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三日坊主新馬チェック 2005-2006 (21)

気がつくと結構レース数が多くなって来ていて、また中々大変な季節がやってきました。もちろん路線が進むにつれての楽しみもありますけど。

オープン

京都11-06-11R(T14/filly) ファンタジーステークス(G3):アルーリングボイス(牝・父フレンチデピュティ/母アルーリングアクト
(12) (16) に次いで3回目の登場で、未勝利を含めると4連勝で5戦4勝。
中団の内で軽く気合いをつけながら追走。ほぼ平均ペースで前が楽な流れ。直線に向くと思い切って大外へ。ラッシュライフがほぼ完璧なレース運びで内から先に抜け出し、流石に届かないかに見えたが計ったように差し切ってしまう。武兄の騎乗が鮮やかだった。この馬自身、小倉2歳ステークスでは「早熟馬が上手く乗られてぎりぎり押し切る」ぐらいの印象だったのが、ここへ来て地力がついてきた感すらある。もっとも、阪神JFでは坂もあり距離が伸びペースも上がり、と厳しい要素が揃うので、流石に厳しいかも知れない。
2着ラッシュライフ(7) (8) 参照)は素晴らしくセンスのいいレースで、今回は速い時計にも対応してみせた。こちらも一戦ごとに進境を見せていて、阪神JFでは逆転するかも知れない。楽しみな1頭。
3着ニシノタカラヅカデュプリシト(父 Danzigニシノフラワー(父 Majestic Light、中央7勝/スプリンターズステークス(G1)、桜花賞(G1)他)の母)の産駒。産駒の中央勝ち馬は11頭目らしい。すげーなデュプリシト
福島11-06-10R(T12) 福島2歳ステークス:プラチナローズ(牝・父クロフネ/母スギノキューティー
早い時期に勝ち上がった馬だったと記憶していたがなんと (1) 以来だった。うむ、久々であるな。
5番手の内を追走。平均よりやや速いペースで、それでも四角手前ではすっと前との差を詰める。直線入口で外に持ち出すと、あとは綺麗に伸びてそのまま抑え切る。教科書通りのような勝ち方で、非常にセンスが好かった。時計も速い。
勝ち上がって以降低迷していたが、短い距離に戻したらやはり好走していて、要するに前回書いた通り短距離に向いているのだと思う。この上では流石に厳しそうだが、フェアリーステークス辺りならやれるかも知れない。

500万下

東京11-05-9R(T18) 百日草特別ニシノウェーブ(牡・父メジロライアン/母ウェストビーチ)
未勝利勝ちなので初登場。
序盤は後方のインで折り合いに専念。徐々に抜かされて最後方になるが、慌てず脚をためて直線では外に持ち出して行く。ほぼフラットな平均ペースで、先行集団からは2着馬が先に抜け出すところを外を回って伸びる。最後は差し返されながらも抑え切って2勝目。馬場がいいとはいえこの時計は速いと思う。中々強い勝ち方。
メジロライアン× Miswaki × Devil's Bag 。母は芝短距離を中心に中央で4勝をあげている。5親等になるけど、曾祖母の半弟に Storm Bird(父 Northern Dancer、大種牡馬)が居る。日本にも同系統の馬が多数輸入されている名牝系。ややアンバランスな配合にも見えるが、ミスワキは母父に入ると支えになってくれるので悪くないかも。芝の中長距離向きで、底力はあるがやや決め手に欠く。上でも上がりが速すぎなければ面白い。久々にメジロライアン産駒で楽しみな1頭。
京都11-05-6R(T14):エムエスワールド(牡・父ステイゴールド/母トップワールド)
ゲイツの世界」とかあほなこと書いてた (10) 以来。
スタート後すぐに下げて後方から。ほぼ平均ペースだったが、四角手前から外を回って押し上げて行く。そのまま直線も外を通り、他の馬とは一頭だけ脚色の違う伸びで快勝。ためたとはいえ押し上げて伸び切るのだから完全に力が違った。時計も速い。勝ちあぐねていたのが不思議なほどの快勝。短距離を使っているのは疑問だが、今回乗った武兄も「もう少し距離が延びても問題なさそう」と言っているので、いずれ中距離で見られるだろう。まずは朝日杯らしいが、そこでは流石に厳しそう。

新馬

東京11-05-4R(T16/filly):シークレットコード(牝・父 Fusaichi Pegasus/母マジックコード)
スタートはよくないがすぐに軽く気合いをつけて好位へ。どスローになるがきっちり折り合ってインを追走。直線入口では少し待つ余裕。外に持ち出して追い出されると、思った以上によく伸びた。時計は当然平凡だが上がりは速い。センスがいいし悪くはない内容。
Fusaichi Pegasus × Lost Code × Flying Paster 。あんまりよくわからないが、まあ割といかにもなアメリカ血統で固められてて、スピードがあるし割と粘りもありそう。ただ緩急には難があるかも知れない。牝系は不明。芝で勝ちあがっているがダートの中距離に向きそうで、上でもダートなら面白いか。
東京11-05-5R(T20):ミレニアムウイング(牡・父 Sadler's Wells/母 Angelic Song)
中団の外につけたが、どスローと見るや三角手前から進出して三番手の外。四角手前では外から2着馬に来られて、直線入口では仕方なく先頭に並びかける。かなり苦しいレースだったがラップ的には完全に3ハロンで、直線ではすぱっと抜けこそしないものの力強くまっすぐ伸びて、結局2着馬には一度も抜かさせなかった。時計は平凡で、上がりはそこそこ速い程度。
Sadler's Wells × Halo × Herbager 。母が Glorious Song の全妹、ということで母の全兄に Devil's Bag 、母の全弟に Saint Ballado 、この馬の従兄にはグランドオペラシングスピールRahy の3兄弟が居る。もの凄い牝系に先代の欧州最強種牡馬。これ以上ないほどいい血脈を受けているが、配合を見てもわかる通り持っている血がほとんど全部古く、Hail to Reason が4×3、Almahmoud が4×4などという位置に現れる。さて、これで現在の日本の競馬に対応できるか、ってのは中々見もの。なんにしても新馬勝ったんだからとりあえず凄い、とは思うけどね。芝の中長距離向き、当然上でも好勝負。
ただし陣営は「凱旋門賞を勝つために連れてきた」などと吹いているらしく、この後は来春まで休養だそうです。
東京11-06-5R(D14):モンテチェリー(牝・父ホワイトマズル/母ルベールターフ)
好スタートからハナに立つ。誰も競りかけて来なかったとはいえ、平均より明らかに速いペースで正確なラップを刻んで逃げ、後続に付け入る余地を与えない。直線に入ってからは突き放し、最後1ハロンはばてているがそのまま7馬身差での勝利。強い。時計も速い。
ホワイトマズル×スティールハート×テスコボーイ。母は1戦で引退しているが、その仔にはダイワルベール(父ランズダーン、中央6勝)、ダイワキャンディ(父ランズダーン、中央4勝)などが居る。これも母の血が古く、短距離向きの底力のある血統で、配するにホワイトマズルではちょっとちぐはぐな感じもある。この配合だと結構マイルに向くかも。ということで芝のマイル向きで。上でもやれそう。
東京11-06-6R(T14):リネンアピール(セン・父サニーブライアン/母リネンサプライ)
好スタートからすっとハナに立つ勢いだったが、外から来られて内に控える。さらに2頭先へやって4番手の内目を追走。スローペースになるが前に行った馬たちが案外だらしなく、直線では間を割って抜け出すと、最後2着馬の猛烈な追い込みを一杯一杯に抑え切って勝つ。センスのいい内容だが時計は平凡。
サニーブライアン×ミルジョージ× Nijinskyサニーブライアンはダートに向きそうな血統に見えるが、意外にも産駒は芝での勝ち星の方がはるかに多い。この配合も字面だけ見れば明らかにダート向きに思えるが、このレースも芝。牝系は地味で、近い近親に活躍馬は全くと言っていいほど出ていない。芝の中長距離で期待したいが、今日の内容では流石に上では苦しいか。長い距離なら変われるか。
京都11-05-3R(T16):メイショウゲンジ(牡・父マヤノトップガン/母ニューシャグラ)
馬名審査も有名無実化してきたと言うべきか、このレースの実況で「シゲルシンキガイ、ナーンチャッテ」なんていう下りがあってまじで吹いた。
さておき、3番手を追走。前後半の半マイルずつがちょうど 48秒0 の綺麗な平均ペース。きっちり折り合って回ってくると、直線も渋太く伸びる。すぱっと切れるところはなかったがそのまま押し切った。時計も上がりも平凡で、正直恵まれた印象。
マヤノトップガン× Lead On Time × Danzig 。母父の Lead On Time は Nureyev の直仔で、クリテリウム・ド・メゾンラフィット(2歳 G2)を勝っているらしい。母の半弟にフロンタルアタック(父シンボリルドルフ、中央3勝)、母の半妹にミスイロンデル(父コマンダーインチーフ、中央1勝地方1勝/兵庫ジュニアグランプリ(G3)。期待も込めて芝の中距離向きとしたいが、上では苦しい。
京都11-05-5R(T12):エアラホーヤ(牝・父ボストンハーバー/母テンザンストーム
スタートよくダッシュもよく内からハナへ。2着馬にかなり早くからびっしり来られてマッチレースのような形になるが、慌てるところがない。直線入口では一旦僅かに先に出られながらも、追い出すとあっさり抜け出してちぎってしまう。時計も速く強い内容。
ボストンハーバー× Storm Cat × FappianoNorthern Dancer が4×4。いかにもスピード豊かで出たとこ勝負みたいな血統。母のテンザンストームはやはり単調なスピード馬だったが、菩提樹ステークスではそのスピード一本でタイキシャトルから逃げ切った凄い馬。タイキシャトルが最後のスプリンターズステークスを勝っていればそれが生涯唯一の敗戦になったのだが、世の中そこまでは甘くないということか。ちなみに半姉のテンザンアモーレ(中央1勝・現役)の父はタイキシャトルで、中々生産者は洒落のわかる人と見える。さておき、そのスピードを忠実に継承した馬。一本調子なところはありそうで、どこかで壁には当たるだろうが、少なくともこの上では充分通用するだろう。
京都11-06-5R(T20):マジックアワー(牡・父サンデーサイレンス/母フランカ)
好スタートからすっとハナへ。4着馬に外から来られるが、競り合いにはならず結局どスロー。きっちり3ハロンのレースに持ち込むと、直線に向いてからは突き放す。しまいはちょっと詰められたが着差以上の楽勝。時計は平凡で、上がりはまあまあ速い。
サンデーサイレンス× Seeking the Gold × Nureyev 。全姉のハギノフェリーチェは未出走。祖母の半兄にアサティス(父 Topsider、種牡馬)などが居る牝系で、かなりの良血と言っていい。芝の中距離向きで底力があり、鋭い決め手もある。サンデー×シーキングザゴールドで案外活躍馬が出ていないのは気になるところではあるが……。上でもやれる。
京都11-06-6R(D12):ナムラオシリス(牡・父フサイチコンコルド/母フジミソレント)
抜群のスタートを切ってハナへ。スピードを活かして抑えすぎないレースをしたため、後続は競りかけることもできない。直線では逆に差を広げる始末。全くの楽勝だった。時計も馬場が軽かったとはいえそこそこ速く、中々いい内容。
小林慎一郎の1年11ヶ月ぶりの勝利。当初そこそこ乗ってるイメージがあっただけに、こんなに勝っていないとは知らなかった。しかし折角勝ったこの馬が骨折とのニュースが入ってきた。この勝利は明らかに小林慎の騎乗で掴んだ部分が大であるだけに、気の毒でならない。
フサイチコンコルド×ブレイヴェストローマン× Topsider 。Northern Dancer の4・4×4。近親に目立つ活躍馬は居ないが中央で1、2勝した馬はかなり居て、そこそこいい牝系。スピードがあっていかにもダートの短距離に向きそう。それなりに底力もありそうだが、成長力は乏しそうで、一度限界を示せばそこまでみたいなところはあるかも知れない。ここでの骨折は痛過ぎる。
福島11-05-2R(T12):レッドスプレンダー(牡・父サクラバクシンオー/母ルビーベイビー)
出遅れる。すぐに追い上げて好位につけると、さらに三四角で徐々に進出。四角では外にふくれたあと内にささり、と忙しかったが直線を向いてからはしっかり伸びる。結果的には楽勝。現在の福島は秋の開催とは思えないほど時計が出るが、それにしても及第点ではあろう時計。若さは目立ったが上積みが大きいということでもある。
サクラバクシンオー×ハウスバスター× Good Behaving 。グッドビヘイヴィングは Tourbillon 系で、ウッドメモリアルステークスの勝ち馬。母は輸入で兄姉はあまり走っていない。スピードに優れ、底力もまあまあありそう。ダートも上手いのではないだろうか。距離には限界があり保ってマイルまで。上ではきついか。