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M11-LSV-白(その3)

白はこれで終わり。ちょっとペース落ちてきた。まだ二色なのに……。
原文→http://strategy.channelfireball.com/featured-articles/magic-2011-set-review-white/

《包囲マストドン/Siege Mastodon

構築:1.0
こいつはおそらくゴブリンたちから学ぶべきことがあるだろう……やつらは大抵どうしようもないが、包囲のやりかただけは確かにわかってる!
リミテッド:1.0
歴史上、《包囲マストドン》を喜んでデッキに入れた奴はひとりもいないが、とにかく一日中でも 4/4 をブロックすることはできる。

《沈黙/Silence》

構築:1.0
依然としてこいつは続唱に対する解答にならないし、今や残っていたわずかなシェアも《神聖の力線》に奪われてしまった。
リミテッド:0.0
対戦相手に「静かにしろ!」って叫ぶのと同じぐらいの効果。あらゆるリミテッドではこのカードの出番はない。

《銀毛のライオン/Silvercoat Lion》

構築:1.0
なんでこの《ライオン》と《栄光の探求者》が全く同じスペックなのかどうもよくわからない。一方はライオンで、もう一方はそこら辺のあんちゃんなんだぜ。
リミテッド:1.0
こいつのライオンらしいとこを探しても時間の無駄だろう。このカードは弱い、デッキには入らん。以上。

《真面目な捧げ物/Solemn Offering》

構築:1.0
こいつを構築で見られる望みは(まあ元々殆どないわけだが)《テューンの戦僧》と奴の厄介な“カード・アドヴァンテージ”って奴に完全にかき消されちまった。
リミテッド:0.5
サイドボードに《帰化》系を入れるのは昔ながらのやり方だし常に有難いが、すすんで取るようなカードでもない。

《戦隊の鷹/Squadron Hawk》

構築:2.0
1/1 飛行の束を並べたてるのは時間の無駄でしかないが、2マナでカードを3枚引けるというのはちょっと検討に値する。問題は、その3枚引いてこれるカードが前述したとおりただの 1/1 飛行だってことだ。もしそれさえ解決できれば勝ちにつながるカードだと言えよう。《復讐蔦》の能力を誘発させる、ってのは悪くないが、それだったら《イーオスのレインジャー》の方がいい。《精神を刻むもの、ジェイス》を場に出して《渦まく知識》能力と組み合わせる、ってなるとあほみたいに強いだろう。だが、ジェイスを場に出して《渦まく知識》能力を回せるようになってるんだったら、こんな鷹のギミックがなくてもどのみち勝ってるよな!
リミテッド:1.0-3.0
驚くにはあたらないだろうが、リミテッドでの《戦隊の鷹》のレートは大きく上下する。1枚しかなければデッキには入らないが、2枚だったらなかなかいいと言えるし、3枚以上だったら素晴らしい。まあ2枚というのが検討すべきラインだと思うが、おれは2枚あったら入れるべきだと思う。2白白のコストで 1/1 飛行が2体出せる(しかも実質的にはカード1枚)のなら上等だろう。まあ、2枚とも手札に来ちまってがっかり、なんてリスクはあるのだが。もしこいつを2枚取れたんなら、3枚目以降は少し順位を上げてピックすべきで、《野生のグリフィン》や《嵐前線のペガサス》辺りよりは上に来る(それでも《突撃グリフィン》や《雲の十字軍》には及ばない)。もうひとつうれしいところは、卓内で《鷹》に興味がある奴はひとりだろう、ということで、卓内の鷹を独占すらできる可能性が十分ある。

《嵐前線のペガサス/Stormfront Pegasus》

構築:1.0
小さくて軽い飛行クリーチャーだが、《ステップのオオヤマネコ》《板金鎧の土百足》《朽ちゆくヒル》辺りとは勝負にならない。というか、5年前ならともかく、今となってはこれでもさほど軽いとは言えない。
リミテッド:3.0
一方、リミテッドではこいつみたいな攻撃的な飛行クリーチャーに外れはない。コントロール寄りのデッキでも入るだろう。最低でも飛行クリーチャー1体と相打ちを取れるし、もし2ターン目に出せたらそれだけでゲームに勝てるかも知れない。

《太陽のタイタン/Sun Titan》

構築:2.0
バンド・メンバーの中でも、こいつにはあまり期待していない。《原初のタイタン》と《墓所のタイタン》がマイクを奪い合ってる後ろでこいつはベースを弾いてるのが関の山だ。コストの低いパーマネントを墓地から引っ張り出してくる程度じゃセクシーとは言い難い。なるほど《忘却の輪》を持って来れたらかなり強いだろうが、《忘却の輪》が墓地に落ちてることがどれぐらいあるだろうか? 《忘却の輪》はおそらく相手の《忘却の輪》で対処されることが一番多く、そうなると《太陽のタイタン》は役に立たない。《地盤の際》やフェッチランドを拾うことはできるだろう……しかしそれじゃ6マナも払うクリーチャーとしてはぱっとしない。それだったら《ジュワー島のスフィンクス》か《悪斬の天使》の方がよさそうだ。《スフィンクス》は除去をかわせるし、《悪斬》は対処されなければゲームを決められる。《太陽のタイタン》はどっちでもない。
リミテッド:4.5
リミテッドだとどのタイタンもみんな強いが、こいつは黒と赤に次ぐ地位にある。6/6 警戒でぶん殴りながら毎ターン軽いクリーチャーを《グレイブディガー》よろしく掘り起こす、というのはかなり強い動きだし、最悪でも《広漠なる変幻地》を拾ってこれる。

(訳注:個人的にはバンドの要はベースなんじゃないかと思うのだが、ここではそういうニュアンスはなさげ。)

《不屈の宣教師/Tireless Missionaries》

構築:1.0
こいつが不屈だってのはいいな。構築でデッキに入らないと知ってもくじけなさそうだ。
リミテッド:1.0
白には必ずこういうライフゲインつきの弱いカードが入ってる。超攻撃的なデッキ相手にしか役に立たないだろうし、そもそもそんな超攻撃的なデッキなんてもんが存在するのかどうかすら疑問だ。ライフゲインデッキをドラフトしようなんてどうか思わないでくれ。こう言っててもやる奴はやるし、出来に満足しないだろうってことも、わかってはいるんだが。

《復讐に燃えたアルコン/Vengeful Archon》

構築:1.0
見てくれよ。また白のクソ重いくせに除去耐性もなければ場に大した影響も与えないクリーチャーのお出ましだ。たとえこいつが5マナだったとしても、殆どの場合同じ5マナの《悪斬の天使》の方が有難いんじゃないか。常に、というわけではないが、例えばライフで明らかに劣勢に立っている時なんかは《悪斬》の方が確実にこいつより強いだろう。現実には《アルコン》の方が逆に2マナ重いわけで、いかに《悪斬》が強いかということが端的に表れていて、それは面白いところではある。
リミテッド:4.5
7マナってのはつまり6マナより重いんだが、《復讐に燃えたアルコン》は場を完全に支配できる。殴れば7点、能力のおかげでダメージレースにも持ち込まれようがない、となれば高いマナ払った甲斐はあるってものだろう。M11 の環境は比較的遅いから、こいつを場に出すまで生き残るってプランも現実的だ。もちろんデッキによっちゃこいつよりも《嵐前線のペガサス》とかの方が欲しいなんてこともあるだろうが、ドラフトの早い段階では、こういう爆弾レアをとにかく取って、それを場に出すまで生き残れるようなデッキを組むって戦略をとるべきだ。

《テューンの戦僧/War Priest of Thune》

構築:2.0
こいつは小柄ながら中々便利な奴だ。だがライバルは多く、厳しい競争に直面しなければならない。古いフォーマットでは、《クァーサルの群れ魔道士》がわずかに色拘束が強いとはいえ、それ以外のあらゆる点でこいつにまさっているので、こいつが「Zoo」から《群れ魔道士》を叩き出すことはなさそうだ。スタンダードでも、《忘却の輪》よりこいつを優先して使うことはあまりなさそうに思う。《忘却の輪》4枚じゃ足りないデッキでは《コーの奉納者》よりはこのカードが使われるかも知れない。そんなカードが入るとして、の話だが。このカードを最初見た時には《古の法の神》――わりと強いカードだった――の上位版だと思ったのだが、こいつの場合2ターン目には出せないので、そのデメリットがかなりでかい。《神》はエンチャントを割る前に何ターンか殴りに行くことができて、このような攻撃的クリーチャーの場合その方がずっと強い。
リミテッド:2.0
「してもよい」の一言が加わっているのはでかい。白にはコモンに強いエンチャントがあるので、それを自分で割る心配をせずに《テューンの戦僧》をメインから入れられる。必ずしも常にデッキに入るカードではないが、たまたまでも《精神の制御》《平和な心》《氷の牢獄》辺りを割れる可能性があるのは、それだけでデッキに入れる理由になり得る。《栄光の探求者》と違って《戦僧》は相手のデッキによっては後半に引いても非常に強いこともある。だから後半引いたら手札に溜めておくこともできるし、2ターン目に出る熊(※2マナ 2/2 のこと)は弱い筈がない。

《白騎士/White Knight》

構築:2.0
プロテクションは強い能力で、今現在《白騎士》が構築で全然使われていないからといって、今後もずっとそうなると考える理由はない。もし《ナントゥーコの影》が活躍して黒い攻撃的なデッキが流行るようなことがあれば、《白騎士》にぴったりのポジションができるかも知れない。(どちらもあまりありそうには思えないが)
リミテッド:3.0
殴ってよし、ブロッカーとしてよし、と来れば多少のマナコストのきつさには目をつぶれる。黒が濃いデッキ相手ならこいつ一体で戦線を崩壊させられる。しかし正直に言ってプロテクションってそんなにいいメカニズムとは思えんのだよな。くその役にも立たないか、あほみたいに強いかのどっちかにしかならなくて、それがカードの強さのバランスを取る方法としていいとは思えない。

《野生のグリフィン/Wild Griffin》

構築:1.0
ここで『ファミリー・ガイ』ねたでも披露すべきとこなんだが、ちと考える気力がわかん。
リミテッド:3.0
こいつは《嵐前線のペガサス》より若干弱い。が、0.5 ポイント下げるほどではないので、レートとしては同点になった。白にはあほみたいに飛行持ちが居るので、白メインのデッキを組んだらほぼ確実に飛行がゲームプランの中心になるだろう。

(訳注:『ファミリー・ガイ』はアメリカ合衆国のアニメで、主人公がグリフィン一家であることをふまえての発言であるようだ。めんどくさいのでここでは直訳した。ていうか日本語 Wikipedia のファミリー・ガイの項目すげえ詳しいな。おれはタイトルも知らなかった。)

構築トップ5

5.《太陽のタイタン/Sun Titan》
4.《糾弾/Condemn》
3.《神聖の力線/Leyline of Sanctity》
2.《審判の日/Day of Judgment》
1.《悪斬の天使/Baneslayer Angel》
残念ながら、白にはわくわくするようなカードは新しくは入ってこなかった。残留した《悪斬の天使》は全色中でもトップクラスのカードだが、それ以外の再録組《審判の日》《糾弾》はサイドボード・カードで、それほど見かけることも多くはなさそうだ。《神聖の力線》は一番面白いカードで、相手のデッキの戦略そのものをへし折ってしまうことができる(特に《強迫》を用いるコンボデッキに対しての影響には興味がある)。とはいっても、メインデッキに入るようなカードではないだろうが。

リミテッドトップ5

5.《嵐前線のペガサス/Stormfront Pegasus》
4.《雲の十字軍/Cloud Crusader》
3.《突撃するグリフィン/Assault Griffin》
2.《平和な心/Pacifism》
1.《目潰しの魔道士/Blinding Mage》
解説するまでもないな。除去、除去、飛行、飛行、飛行。いつも通りの白の仕事だ。

  • 白終わり。力線に対するコメントがひときわ長かったのが印象的。五色とも原文は目を通したのだが、全体のテキストの長さは青がちょっと長いかなという程度で殆ど変わらない。その中で白力線のコメントは全カード中でも一番長いんじゃないかという勢いだった。
  • 「solid」という言葉を基本的には「手堅い」と略しているのだけど、LSV はもう少しよいニュアンスで使っているようにも思われる。つうかまあ、日本語の「手堅い」も5点満点だと何点だよみたいな話になったら人によって結構ばらつきがありそうではあり、その意味ではあまりいい訳語とは言えないのかも知れない。LSV は 3.5 点ぐらいの感じで使ってるんじゃないかな。
    • まああれじゃよ。awesome、absurd、fine、good、solid、どれが一番いい評価なのか、どれをどう訳せばしっくりくるのか、ある種永遠のテーマだよな。むずかしいぜ。とか書いてる割には適当当ててるけど。
      • 適当当ててるというか、「きっちり決めない方がいい」のだと思っている。同じ言葉でも文脈によってニュアンス違ってくると思うし。ただ、決めないでいると、訳語を選ぶ時におれ自身のカードに対する評価が混ざってしまう。それはいかん。強い人ならいいんだろうけど(ほんとはよくない)、おれなんかの評価が入ってもいいこといっこもない。
  • LSV の英語は比較的訳しやすい。ただし比較対象はズヴィとかゲリイ・ワイズとか。というかまあ、少しでも砕けた言い回しを多用されると非ネイチヴの素人には基本的にはお手上げザンスよ。まあズヴィはそうでなくても訳しづらい文章書きそうなキャラクターではあるのだが。
  • 次は、青。そろそろ飽きるかなあ、という感じにはなってきたか。