黄昏通信社跡地処分推進室

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クロスポスト

Newsgroup はその名の通り記事がグループに分けられていて、読む人は自分の好きなグループの記事を読む、書く人はその記事にふさわしいグループに投稿する、という風に記事を読み書きしていた。実体としてのグループ分けは各記事のヘッダに「Newsgroups:」という指定をして行っていた。面白い/よくできているのは、そこに複数のグループを指定できたことだ。
たとえば「初代ダビスタに『サンリュウヤクシャ』という馬が居たと記憶しているのですが、元ねたになった馬はなんという名前だったのでしょう?」みたいな質問を投稿したいとき、まあ初代ダビスタだからレトロゲームの話題だけど質問の内容からすると競馬のグループの方が詳しい人が居るかも知れない。その場合ヘッダに
Newsgroups:fj.rec.games.video.retrogame,fj.rec.sports.keiba
と書く。


これによって読者は複数のグループ(ここでは retrogame と keiba)からその記事を参照することができる。そして、一般的なニューズリーダの仕様であれば、どこかひとつのグループでそれを読めばその記事は既読の扱いになるから(Message-ID はユニークなのでそのような処理ができる)、他のグループでまたその記事を読まされるようなことはない。
クロスポストされている記事にはクロスポストでフォローアップしてもいいし、どこかひとつのグループに特化した話題であればひとつのグループに絞ってフォローアップしてもいい。


クロスポストに対して、複数のニューズグループにそれぞれ別々の――それでいて内容は同一の記事を投稿することを「マルチポスト」といって、当時はマナー違反とされていた。今でも2ちゃんねるとかでは使われている言葉だし嫌われているのも変わっていないと思う。「マルポうぜえ」とか言ってる人見かけるよね。そのころはサーバの容量も通信回線の太さも今よりずっと小さかったから現実問題として「資源の無駄遣い」にあたることはマナーに反するとされていたのだろう。今となっては多少のマルチポストなんてリソース的には屁でもないんだし、そもそも BBS じゃクロスポストできないんだから必要があればマルチポストしても全然構わないと思うのだけど、何故か今でも忌み嫌われていてちょっと不思議だ。まあ複数のスレッドで同じ投稿を見かけるとうっとうしいと思わないこともないけど、読み飛ばすのなんてそれこそほとんどコストかからないわけだし。


ともあれクロスポストを初めて知ったとき面白い仕組みだなと思ったし、実際見ているとまれにひとつのクロスポストから複数のグループに別々にスレッドが派生していくことがあって、そういうのを見てとても美しいシステムだなと思うようになったのを憶えている。殆ど死語になってしまったしもはや話題にすることもないだろうけど、ふと思い出したので書いておくことにした。