黄昏通信社跡地処分推進室

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NFL 2016 -- Super Bowl LI

さあ、これで最後。

New England Patriots (AFC #1 Seed/East) @ Atlanta Falcons (NFC #2 Seed/South)

ペイトリオッツのオープニングドライブはスリーアンドアウトだった。最初のパスをエデルマンがドロップ、2nd ダウンはそのエデルマンにもう一本投げて9ヤードゲイン。3rd&1 からのランプレイをファルコンズがノーゲインにとどめ、パントとなった。
ファルコンズは返しのドライブ、フリーマンがいきなり 中央を抜いて 37 ヤードゲインして度肝を抜くが、次のファーストダウンが取れずにパント。
次のドライブはペイトリオッツは敵陣まで入るが、ブレイディが3プレイで2サックされて得点にいたらず。返しのファルコンズのドライブもライアンがサックされて止まり、これもパント。意外なことに、1Q はパントの応酬で1点も入らないままに終わった。
2Q の頭に試合が動く。ボールを持ったブラウントがジョーンズにボールをかき出されてファンブル。これをファルコンズが素早くリカバーしてテイクアウェイとなった。これで得た攻撃権でファルコンズは一気呵成に攻める。フリオ・ジョーンズへ中央、左サイドライン際と二本続けてパスを決めて一気に敵陣 30 ヤードまで攻め入ると、そこからフリーマンのランを二本重ねる。これが 15 ヤード、10 ヤードと立てつづけに出て、たまらずペイトリオッツタイムアウトを取る。しかしタイムアウト明け、それをあざ笑うかのようにみたびフリーマンのラン、がら空きの左サイドへ走ってそのままエンドゾーンに飛び込んだ。
ペイトリオッツの返しのドライブはスリーアンドアウトで、パントもあまり伸びず、敵陣 38 ヤードでデッドになった。
ファルコンズは次のドライブも得点をあげる。ライアンがガブリエルへロングパスを通して敵陣に入ると、敵陣 19 ヤードからライアンはエンドゾーンのルーキー TE フーパーを狙ってパスを投じる。1回目は CB チャンにカットされるが、次の 3rd&9 でも続けてフーパーへ。今度はフーパーがチャンを抜いていて、ボールは完璧なところに収まってタッチダウンファルコンズが 0-14 とリードを広げた。
ペイトリオッツの返しのドライブ、じりじり進むがランプレイが全然出ず、何度も 3rd ダウンになってはそのたびにディフェンスのホールディングでなんとかドライブを継続する。3回そのパターンを繰り返して敵陣に入るが、3rd&6 からのブレイディのパス。左サイドのベネットとアメンドーラがクロスするパターンで、ピックの形になって空いたはずのアメンドーラへブレイディはパスを投じるが、なんとニッケルバックのアルフォードが内側からするっと上がってきてインターセプト。オフェンスの選手はブレイディしか残っておらず、アルフォードは楽々タックルをかわすと、そのまま 82 ヤード走りきってリターンタッチダウン。なんと 0-21 になってしまう。
残り 2:23、ペイトリオッツタッチダウンを返しにいく。ここは短いパスをよく決めてドライブを継続し、敵陣の奥深くまで攻め込んだが、ファルコンズエンドゾーンを集中的にカバーしてタッチダウンは許さず、最後は時間切れで FG を蹴る。3-21 で折り返した。


レディー・ガガさんの素晴らしいハーフタイムショウを挟んでの後半はファルコンズの攻撃からだったが、ここはペイトリオッツがいい守備を見せてスリーアンドアウトにしとめる。さらにそのあとのパントをエデルマンが 10 ヤードほど返して、自陣 47 ヤード地点からの攻撃を得た。ペイトリオッツとしてはいい展開だったが、ここからの攻撃がよくない。1st ダウンでホーガン、3rd ダウンでエデルマン、とふたりのレシーバーが立て続けにパスをドロップして、あっさりパントになってしまった。
返しのドライブでファルコンズはまた素晴らしい攻撃を見せる。ガブリエルへのパスで苦しいポジションを脱すると、その次のプレイでは再びガブリエルが今度はポストルートを走り、セイフティが転んでワイドオープンになったところへライアンがパスを通す。相手のパスインターフィアランスで 1st ダウンを得ると、最後は右バンチフォーメーションからバンチの3人を使わずに右サイドのパスコースに出た RB コールマンへ。そのまま右隅に走り込んでタッチダウンとなった。3-28。
ペイトリオッツは次のドライブでようやく反撃。ランを半ばあきらめ短いパスを中心に攻撃を組み立てると、これがはまって敵陣へ。途中 4th&3 もギャンブルで更新し、最後は RB ホワイトへの短いパスでタッチダウンが決まり、PAT がはずれて 9-28 となった。
ペイトリオッツはここでオンサイドキックをコール。面白い狙いだったが、10 ヤードのわずかに手前でゴストカウスキーの足がボールに触れてしまいイリーガルタッチ。ファルコンズは敵陣からの攻撃になったが、ここはホールディングとサックがあって FG 圏内まで行けずにパントに終わった。
ペイトリオッツは次のドライブもパス一辺倒の攻撃を展開する。文字通りランを一度もコールせずにブレイディに託し、敵陣7ヤードまで攻め入るが、最後決めきれずにサックを浴びて FG 止まり。それでも 12-28 として、ぎりぎり2ポゼッションの差には持ち込んだ。
ファルコンズは返しのドライブでやらかしてしまう。ランプレイ2回で9ヤードをゲインして 3rd&1 としながら、次のプレイでパスをコール。ドロップバックしたライアンがボールを投げようとしたところに LB ハイタワーが襲いかかり、ライアンの手からボールがこぼれる。これをペイトリオッツがリカバーして、敵陣 25 ヤードからの攻撃となった。ペイトリオッツはまたしてもパスだけでこの 25 ヤードを進みきり、最後はアメンドーラに短いパスが通ってタッチダウン。ツーポイントコンヴァージョンは RB ホワイトへのダイレクトスナップというペイトリオッツらしい小技を決めて、20-28 と追い上げる。
ファルコンズは次のドライブで、フリーマンが短いパスをとってがら空きの左サイドを駆け上がり 39 ヤードのゲイン。さらにライアンがプレッシャーから逃れて走りながら右サイドライン際のフリオ・ジョーンズへロングパスを投じる。ジョーンズがこれをジャンプしてディフェンスの手の届かない高さで取ってから着地際に左足→右足と入れるスーパーキャッチで 27 ヤードのゲイン。これで 22 ヤード地点まで来て、もしここで FG でも蹴れていたら試合は決まっていた可能性が高い。しかしファルコンズは何かに魅入られたかのように FG 圏から下がっていってしまう。ライアンがサックを受け 12 ヤード、次のプレイでホールディングがあってもう 10 ヤード。3rd ダウンのパスも決まらず、結局パントを蹴ることになった。
ペイトリオッツは厳しいフィールドポジションからの攻撃だったが、この頃にはブレイディがディフェンスをすべて読み切れるかのようにパスを決め始める。1本エデルマンがパスを取れず上に弾いてしまった場面があったが、そのボールさえもファルコンズ DB の足の上に落ち、地面には着かないままエデルマンが再び確保するというスーパープレイになってしまう。このドライブもほとんど全部パスで攻めたが、最後の最後だけはホワイトのランをコールしてタッチダウンファルコンズはもはや止める術がないという感じだった。
勝負のツーポイントコンヴァージョン、しかしこれもブレイディが左サイドでモーションしたアメンドーラに素早いパスを送り、取ったアメンドーラが2ヤードをぎりぎりゲイン。ついについに、25 点ビハインドだったペイトリオッツが、28-28 の同点に追いついてしまった。
残りは 0:57。短くはなかったが、ファルコンズタイムアウトを使いきっており、その上キックオフを1ヤード地点からリターンしようとして7ヤード地点からの苦しいオフェンス。ライアンはパスを2本ほど通したが普通に 4th ダウンになってしまい、パント。スーパーボウル史上初のオーヴァータイムに突入した。


オーヴァータイムはペイトリオッツの先攻。そしてファルコンズはその攻撃を止めることができない。次々にパスを通され、自陣に入られ、FG 圏内に入られ、気がつけばタッチダウンが目の前になっている。2ヤード地点で、2nd&Goal。ブレイディがスナップを受けて、ホワイトにハンドオフする。ホワイトは右サイドに走り込み、タックルを受けながら頭を下げて前方に投げ出すように身体を伸ばす。ライン上にボールを置くように倒れ込むと、審判の両手が上がった。





ほとんど互角だった、と思う。ファルコンズはレギュラーシーズンで見せた通りの強力なオフェンスだった。若いディフェンスもアグレッシヴによく守った。スーパーボウルリングを手にするに値するチームであった。
しかし、驚異的な精神力と作戦実行能力で、ペイトリオッツがわずかにファルコンズをしのいだ。25 点差はレギュラーシーズンだってそうそう逆転できる差ではない。ましてスーパーボウルで、3Q 半ばの時点でその得点差だったのだ。それをひっくり返したのだから、これ以上言葉を重ねても意味があるとは思えない。
強かった。すごかった。ただそれだけだ。トム・ブレイディはとてつもないクォーターバックだ。ビル・ベリチックもまた、スポーツ史に永遠に名前を残すヘッドコーチであるのだろう。


アトランタのファンの落胆は想像もつかない。ポストシーズンに弱いと言われてきたエース QB が、シーズン MVP に選ばれ、プレイオフ二試合を圧倒的なパフォーマンスで勝ち上がり、この日もほとんどリングを指にかけるところまで行ったのに、それがこぼれ落ちていってしまった。いいチームだったし、ライアンを含めてチームはまだ若い。近いうちにまたチャンスが来る可能性は高い。胸を張るどころか、大いばりできるシーズンだった。
それでも、秋が来るまで、きっとファンはこう言いつづけるのだろう。
……どうしてあそこでパスをコールしちまったんだ、って。


最終スコア:NE 34-[OT]-28 ATL