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NFL 2021 -- Wildcard Playoff

いよいよプレイオフ。ということで一週目の今週はスーパーワイルドカードウィークエンド。今季からはマンデーナイトにも一枠入っちゃうよ! 個人的には土日に全部やられるよりは有難かったりするけれど。

Las Vegas Raiders (10-7; AFC #5(West)) @ Cincinatti Bengals (10-7; AFC #4(North))

19 年プレイオフで勝利を挙げていないレイダーズを迎え撃つのは、31 年プレイオフの勝利から遠ざかっているベンガルズ。レイダーズはそもそもプレイオフから長らく遠ざかっていたが(2016 シーズンに出たのが 14 シーズンぶりで、今回はそれ以来)、ベンガルズはそこそこ出ているのに全く勝てていない(七回連続初戦敗退)。特にマーヴィン・ルイス HC の勝負弱さは有名で、その下でアンディ・ドルトンが五年連続初戦敗退を喫したのはまだ記憶に新しいところだ*1
レイダーズがフィールドゴールで幸先よく先制するも、返しのドライブでベンガルズはあっさりタッチダウンをあげて逆転する。さらにレイダーズはその返しのドライブでカーがサックされてファンブルロスト。15 ヤード地点で攻撃権を与えてしまう大ピンチだったが、ここはディフェンスが抑えてフィールドゴールにとどめた。ところがその後のキックオフ、アウトオヴバウンズに出そうだったボールにバーバーが触ってしまい、レイダーズの2ヤード地点からの攻撃に。そしてカーがサックを喰らってゴール前にくぎ付けにされてしまう。ここも返しはフィールドゴールに抑えたが、3-13 まで点差が広がった。このあとレイダーズは FG を返したが、その返しのドライブでベンガルズはさらにタッチダウンを追加する。10 ヤード地点での 3rd&4、バロウが右サイドラインに向かって逃げて行って、ああこれはアウトオヴバウンズに出たな、と思った瞬間エンドゾーンに向けてひょいっとボールを投げるとこれが通ってタッチダウン。審判も空中にボールがあるうちに笛を吹いてしまったので物議をかもしたが(厳密にはタッチダウンにならない)、タッチダウンは認められて 6-20 となった。すでにツーミニッツも過ぎていたがレイダーズはここからのドライブがよく、カーが短いパスをよく通してタッチダウンまで持っていく。13-20 とワンスコア差で折り返した。

後半はゴールが遠く、おたがいじりじり攻めては FG 、を繰り返して時間が過ぎていく。おたがい 9 ヤードとか 10 ヤードとかまで行くけどタッチダウンがとれないのだ。そしてレイダーズはどうしても点差を七点より詰めることができない。それでも最後の最後、ベンガルズの攻撃をスリーアンドアウトで止めて、タイムアウトは使い果たしたものの二分弱の時間を残して自陣 35 ヤード地点からの攻撃を開始する。ラフィングザパサーで敵陣に入り、一度はサックされて 3rd&17 となりながらロングパスを決めて 1st ダウンを更新、ついには9ヤード地点でスパイクするところまで行く。残りは 29 秒、パスを三回投じるには充分な時間だ。しかしここまでだった。カーのパスは二本失敗し、最後の一本がインターセプトされた。

ベンガルズはこれで 31 年ぶりの勝利。ドルトンが四回(+一回)やってできなかったことをあっさり一回目でクリアした。レイダーズの前半のもたつきに助けられた面はあるが勝ちは勝ち。地元での勝利はチームにとっても格別のものだっただろう。
レイダーズは力尽きた。グルーデンがクビになったりスターターをふたりぐらいフットボール外で欠いたりめちゃくちゃなシーズンで、スタッツも一試合平均得失点が -3.xx みたいなめちゃくちゃな数字で、それでもプレイオフに進んで、いい試合をした。これを糧にできるだろうか。まずはヘッドコーチを探さなければならないけれども。

最終スコア:LV 19-26 CIN

New England Patriots (10-7; AFC #6(East)) @ Buffalo Bills (11-6; AFC #3(East))

これはけっこう意外な結果。
オープニングドライブからビルズはタッチダウンをあげて先制したのだけど、返しのドライブでペイトリオッツエンドゾーンへ投じたロングパスをインターセプトされる。その返しのドライブでもビルズはタッチダウン。ディフェンスが持ち味のはずのペイトリオッツがこれでは苦しいよな……と思っていたのだが、ビルズは止まらない。前半あと二回の攻撃も両方タッチダウンにしてしまうのだ。ペイトリオッツは 27-0 から前半最後のドライブでようようフィールドゴールを決めて 27-3。理論上は3ポゼッションだが、限りなく4ポゼッションに近い得点差で折り返した。

後半もビルズは止まらない。ペイトリオッツに二本のタッチダウンは許したものの、自身の攻撃では三回のドライブすべてでタッチダウン(最後はニーダウンしたが)。結局前後半、ニーダウン以外は全部タッチダウンという完ぺきな攻撃でペイトリオッツを粉砕してしまった。強かった。ペイトリオッツは後半はもうちょっと手がないという感じだった。ルーキーのマック・ジョーンズが 2INT というのはまあ織り込み済みだったのではないかと思うが、チームの強みであるディフェンスがここまでランでもパスでもやられてしまうとは想定外だっただろう。これでまだベリチックの首がどうこうということにはならないだろうけど、もっとずっとまともな勝負ができるとは思ってたかな。

最終スコア:NE 17-47 BUF

Philadelphia Eagles (9-8; NFC #7(East)) @ Tampa Bay Buccaneers (13-4; NFC #2(South))

見てません。
バッカニアーズがイーグルズをひねった。3Q までで 0-31。4Q には反撃を許して 15 点返されたがどうということもない。下馬評通り、レギュラーシーズンの順位やスタッツ通りの結果となった。
正直この試合が一番番狂わせがなさそうだなとは思っていた。イーグルズのレギュラーシーズンは得点で 12 位、失点で 18 位。プレイオフに入るにはぎりぎり値するだろうけど、ハーツもめちゃくちゃすごい QB というほどではなく、シーズン後半ランは結構出てたけど……ぐらいの印象しかなく。やはりこの程度のチームだとバッカニアーズを倒すのは難しいのだろう。ハーツにとってはほろ苦いデビューとなったが、曲がりなりにもタッチダウンはあげたし、来年以降また頑張ってねというところか。
バッカニアーズは完璧に近い勝ち方。ディヴィジョナルラウンドではカーディナルズラムズの勝者を迎え撃つ。

最終スコア:PHI 15-31 TB

San Francisco 49ers (10-7; NFC #6(West)) @ Dallas Cowboys (12-5; NFC #3(East))

Week 18 でオーヴァータイムの末にラムズを下してプレイオフの権利をもぎとったフォーティナイナーズカウボーイズは同地区の他チームの不甲斐無さにも助けられて早々と地区優勝を決めていたが、シード順の兼ね合いもあって最終週もプレスコットが投げていた。
試合は格下のフォーティナイナーズが先行する。オープニングドライブからわずか7プレイでタッチダウンをあげると、続く攻撃も FG、FG と順調に得点を重ねて 13-0。カウボーイズはその返しのドライブから反撃開始。ポラードのランをフィーチャーして前進すると、最後は 20 ヤードをアマリ・クーパーへのパスで一気に詰めてタッチダウン。まだ五分以上あったのであわよくばもう一本返したいところだったが、逆にフォーティナイナーズに 52 ヤードの FG を決められてしまい、16-7 となって折り返した。

後半はパントを一本ずつ蹴りあってからカウボーイズがまずい攻め。自陣で反則で下がり、サックで下がって 2nd&28 というちょっともう更新厳しいなという形から無理をしてインターセプトを食らってしまう。自陣 26 ヤードからの攻撃権を与えると、フォーティナイナーズはディーボ・サミュエルのラン一発でタッチダウンにして、23-7 とリードを広げた。苦しいカウボーイズ、次の攻撃はパントに終わり、その次の攻撃も 4th ダウンになってしまうが、ここで絶妙なタイミングのフェイクパント! ガナーのブロッカーがスナップが出た瞬間早々と下がって行ってしまい、がら空きになったそのガナーのグッドウィンへアンガーから素早いパスが通り 16 ヤードのゲイン。これでフィールドゴールまでたどり着き、23-10。そして返しのドライブ、ガロポッロの短いパスをブラウンがインターセプト。これで得た攻撃権をタッチダウンまで持っていって、23-17 とワンスコア差に迫る。残り時間も八分以上あった。
フォーティナイナーズは返しのドライブで時間を喰いながらじりじり前進。ミッドフィールドを過ぎたところで止まったが、五分以上費うことに成功する。それでもパントを蹴らせてカウボーイズはボールを取り戻した。逆転を目指すドライブ、プレスコットはシュルツへのロングパスを通して敵陣に入る。しかしそこでぴたりと止まり、サックの後パスを三回連続失敗して攻守交代。これで万事休したかに思われた。だがカウボーイズはしぶとい。タイムアウトを二回使い切り、3rd&10 からのサミュエルのランプレイを 1st ダウン更新のぎりぎり手前で止め、どうにかもう一度パントを蹴らせることに成功する。今度こそ最後のドライブ、ウィルソンとラムによるフック&ラダーで 20 ヤード、サイドラインパスを二連発して合計 19 ヤード進んで敵陣 41 ヤード地点へ。残り 0:14 からのプレイコールはまさかのプレスコットの中央へのラン。プレスコットが 17 ヤード走ってスライディングして、オフェンスが並んで、ところがそこへ審判が後ろからオフェンスラインを割って入ってきてボールを置き直して、スクリメージ上の選手がちょっと下がって、プレスコットがスパイクした。残念ながら 14 秒には収まらず、タイムアップとなった。

ちょっと最後はよくわからん終わり方になったけれども、フォーティナイナーズが逃げ切り勝ち。前半がよかったのに比すると後半はターンオーバーからタッチダウンを一本奪っただけで、うーんという感じ。ガッロポロもよしあしが割とはっきり出るタイプなので予想が難しいけど、はまればリーグ上位の相手にもひけを取らない力はあって、そういう意味では次のバッカニアーズ戦でもチャンスはありそう。もちろん楽な相手ではないけれど。
カウボーイズはなんかもう少しやれそう、という感じだけ残して去っていった。レギュラーシーズンのスタッツもオフェンス1位ディフェンス7位と大威張りの数字なのだが、これが試合には反映されない。プレスコットは六年目でプレイオフ進出は三回目、これまで勝ったのは一度だけである。イメージとしてもそんなにポストシーズン強そうな感じではない。これから払拭できるだろうか。

最終スコア:SF 23-17 DAL

Pittsburgh Steelers (9-7-1; AFC #7(North)) @ Kansas City Chiefs (12-5; AFC #2(West))

ベン・ロスリスバーガーがフィールドを去る。
2004 年のドラフト一巡。同期にはイーライ・マニング、フィリップ・リヴァーズがいる、クウォーターバックの当たり年だ。マニングとリヴァーズはすでにリーグをあとにした。残されたロスリスバーガーはここ何年か引退をささやかれながらも一年また一年と続けてきた。昨年はひさびさにレギュラーシーズンでも絶好調だったが、終盤調子を落としてプレイオフに突入、なんとブラウンズにぼこぼこにされてしまう。試合後呆然とベンチに座る姿を見てさすがにこれはもう引退かと思ったファンも多かったのではないだろうか。かくいうおれもそうだったのだが、ロスリスバーガーは今季もスタジアムに戻ってきた。スーパーボウルリングは二回手にしているが、二回目ですら 2009 年。もはや三回目は現実的ではないにしろ、なにかやはり燃やしきれない何かが彼の中にあったのかもしれない。そして迎えたレギュラーシーズン。あのライオンズと引き分けたりして、順調とはほど遠いシーズンだったが、最後の三週間で驚異的な勝負強さと悪運を味方につけて奇跡のプレイオフ進出を果たした。
だが、もう肉体的には限界を迎えているのはこの日も明らかだった。ロングパスがとにかく全部ショートしてしまう。レシーバーはディフェンスを抜いているから、適切なターゲットに投げられてはいる。未だ判断力に衰えはない。しかしボールが手前に落ちてしまう。本人にとってももどかしいパフォーマンスだっただろう。
それでもスティーラーズは先制した。1Q の間はチーフスの攻撃をことごとくパントに抑え込むと、2Q、チーフスの自陣でのトリックプレイからこぼれたボールを T.J. ワットが拾い上げ、そのままエンドゾーンまで走ってタッチダウン。一発勝負ではアンダードッグが先制するほうが俄然面白くなる。でもそのリードも長続きしなかった。というかむしろ、このタッチダウンマホームズに火を点けたという印象すらあった。このあと前半だけでタッチダウン三本、それも8プレイ、7プレイ、6プレイと電光石火の早業でたちまち追いつき、逆転し、突き放す。やっぱり格が違う。スティーラーズもここですっかり消沈してしまった。

後半開始からもチーフスは三連続タッチダウンを決め、完全に勝負は決した。スティーラーズタッチダウンを二本返したが、もはやガービッジタイムというべき時間帯で大勢にはまったく影響しなかった。最後のドライブは3ヤード地点まで進んだが実らず、そのまま試合終了となった。
おれが NFL を観始めた年には、ロスリスバーガーはすでにスーパーボウルを二回勝っていた。けっこうベテランの風格があったので 29 歳と知ってまじで驚いた憶えがあるが、いまや 39 歳。ブレイディがいるおかげでまだ若いみたいに思えるが、普通はやはり肩に限界が来るころなのだろう。最後のシーズンにプレイオフに進めたのは、フットボールの神様の思し召しとでも言うべきなのだろう。もう勝てる力はなかったけれど、それは本人も承知だったにちがいない。一試合だけ長く立てたフィールドを、充分に楽しんだことだろう。おつかれさま、ビッグ・ベン
さてそんなわけでチーフスが楽勝でディヴィジョナルラウンドへ駒を進めた。次の相手はやはりワイルドカードラウンドを楽勝したバッファロー・ビルズ。昨年の AFC チャンピオンシップの再戦となる。リーグを背負って立つと目される若手 QB ふたりが順調にポストシーズンへ戻ってきてリマッチするということ自体を喜ばしく思うし、実に楽しみ。

最終スコア:PIT 21-42 KC

Arizona Cardinals (11-6; NFC #5(West)) @ Los Angeles Rams (12-5; NFC #4(West))

マンデーナイトフットボール
これまでプレイオフにマンデーナイトの枠はなかったのだけど、昨季からワイルドカードラウンドが二試合増えて六試合になったことから、「せや! 一試合は月曜日にやったらええんや!」ってことになったっぽい(のか?)。それでまあ、一番力が拮抗していそうなこのカードが選ばれたのだと思われる。
しかし試合は結構一方的になった。ラムズはとにかくディフェンスがカーディナルズオフェンスに仕事をさせない。マレーがほとんど走らせてももらえず、プレッシャーがかかって苦しいパスを投じる場面が何度も何度も見られ、最終的には 19/34-137yds。ランはたったの2回で6ヤード。象徴的だったのは 0-14 の 2Q で、自陣4ヤード地点での 3rd&7、エンドゾーンでプレッシャーを受けてあわやセイフティかというところ、ぎりぎりボールを持ち直して右のサイドラインのほうへ投げたのだが、これが力のない山なりのボールになってふらふらっとあがり、それを見逃さなかったラムズ CB ロング Jr.が走りこんで地面すれすれでキャッチ、そのままエンドゾーンまで走りこんでリターンタッチダウンにしてしまった。セイフティの2点を避けるために6点献上してしまったことになる。これで 0-21 となったところで今日はもう駄目かなというムードであった。
ラムズはオフェンスも着実に仕事をして 34 得点。スタどんも絶好調で 13 年目にして初となるプレイオフでの勝利を飾った。いやーよかったね。前も書いたかもしれないけど、スタどんをラムズに連れてきたらこれだけ勝ちまくるって想像した人がどれだけいただろうか。まあ、今となって思えばライオンズに十二年居て三回プレイオフに行ったんだから大したもんだったのかもしれないが、移籍早々ここまでやるとも正直おれは思ってなかった。

最終スコア:ARI 11-34 LAR

*1:厳密に言うと五年目の 2015 シーズンのプレイオフではドルトンは負傷のため投げていない。