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『今日もひとり、ディズニーランドで。』 ワクサカソウヘイ イースト・プレス,2014 ISBN:9784781611372

タイトルがほぼすべてをあらわしている本。著者の実体験を基に書かれたフィクションで、主人公は夜間大学を出ていったん就職したが今は辞めて無職の実家暮らし。来る日も来る日も家でごろごろして、たまに顔を合わせる父親とどう接していいかすらわからない主人公は、何を思ったか貯金を取り崩しながらひとりでディズニーランド(ただし本文中には一度もこの名前は出てこない。浦安にある「王国」とだけ書かれている)へ通い詰める生活を始めてしまう。ひとり王国で過ごした一年間を描く。



この設定を聞いて面白くない筈がないと思ったのだが、実際に読んでみると期待が高すぎた所為かそこまでは面白いと思えなかった。無職の男が1年間ひとりでディズニーランドに通い詰めるというのは控えめに言っても狂気の沙汰で、おれは多分その狂気をこそ見たかったのだと思う。なにが男を王国へ向かわせたのか、男は王国で何を見ていたのか、それほどの時間を男はどのように王国で費やしたのか。そういうことが書かれていて欲しいと勝手に思っていた。しかし実際のところこの物語はダメな男が王国にあってもやっぱりダメな男だという話である。それはそれなりに面白いところもあるのだが、だけどおれが読みたいのとはちょっと違ったような気がする。



あとまあ、単純に文章があまり上手くない。狂気を表出するのに文章力は必要ないが、狂気が伴わないのであれば文章がうまいに越したことは


……とここまで書いて検索してみたら、著者のはてなダイアリーを見つけてしまった。
http://d.hatena.ne.jp/wakusakasohei/
あれ、これはけっこう面白いような。しかもよりによってはてなという辺りがなんとも。