、中ボスはまともに相手してると相当時間もってかれるので、それを防いでくれるという意味で時間を稼ぐ魔法。中ボス出てきた時にこの魔法持ってたら打ってしまっていいと思う。ぐるぐる巻きの魔法を喰らった時に打つと WIZ が正面向いて杖を掲げる専用のグラフィックが見られるぞ(ぐるぐる魔法も解ける)。
ファイア
評価が難しい。効果が長く、かなり時間を稼いでくれるんだけど、とにかく水鉄砲に弱すぎるし、水鉄砲がまた結構しょっちゅう出てくる。水鉄砲2発打たれて即死、みたいなパターンもしばしばあるので、正直かなり博打っぽい魔法という印象がある。
ヘルパー
まあさすがに大安定。効果も長いし見てて楽しいし、最高の魔法。滅多に出ないけど、出し惜しみしてもしょうがないので取ったらすぐ打ってしまっていいと思う。この魔法残して死ぬとか馬鹿馬鹿しいしね。

今回プレイして、かなり理解が深まった。時間が厳しいのにも魔法がばんばん出るのにもちゃんと理由があるし、それを判った上でプレイした方がやっぱり楽しめる。昔のゲームらしく圧倒的に説明不足だけど、「やってりゃわかる」というのはプレイヤーに対するある種の信頼だし、昔のゲーセンってのはある程度はその信頼関係が成り立ってたのかな。
ということで、以前書いた


時間制限についてだけは不満が残る。このゲームではプレイヤーが右にレバーを入れない限りゲームが進まないから、当然時間制限がある。画面の中央上部にでっかい砂時計が表示されていて、刻々と砂が落ちていくわかりやすいビジュアルで表されているのだけど、その制限がものすごくきつい。もう殆ど無駄足なしで右にレバーを入れ続けてようやく中間のチェックポイントに間に合うか、というレベルなのだ。折角の自由スクロールなのに、プレイヤーはその自由を殆ど享受できない。もっとも、おかげで「QUICK」の魔法の価値が上がっている面はあるのだけど。
これはいささか的を得ていない。かなり長いことプレイしていない状態で書いたので仕方なくはあるが、時間制限がこのゲームにとって大きな意味を持っていることを理解していなかった。とはいうものの、一面の真理はついている。とにかく時間制限が厳しいのは確かだし、おかげで楽しめない側面が確かに存在しているのだ。特に序盤ではもう少し時間制限を緩くしてじっくり進めるようにした方がとっつき易かっただろう。

えらく長くなったので以下小ネタを載せて終わりとする。

  • 地上で、ぴょんぴょん跳ねる敵が居るんだけど、そいつの横方向の移動速度がちょうど主人公と同じ。画面左から登場したその敵をやり過ごした後追いかけるように進んでいくと、敵の出現テーブルが回らないらしくて新しい敵が出なくなる。上手く使えばかなり距離を稼げそうなのだが、魔法を含むアイテムを取ってる余裕が一切無くなってしまうので、多分あんまり実用的じゃない。
  • 地下にある柱みたいなのの側にぴったりくっついてボンバーを打つと、例の正面向くグラフィックが出て柱が壊せる。これはデモ画面で見られるんだけど、実際にゲーム中でもできる。しかしそこまでして柱を壊したい状況が全く想像できない。
  • 地下で上段の床がないところがちょくちょくあるんだけど、そういうところでも上段には宝箱が出る。それを開けると、アイテムや魔法が地上からだとぎりぎり届かない高さに出てしまう。この時に、持っていない魔法を使って帽子に花を咲かせると当たり判定が大きくなってぎりぎり取れる、という技があったような気がするのだが、確認するのを忘れたので次回以降の課題とする。

*1:レバーを右に入れ続けても間に合わない状況のこと。