- 作者: 古谷利裕
- 出版社/メーカー: 勁草書房
- 発売日: 2018/12/26
- メディア: 単行本
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文章は読みやすく考察も面白くて楽しく読んだのだけど、なんといっても流石に取り上げられている作品を見ていなさすぎて(章題に登場するだけで 20 作品以上あるが、そのうち三作品しか見ていない)、考察そのものに対してなにかを言うことは難しい。しかしまあ、おれですら面白かったのだから、登場する作品を数多く見ている人はもっと面白いだろう。
冒頭の、そして書名にもなっている「虚構世界はなぜ必要か」という問いについては、文字通りの意味では自明なんだけど*2、ここではそうじゃなくて、例えば 1970 年代の名作とされる作品でも描かれ方によっちゃ今となっては白けるよね、みたいな話があって、フィクションがフィクションとして力を持つのは必ずしも自明じゃない、ということが本当の命題になっている。そこは面白かったです。なんだかんだ言って、自分もフィクションを摂取するうえではそういうことは多少たりとも意識はしているのだろうし。
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登場する作品:
ビューティフルドリーマー、エンドレスエイト、まどか☆マギカ/攻殻機動隊、lain/ソードアートオンライン、電脳コイル、ロボティクスノーツ/ほしのこえ、トップをねらえ/AURA、中二病でも恋がしたい!/涼宮ハルヒの憂鬱、ゼーガペイン、シュタインズゲート/逆襲のシャア、ガンダムUC、ガッチャマンクラウズ/マイマイ新子と千年の魔法、この世界の片隅に/けものフレンズ/君の名は。、輪るピングドラム
*1:現在は偽日記@はてなブログ。→https://furuyatoshihiro.hatenablog.com/
*2:強いて言えば「虚構でしかあらわせないことが世の中には限りなくあるし、そのように作られたものでしか持ち得ない『心を動かす力』というのがあるから」といったところか。