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『鍵開けマニュアル [増補版]』 鍵と錠の研究会著 データハウス,2002-08-01

なんとなく図書館で目について借りた本、だけど、中々面白かった。シリンダー錠の基本的な構造とピッキングの初歩を中心に、錠前とその破り方を解説した本。80 年代~90 年代はピッキングの被害も多かったらしく、それを受けてシリンダー錠もだいぶいろいろ進歩したらしい。そういうことを図解入りで説明してくれる本をこれまで読んだことがなくて、その意味でとても興味深かった。内容としては 2002 年に書かれたものだし、当時においても最新の知見にまでは触れていないだろうから明らかに古いはずだけど、今なお使われているタイプの錠もいくつか載っていてそれだけで楽しい。このころはピッキングの道具がわりと簡単に買えたようですごい軽い感じで書いてあるんだけど、実際にはこの後法律が制定だか改正だかされて鍵開け道具を買うことにはかなり厳しくなっているらしい。
書名で検索するとなんと 2016 年の「【第6版】」まで出ているそうで、ずいぶん人気があるのだなということがうかがえる。おそらく実際にカギを開けてみようという人は少なくて、なんとなく興味があるというぐらいの人が多いのだろうと思うけど、それにしても大したものだと思う。いろいろ調べているとどうも初版にあたるものは「危ない28号別冊」みたいな扱いらしくこれが 1999 年、その後 2001 年に「最新」と銘打ったものが発売され、この増補版が 2002 年でおそらく第3版というカウント。その後 2006 年にデータハウスブックというのに収録されてこれが第4版扱い、その後今の鍵穴のデザインの表紙になったものが第5版、そしてデザインそのままに改訂されて第6版が最新、という感じのようだ。前世紀の悪趣味サブカルの生き残り、と言われると随所にいかにもな雰囲気も残っていて、まあおれは別にそういうの全然好きじゃないんだけど、そこを楽しめる人もいるかなと思う。