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『僕らのミライへ逆回転』 ミシェル・ゴンドリー監督,2008

ミシェル・ゴンドリーの新作。
ニューヨークからちょっと離れた小さな町の片隅に立つレンタルビデオ屋「BE KIND REWIND」(これがこの映画の原題)は、1920〜30 年代に活躍したジャズ・ピアニスト、ファッツ・ウォーラーの生誕した建物に入ってるというだけが取り柄の小さな店で、時代遅れの VHS を1日1ドルで貸し出し、建物はオンボロ過ぎて立ち退き要求すらされてる有様。
あるとき店主のフレッチャーが何日か店を離れることになって、唯一の店員として働くマイクに留守を任せていく。ところがマイクはフレッチャーのいいつけに背いて店に悪友ジェリーを入れてしまう。ジェリーはあることから身体に強力な磁気を帯びており、店内をうろうろして全てのテープを駄目にしてしまう。途方に暮れたマイクは貸し出すべき映画を自力でリメイクすることを決意し、ビデオカメラを持ち出して撮影を始める。
なんともばかばかしいストーリーで、実際前半はとことんばかばかしい。『ゴーストバスターズ』とか『ラッシュアワー2』とかをリメイクするんだけどほんとにひどくて、でもとにかく撮り切って貸し出してみるとこれが案外人気で……というのはある種お約束の展開なんだけど、よく考えてみるとわからないでもない。映画中映画として観ていて、やっぱりちゃんと面白いんだもん。
ところが後半の展開には何故か乗り切れなかった。細かいところまで面白かったし、最後のシーンもとてもよかったと思うんだけど……。乗り切れないというより、なんかこういう風になるんだろうな、ああやっぱりこうなるよな、という感覚に物足りなさを感じたというべきか。変な方向に期待してしまっていた。

ミシェル・ゴンドリージャック・ブラックは何年か前に『時空の支配者』を映画化するって話が出てた時に挙がっていた名前だが、そっちはどうなってるんだろうか。今回のジェリーとマイクのコンビはちょっとハリーとジョーゼフのコンビに似てなくもなくて、やっぱり『時空の支配者』を観てみたい。一応 iMdb だと、2011 年公開予定ってなってるけど……。
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ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 -- 段ボールで『2001年宇宙の旅』をリメイクできるか?
↑こちらによると、「Be Kind Rewind」は「巻き戻してご返却ください」の意、らしい。ちょっと気になってたのですっきり。『僕らのミライへ逆回転』って邦題はいまいち、とは思うもののじゃあどんな邦題ならいいのかというのもよくわからない。
あと、登場する映画には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』も入る予定だったけど断られたとか。絶対入りそうなのになかったから意外に思ってたんだけど、断られたのか。あの車は多分それ用だったんだよね。