黄昏通信社跡地処分推進室

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『リンダ リンダ リンダ』 山下敦弘監督 ビターズエンド,2005

久々に映画観に行った。新宿 K's Cinema ってとこで、微妙に場所がわかりづらい。昔まんがの森があったとこの近く。昔イエローサブマリンがあったとこの近く。新宿場外馬券売場からも近い。一番近い QMA2 設置店舗はエスタディオパセオ。だいたいわかった? (わかんなくていいです)
高校生の女の子4人が文化祭でブルーハーツをやる、というだけの話で、ほんとうにそれだけなんだけど、これがちゃんと面白く作られている。高校の文化祭を描くとなるとつい大いに盛り上がっている「祭」を作ってしまったりするものだが、実際には近所の人やら他校の生徒やら生徒の家族やらが来て適当に教室覗いたりなんか喰ったりうろうろしたりして、やってる方も一部熱くなってる奴は居ても大多数はそこそこ頑張る程度で仕方なくやってる奴もそもそも来ない奴も珍しくなく。
にもかかわらず、やってる方はやっぱり楽しいし傍から見ていてもちゃんと面白い部分も突っ込みどころとして面白い部分もあるわけで、そういうのをきっちり拾って現実味のある学園祭を作り上げているのがよかった。細かいねたがいちいち面白いのはセンスがいいということだろう。留年した先輩が屋上で「ひとり漫画喫茶」を営業している、なんてのはねたとしても面白いと同時に先輩の人物像も描いていて、巧い処理をしていると思う。
登場人物ではソン(ペ・ドゥナ)がやはり魅力的。日本語は素で下手らしいのだけど、そのために生じるコミュニケイション不全を巧くギャグとして機能させていたし、背がひょろっと高く少し不安定な風貌さえもがキャラクターを表わしているように感じられた。夜中の体育館でメンバー紹介をやるシーンはとてもいい(多少唐突な場面だけに、本来ライヴシーンに組み込もうとして結局外れた部分なのではないかと勝手に推測しているのだが……)。もちろん歌う姿も素敵だった。
他のメンバーもみんなよかった。香椎由宇は初めて見たけど雰囲気がある。関根史織は本業はバンドのベーシストだそうで、ある程度は当て書きなのかも知れない。前田“妹の方”亜季はヤングチャンピオンでしか見たことなかったが、長年やってるだけに達者だしスティック捌きも中々器用だった。
いい映画です。上映館は少ないし小さいとこばっかりっぽいけど(ここは60席ぐらいだった)、お勧めします。