黄昏通信社跡地処分推進室

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M11-LSV-黒(その2)

長えよ……。
原文→http://strategy.channelfireball.com/featured-articles/magic-2011-set-review-black/
その1→http://d.hatena.ne.jp/natroun/20100715#p3

《死の印/Deathmark》

構築:2.0
《失われたアラーラの君主》ひとりのおかげでサイドボードから追い出されちまったカード。ソーサリータイミングだっていうデメリットが《君主》相手には致命的だ。《死の印》は個人的には好きだが、今は時期が悪いと考えるべきだろう。実際おれはあらゆるフォーマットでこのカードをサイドボードに入れたことがある。これだけでこのカードの強さを説明するには充分だろう。
リミテッド:0.5
《天界の粛清》同様、こいつも完全にサイドボード用のカードだ。その中ではかなりいい方のカードではある。シールドについてはあんまりやったことがないからはっきりしたことが言えないが、いずれにしても現時点ではこういう色対策カードをメインに入れるのが正当化できるほど特定の色ばっかり使われてる環境じゃないだろう。

《死の門の悪魔/Demon of Death's Gate》

構築:1.0
このカードはその昔ミラージュに収録されてた《夜のスピリット》を思わせる。個人的には大好きなカードだったが、夜のスピリットは決して強くなかった(《ドルイドの誓い》で場に引っ張り出す、なんてことを考えたこともあったがどうにもならなかった)し、この悪魔も死の門から出て来ることはないだろう。3体クリーチャーをサクったあとで《流刑への道》打たれたり《大渦の脈動》打たれたりジェイスにバウンスされたり、てのは成功へのシナリオにはほど遠い。素出しも期待できないし。
リミテッド:1.0
エルドラージ覚醒にあったようなマナ加速がない以上、9マナは果てしなく遠くて、素出しすることは望みづらい。代替コストはちょっと面白いが、それでも除去されたらがっかりという欠点は構築と同じだ。《死の門の悪魔》は遅い順目でも拾えるだろうから、餌にする黒のクリーチャーが充分取れてるようならサイドボードに入れておくのもいいだろう。相手が赤緑みたいなデッキならおそらく除去されずに生き残ることができるので、さっさと出せばダメージレースに勝利することができるだろう。

《魔性の教示者/Diabolic Tutor》

構築:1.0
今スタンダードで使える4マナのカードがどれだけ強いかなんてことは皆さんよーくご存じだろうし、もっとカードパワーが低いフォーマットであれば今度は払ったマナに見合うカードを引っ張ってくることができない、なんてことも言うまでもないだろうからその辺には言及するのを止めておく。代わりに「イラストのにーちゃんのドヤ顔が我慢ならない」とだけ言っておこう。
リミテッド:2.5
ドラフトデッキには大体2枚ぐらいはいいカードが入ってるだろう。ていうか、そうでなきゃドラフトの時点で失敗だ。まあ、とにかく欲しいカードがデッキに入ってれば、《魔性の教示者》は1ターンと引き換えに手に入れてくれる。何を引っ張ってくるかにもよるが、大抵の場合はコストに見合う効果がある。6ターン目に《破滅の刃》を持ってきてそのまま唱える、なんて動きでもおそらく相手の最良のクリーチャーを倒せることを考えれば悪くない。あほみたいに強いカード、例えば《悪斬の天使》とか《墓所のタイタン》を既に手に入れてるのなら、《魔性の教示者》は除去の次ぐらいに優先してピックすべきカードだ。

《墓暴き/Disentomb》

構築:1.0
墓暴きっつうより墓穴掘りって感じ。
リミテッド:2.0
クリーチャーが 13 枚以上入ってれば《墓暴き》を1枚入れるのはかなりいい。でも2枚入れるのはちと厳しい。クリーチャーが死んだあと、それを1マナで拾って来れるってのは強いクリーチャーがもう一枚入ってるのに近い。ただ、サイドボード向きのカードかも知れない。《平和な心》とか《目潰しの魔道士》相手だとあんまり役に立たないからだ。一方で赤や黒の除去が数多く入ってるデッキに対してはとてもよい。

《破滅の刃/Doom Blade》

構築:2.5
最近はサイドボードでしか見なくなっちまったが、軽くて有用な除去で、赤を使ってない黒デッキにとっては常にメインデッキに入る力があるカードだ。【こいつを「刃」って呼ぶ気にはならないが*1】基本セットの黒除去にこれほど有用な呪文が入ってるのはデッキ構築に多くの選択肢を与えてくれるって意味でよいことだ。
リミテッド:4.0
《破滅の刃》は明らかにコモン最強の除去で、散らしで入れることも難しくない。黒をドラフトしてないプレイヤーがこのカードを拾うことも珍しくない。1〜2枚の色補正カードが取れていれば尚更だろう。散らしやすいこととカード自体の融通性のために評価は4点まで上げたが、確実に白黒を組める状況でこのカードと《目潰しの魔道士》を引き当てたら、多分《目潰しの魔道士》をピックする。

《強迫/Duress》

構築:4.0
もし厳密にスタンダードだけの評価だったら精々 2.5 だろうが、こいつは古いカードを使えるフォーマットほど強い。おれは《思考囲い》と《強迫》が両方使える環境だったら、何も考えずに《囲い》を採用したりするんじゃなくて《強迫》を使えないかどうかを検討するのが大好きだ。《囲い》が使えるフォーマットではクリーチャーが核になっているデッキは少ないからだ。スタンダードではコントロールデッキ相手のサイドボードでたまに見かける程度になっているが、それだって最近に限った話だ。他のフォーマットでは、相手の動きを妨害するパーツとして有用で、特にライフを失いたくないデッキ(ANT とかな)ではよく使われる。
リミテッド:1.5
《否認》と同じで、シールドならメインに入れてもいいカードだ。ドラフトだったら、1〜2枚をサイドボードに忍ばせるのが個人的には好きだが、普通はメインには入れない。空振ると悲惨なのでその点で《否認》に劣る。《否認》は手札で腐ることはあるが、相手がスペルを引きさえすれば空振りすることはないからだ。

墓所のタイタン/Grave Titan》

構築:4.0
こいつはできる。出た瞬間から場を支配できるだけじゃなくて、攻撃に回れればまさに無双の強さだ。「ターボランド」は特に「ジャンド」とのマッチアップに備えて《猛り狂うベイロス》をデッキに入れてたが、《墓所のタイタン》は《猛り狂うベイロス》より1ターン早く場に出るし(6マナぴったりで《ベイロス》をプレイする奴はあまり居ないだろう)、仕事をするのに他のカードを一切必要としない。《タイタン》を無視できるデッキは滅多に存在しない。せいぜい《エルドラージの徴兵》が上を踏み越えて行くことがあるかも知れない程度だ。おれは《若き群れのドラゴン》がヘビーコントロールデッキでは一番強いと思ってきたんだが、《タイタン》は色マナが一種類で済むって利点がある。既存のデッキにも入るだろうし、このカードを使った新しいデッキも登場するだろう、とここで予言しておこう。
リミテッド:4.5
「構築について言ったことがリミテッドでもそのまま当てはまるぜ」その2。で、リミテッドでは当然全体除去は少ないし平均カードパワーは低いわけだから、ひとたびタイタンを場に出せりゃ殆ど負けようがないんじゃないか。こいつに対処できる除去なんて殆ど無いし、あったとしてもゾンビが2こ残る。しかもこいつを止められる除去は《平和な心》とか《氷の檻》とか《目潰しの魔道士》とか、だいたいこいつを場に残しちまうんで、《送還》とか《テューンの戦僧》とかを引いてくればやっぱり相手は死ぬだろう。黒をやってなくても、3パック目の初手に引き当てたら、真剣に色変えを検討すべき。

《グレイブディガー/Gravedigger》

構築:1.0
書くことないときここで駄洒落飛ばしてるとなんかもう自分で自分を埋める穴を掘ってるみたいな気分なんだけど、どうも止めることができない。えーと、グレイブディガーはクソ。
リミテッド:3.0
《グレイブディガー》の評価は 3.5 以上になることも充分あり得るが、それもデッキに他に何が入ってるかによる。いいクリーチャーが入っていればいるほど《グレイブディガー》のありがたみも増すだろう。例えば《トリスケリオン》みたいなカードがあると《グレイブディガー》とか《墓暴き》とかに目が向くし、《悪斬の天使》みたいなただつよのカードが取れてるときも同じ。ドラフトの序盤では《グレイブディガー》は手堅すぎるピックに思えるが、でも大抵の場合除去より役に立つ。

《消えないこだま/Haunting Echoes》

構築:2.0
この一年間はデッキに入りそうな気配すらなかったカードだが、《復讐蔦》が印刷されたのは最後の三ヶ月になってからだ。正直なところ一度除去したクリーチャーが戻ってくるのを防ぐのに5マナも使うなんてのは気に入らないんだが、ひとたび打てばそのゲームの間は《復讐蔦》は二度と出てこない。今のところ、《復讐蔦》をどうしても止めたいデッキにとって、このカードはよい選択肢とは言いがたい。だが《墓所のタイタン》がこいつを必要とするようなデッキを作ってくれるかも知れない。
リミテッド:0.0
流石にこの評価をくつがえす羽目にはならないだろうと願ってるんだが。どんなデッキを相手にしてたとしても、《消えないこだま》を引きたい、って状況をひとつも思いつかない。もし相手が(もしくはこっちが)《時の逆転》入りのライブラリーアウトデッキを使ってたとしてもだ。ていうかそんなデッキあるのか。

《吠えたけるバンシー/Howling Banshee》

構築:1.0
4マナありゃ《血編み髪のエルフ》から《荒廃稲妻》なんてことができるってのに、こいつを出すだけとかあり得ない。
リミテッド:3.5
場に出た時のライフロスは相称的だが、大抵の場合はこちらに有利に働く。なにしろパワー3の飛行持ちを出したところだし、黒にはライフゲインの手段も少なくないからだ。時々はデメリットがきつく感じられる状況もあるだろうが、防御的な状況ですら4マナ 3/3 飛行は3点のライフロスに見合うだけの価値がある。4マナ3/3飛行でちょっとしたメリットがついてくるとなれば、神とまではいかないが大したものだ。

これでやっと半分。まだ一色目。

*1:原文「Though I wouldn't call it the blade」。ここはお手上げ。適切な訳がわかる方は教えてください。