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NFL 2022 -- SUPER BOWL ⅬⅦ

第57回スーパーボウルカンザスシティ・チーフスフィラデルフィア・イーグルズとなった。チーフスは二年ぶり、イーグルズは五年ぶりの登場となる。イーグルズはつまりフォールズが投げた時なんだよね。五年とはいえある種隔世の感があるようにも思う。逆に言うとチームを作り替えながらまた短期間でスーパーボウルまで上ってきたイーグルズのチーム作りは中々のものということにはなるか。
試合は中々に面白かった。イーグルズが強力なオフェンスラインに支えられて前半は主導権を握り、タッチダウンを二本重ねて14-7としてからその次のドライブも順調にミッドフィールドを越える。ところが、2nd&1、それも実際には1ヤード未満かという2ndダウンでゲインウェルのランがノーゲイン。完全に結果論なのだけど、デザイン通りオフェンスラインについていけば楽に1stダウンだったところ、逆を突いてノーゲインにしてしまう。そして3rd&1、この日イーグルズは3rdもしくは4th&1ではほとんどスニークをコールして全部成功させたのが、ここは確か普通に持たせてフォルススタート。そして3rd&5になってからハーツが持っていたボールをさほど強くもない接触で落としてファンブルし、リターンタッチダウンにされてしまう。これで同点。実にいやな点の取られ方だった。
それでもイーグルズは積極性を忘れず、敵陣44ヤードの4th&5をギャンブルしてハーツが28ヤード走って成功、なんてわけのわからないプレイを繰り出してタッチダウンまでたどり着いて勝ち越すと、残り2:20からもう一度ボールを取り返してFGを決め、24-14とリードして折り返した。

ハーフタイムショーはリアーナ。スタジアムの上部から吊られた床みたいなのに乗って登場してその上で歌ったり踊ったりしててすごかった。モブのダンサーもいっぱい登場してこうでなくっちゃ!という感じ。あれ? おなかが大きい? という感じだったけど実際妊娠しているとのことで、このタイミングでの公表だったらしい。いろいろすごいなー。曲については申し訳ないが全く存じあげず、インターネットの情報によるとヒット曲をメドレーで詰め込みまくったセットリストであったそうな。こういう場では圧倒的に正しいスタイルだよね。楽しうございました。

さて後半。ポストシーズンでは何度となく10点以上ビハインドで折り返してから逆転勝ちを決めているマホームズ。はたしてこの日も後半最初の攻撃でタッチダウンをあげると、続く攻撃でもタッチダウンにたどり着き、その間イーグルズはFGどまりだったためこれで27-28と逆転する。そして返しのイーグルズの攻撃はこの日唯一のスリーアンドアウトで、しかもパントは短く、PRトーニーにあわやタッチダウンかという65ヤードのビッグリターンを許してしまう。5ヤード地点からの攻撃をチーフスは難なくタッチダウンにし、逆に27-35とリードを広げた。
これで終わらないのはイーグルズの強いところ。返しのドライブではハーツが45ヤードのロングパスをデヴォンタ・スミスに通して直後のプレイでタッチダウン。ツーポイントコンヴァージョンもハーツが強引に持ち込んで成功し、35-35の同点にした。この時点で残りは5:15、使い切れるか微妙なところ。
しかし結論から言うとチーフスがこの5分をほとんど使い切る。この日好調だったRBパチェコを使いながらじっくり前進し、かと思うとスクランブルで自ら20ヤード以上走り。そしてレッドゾーンに入ってからの3rd&8、左サイドへのタッチダウンを狙ったパスはレシーバーと合わなかったかに見えたが、イーグルズにとっては無情にもイエローフラッグが飛んだ。ホールディング。オートマチック1stダウンで残り1:48。イーグルズはタイムアウトがひとつしかなく、チーフスはニーダウン2回でほぼほぼ時間を使い切ってからのFG。イーグルズにはわずか8秒しか残されなかった。キックオフをゲインウェルがリターンし、11ヤード返して自陣36ヤードまで行ったところでスライディング。残り6秒、どんなに多くても2プレイしかできない。
イーグルズが選んだプレイはその場からのヘイルメリー。だが、肩と胸を傷めていると事前に報道のあったハーツのパスはレシーバーの待つ位置まで遠く届かず地面に落ちた。最後は気の毒な幕切れになってしまった。

イーグルズのオフェンスラインが前評判通り異常に強く、上にも書いた通り3rdか4thダウンのショートヤーデイジはほとんど全部スニークで取ってしまった。NFLでここまで一方的になることはなかなかない。それだけに前半のハーツのファンブルロストにつながった一連のプレイは本当にもったいなかったと思う。一方、ディフェンスラインはマホームズにそこまでのプレッシャーをかけることはできず、これはチーフスのオフェンスラインをほむべきだろうな、というところ。
しかしなんといってもマホームズのハートの強さとその一方での冷静さが際立ったなという印象はあった。特に最後のドライブ、FGでいいとはいえ5分を使い切るのは簡単ではないが、見事にそのミッションをほぼ完璧に遂行してみせた。もちろんアンディ・リードの采配も大きかったろう。最大の弱点であるクロックマネジメントがこの日は前後半共に問題にならず、そこはチーフスにとってはちょっとだけついてたかもしれない。