黄昏通信社跡地処分推進室

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神河物語におけるトールキン問題について、ツイッターにも書いたけどあらためて。

  • その前に、トールキン問題っておれが勝手に呼んでるだけで多分誰とも共有できてないのでもう一度確認しておく。架空世界の固有名詞で、言語で意味を持っているものについてどう訳すか、という問題。例えば「Middle-Earth」を日本語に訳する時、トールキンは意味ごと訳すことを希望したらしく、それで日本語版では「中つ国」となっている。架空世界においてはその世界の言語が使われている筈だから、中つ国は当の中つ国では少なくとも Middle-Earth とは呼ばれておらず、だから「ミドルアース」と表記するのは妥当ではないだろう、というような話。(詳しくは前書いた
  • マジック・ザ・ギャザリングに「神河ブロック」というエキスパンション・セットがあって、そのセット内で舞台になっていたのは完全に日本をベースにした世界だった。登場人物も日本風の名前だったし、その漢字表記も公式に決められていた。日本語版のカードでは当然その公式表記が使われている。
  • そこは架空世界だけどたまたま日本語(と超よく似た言語)を使っている。だから、英語のカード名を日本語に翻訳する場合には、それを神河語に戻せばいいことになる。
  • のだけど、この神河語のニュアンスが、日本人から見るとやっぱりおかしい。例えば、kami という単語がほいほい使われている。なるほど八百万の神の国であるから神は遍在している、のかも知れぬ。しかし、《Hana Kami》というクリーチャーが居て(日本語名は《花の神》)、クリーチャータイプはスピリット、サイズは 1/1、なんてのを見ると、やっぱり「あれー?」という感じは否めない。同様に、bushido も変な感じだ。ninjutsu はまあましな方かも知れない。しかし、いずれにしても神、武士道、忍術と訳すにはちょっとだけためらわれる。
  • 個人的には、「神」と書いて「カミ」とルビを振る、黒丸尚システムがしっくり来る。もともとは神という言葉から出ているのだという出自を明らかにしつつ、しかしそれはお前らの考える kami であっておれたちの神とは違うよ、ということをはっきりさせるという意味において。
  • とはいえ現実問題としてカード上ではどうしようもなく、漢字で表記したのは最善だったかな、とは思っている。それでも未だにおれは「武士道」というキーワード能力を見るたびに、頭の中で「ブシドー」と変換してしまうのだ。
  • 全く関係ないけど、3マナ 2/2 速攻ブシドー1の奴が好きだったな。この辺のブロックになるともう殆どリミテッドで遊んでないんだが、妙に忘れられない(というわりにカード名覚えてないけど。なんか多分犬とか連れてた)。